やっぱり夏はフュージョン・ギター・『Rio』
やっぱり夏はフュージョン・ギターが良いなあ。それも、刺激的なエレギではなくて、爽快で軽やかなアコギの音が良い。アコギを聴かせるのには、エレギのようなアタッチメントで音を加工することが基本的に出来ないので、かなりのテクニックが必要。ギタリストとしての本質が試される。
今日は、Lee Ritenourの『Rio(イン・リオ)』(写真左)を聴く。リー・リトナーがリオ・デ・ジャネイロに飛び、ベーシックなリズムを収録。さらにロスとN.Y.で最高のミュージシャンを集めてオーバー・ダビングを重ねた国際多重盤。
そんな、このアルバムの録音の背景を聞いた時は「そんな、あほな」と思った(笑)。まあ、リトナーみたいな優れたスタジオ/ミュージシャン出身だからこそ出来る発想だろう。僕ならば、リズム・セクションは目の前にいて欲しい。しっくりいかないリズム&ビートに出くわしたら、即座にその場で修正したいからだ。
しかし、そんな想像だにしない録音背景を耳にして、このアルバムの演奏を聴くと、ソロイスト達の演奏に、何かしら不思議な緊張感が漂っているのを感じる。なるほど、既に録音されたリズム&ビートを前提に、ソロイストはインプロビゼーションを展開しなくてはならない。リズム&ビートの要求に合わせたソロイスト。なんだか立場が逆である。
1979年のアルバムなので、デジタル臭さは蔓延してはいない。しかし、エッジの立った音像とメリハリの効いたアタック感はデジタル臭さそのもの。それでも、リトナーが奏でるギターは生ギターなので効果てきめん。生ギターが故に、アナログ的雰囲気が良い効果を発揮して、デジタル臭さを上手く相殺している。
タイトルが『Rio』なので、「全曲、ブラジルで録音」と思いきや、先に述べたように、思っていたのですが、リー・リトナーがリオ・デ・ジャネイロに飛び、ベーシックなリズムのみを先に収録。さらに、調べていくと、どうも調べていくと「Rainbow」と「Simplicidad」のリズムセクションがブラジル録音で、他はニューヨーク、あるいはカリフォルニアでの録音みたいです。そう言われてみれば、確かにリズム&ビートの雰囲気が違うように感じます。
なんだか、看板に偽りあり、って感じのアルバムですが、それでも、内容的には、ブラジリアン・テイスト満載。タイトル通りの演奏の雰囲気には脱帽です。実に良くプロデュースされた企画盤とも言えるかと思います。
収録曲の全曲がブラジリアン・テースト。夏にピッタリのアルバム。特に、涼しい夏風が吹き抜ける昼下がりの部屋で、構えること無く、自然な雰囲気で、ずーっと流し続ける、そんな雰囲気にピッタリの「夏盤」です。とにかく、リトナーの生ギターの音が秀逸。難しい理屈無く、良い雰囲気でブラジリアン・テーストを愛でる。良いアルバムです。
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