1980年代チックの代表作
このところ、ちょっと涼しい日が続いている。先週の前半までは酷暑。先週後半、台風が来てから北風吹き込み、一気にクールダウン。気温の激変は身体に堪える。こんな時は自分の好きな楽曲で精神的に支える。
そんな時は、一番のお気に入りジャズメンにご登場願う。そう、チック・コリアですね。このところ、Chick Corea Elektric Bandを聴き直しているんだが、今日は『Eye of the Beholder』(写真左)を選択。
エレクトリック・バンドでの3枚目。1988年の作品。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p,syn), Eric Marienthal (sax), Frank Gambale (g), John Patitucci (b), Dave Weckl (ds), John Novello (syn)。エレクトリック・キーボード・トリオとして構想されたChick Corea Elektric Bandであったが、さすがに、キーボードの負担は大きく、サックスとギターを加えてのクインテット編成となっている。ちなみにシンセサイザーで参戦のJohn Novelloはゲスト・メンバー。
最初に言い切ってしまいますが、このアルバムは傑作です。エレクトリック・バンドの演奏フォーマットでありながら、チックのキーボードについては、ピアノがほぼ90%。エレピ関連は1割程度。ギャンバレのギターも生ギターが活躍、マリエンサルのサックスは当然、生楽器だし、パティトゥッチのベースはエレベだけど、ウェックルのドラムは当然、生楽器。
こうやって、楽器編成を眺めてみると、エレクトリック・バンドという雰囲気では無いですね。どちらかと言えば、8ビートを基調としたコンテンポラリー・ジャズでは無いか、と思うんですが、これが違う。リズム&ビートがしっかりとエレクトリック・ジャズしているので、どちらかと言えば、エレクトリックなリズム&ビートを基調としたメインストリーム・ジャズという面持ち。
演奏を聴くと、少なくとも、リズム&ビートがフュージョン・ジャズでは無い。Chick Corea Elektric Band独特の、デジタルチックでジャジーなリズム&ビートを基調としていて、結構、メンストリーム・ジャズ的な雰囲気が漂う。チックが作曲、編曲する旋律が実にメロディアスなので、一聴するとフュージョン・ジャズか、と思うが、聴き進めるにつけ、これって結構、硬派なエレクトリックな純ジャズではないか、と思うようになる。
チックの作曲による楽曲がどれもメロディアスで美しく、そしてジャジー。しっかりとエレクトリック・ジャズしているリズム・セクションをバックに、ギターが上手く、そのエレクトリック・ジャズな雰囲気を後押しし、逆に、サックスが純ジャズ的な雰囲気を後押しする。
エレクトリックなジャズの演奏の中で、チックは生ピアノの使い方が実に上手い。というか、エレクトリックなリズム&ビートに乗せる生ピアノのセンスは、ジャズ界随一だろう。他の追従を許さない。そんなチックのセンスの良い、エレクトリックなリズム&ビートに乗った生ピアノをふんだんに聴くことできる。このアルバムでのチックのピアノは、本当に溜息が出るほどに絶品である。
しかも、このエレクトリックなリズム&ビートを基調としたメインストリーム・ジャズという演奏コンセプトは、ありそうで他に無い。これぞ、チック・コリアの独壇場。唯一無二なチック・コリアの世界である。ちなみに、チックお得意のスパニッシュ・テイストもしっかりと要所要所にあしらわれている。
良いアルバムです。チック・コリアの入門盤の一枚としても良いかと思います。1980年代のチック・コリアの代表作と言っても良いでしょう。
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