ブライアントの幻の名盤
レイ・ブライアント追悼週間も4日目である。今日は、レイ・ブライアントの幻の名盤と呼ばれていたアルバムについて語ります。
そのアルバムとは『Ray Bryant Plays』(写真左)。1959年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Ray Bryant(p), Tommy Bryant(b), Oliver Jackson(ds)。トミー・ブライアントは、レイ・ブライアントの兄とのこと。ドラムのオリバー・ジャクソンは、僕にとっては無名。他のピアニストで、オリバー・ジャクソンがベースで参加した盤を知りません。
このアルバムは、Signature(シグネチャ)という、マイナー・レーベルからのリリースであったので、リリース枚数は少なく、直ぐに廃盤になったりで、LP時代は「幻の名盤」と呼ばれた。一時は、レコード店では30万円もした事もあったとのこと。LP時代には聴くことも出来ないので、それほどの内容なのかしら、と訝しく思ったりした。
CD時代になって復刻され、今ではもう皆が所有することができる普通の盤になってしまいました。でも、良い内容の盤であれば、それが一番良いことです。優れた内容の盤は、いつでもどこでも誰でも入手することができる環境が一番です。
さて、じゃあ、この『Ray Bryant Plays』は、本当に「名盤」なのか。僕の答は「否」。名盤というには、ちょっとなあ、って感じです。でも「佳作」ではあります。良い内容ではあります。しかし、ジャズの歴史に残るような「名盤」というものでは無い。でも、愛聴盤になりうる「佳作」ではあります。
収録曲を見渡して見ると、4曲目の「Sneaking Around」のブライアントのオリジナルを除くと、残りは有名なスタンダード・ナンバーで固められて、聴き易いアルバムではあります。しかし、あまりに有名なスタンダード曲を平均3〜4分の短い演奏時間に押し込めて演奏しているので、レイ・ブライアントのピアノを心ゆくまで愛でる向きには、ちょっと欲求不満になりそうな内容です。
それと、有名スタンダード曲を演奏するあまり、レイ・ブライアントの個性全開とはいかなかった様で、タッチの強い、テンションの強い右手と、低音の響きを活かしたハンマー打法の様な左手の使い方が控えめ。よって、ちょっと聴くだけでは、レイ・ブライアントとは判らないところが、はっきり言って不満。
しかし、レイの兄貴のトミー・ブライアントのベースとオリバー・ジャクソンのドラムが地味ではあるけれど、なかなかのサポートしている。なので、ピアノ・トリオ盤としては良好。唯一、レイのピアノの個性が心ゆくまで堪能できないのが残念。レイのピアノの個性を愛でるのであれば、他にもっと良好な盤が多々ある。
「幻の名盤」。「幻」だからこそ「名盤」。「幻」の範疇での「名盤」。絶対的な内容の「名盤」であれば「幻」にならない。「幻の名盤」という言葉は罪作り。本当は「幻の盤」。「名盤」かどうかは聴いてみないと判らない。
それでも、この『Ray Bryant Plays』は「名盤」では無いが「内容良好」。愛聴盤になりうる「佳作」。レイ・ブライアントのファンとしては、ちょっと不満もあるけど、今でもたまにCD棚から引きずり出して聴き耳たてる、ちょっとだけ「愛聴盤」です。
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