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2011年6月 1日 (水曜日)

時には的外れな評価もある

先月5月10日のブログで、久々に、マル・ウォルドロンのアルバムをご紹介した。そう言えば、暫く、マル・ウォルドロンの存在を忘れていたので、ちょっと集中して聴き直している。加えて、マル・ウォルドロンについてのお勉強も「仕直し」。
  
僕が学生時代の頃、マル・ウォルドロンの代表作に、『MAL-1』(写真左)を一番に挙げているジャズ入門本がほとんどだった。今はどうかな、と思って、いろいろジャズ本を読み直してみても、やっぱり『MAL-1』を代表作の一番に挙げているジャズ本がまだある(笑)。
 
なんだか無責任は評価やなあ、と思う。マルの良さは、やはり彼の特徴的なピアノにある。マルのタッチは硬質で端正。しかし、その硬質なタッチの底に、もやっとした黒いブルージーな雰囲気が横たわっている。そして、端正な弾きこなしの端々にラフな指さばきが見え隠れする。この「黒い情感と適度なラフさ」がマルの特徴。この「黒い情感と適度なラフさ」に一旦はまると、なかなか抜け出せない。暫くは「マルの虜」になる(笑)。
 
しかし、『MAL-1』では、フロント2管のクインテット構成が故、このマルの「黒い情感と適度なラフさ」が、アンサンブルとフロントのソロに隠れて楽しめない。マルは伴奏上手と言われるが、この『MAL-1』を聴く限り、それがマルの特徴と言えるまでのものではない。じゃあ、なぜ『MAL-1』がマルの代表作に挙げられるのだろう。
 
『MAL-1』の評価のほとんどが、マルのアレンジの才能に着目しての代表作という触れ込み。ん〜っ、そんなに優れたアレンジかしら。
 
Mal_1
 
確かに、アンサンブルやハーモニーには工夫が見えて、なかなか心地良い雰囲気ではあるが、これがマルのアレンジ、と言えるような特徴がある訳では無い。アレンジという面で考えると、マルと同等の、もしくは、もっと優れたアレンジを施すピアニストは沢山いる。
 
逆に、余りにアレンジされ、マルのリーダーとしてのコントロールが行き渡っている分、ハードバップとしてのエネルギーある演奏では無くなっている。といって、冷静知的な雰囲気にまで達している訳でも無い。なんとなく中途半端なアレンジ&リーダーシップである。

ちなみに、パーソネルを見渡すと、Mal Waldron(p), Idrees Sulieman(tp), Gigi Gryce(as), Julian Euell(b), Arthur Edgehill(ds) のクインテット構成で、マル以外のメンバーについては、実績・テクニック共に、やや弱さが感じられるメンバーである。このメンバー構成で、アレンジを施し、そのアレンジ通りに演奏をコントロールしたら、そりゃあ中途半端な演奏になる。
 
それでも、このアルバム、過去に「スイングジャーナル選定ゴールドディスク」に選ばれているんですよね。まあ、人それぞれ感じ方が違うので、様々な評価・評論があっても全く問題無いと思いますが、この『MAL-1』の評価、マルのアレンジの才能に対しての高い評価を目にする度に、時には的外れな評価もあるもんやな、と思います。
 
僕は、マル・ウォルドロンというピアニストを聴く時、彼のアレンジの才を感じる必要な無いと思う。彼のピアニストとしての個性を感じることが、一番、マルを愛でることにつながる。マルを感じるには、ピアノ・トリオか、ソロ・ピアノが一番。カルテット以上の構成はマルを楽しむにはちょっと向かないのではないかと思う。
 
それほど、マルのピアノは個性的です。また、近いうちにマルのピアノを愛でるに相応しいアルバムを何枚かご紹介したいと思います。
 
 

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コメント

長らくご無沙汰しておりました~m(_ _)m
マスターのブログ、相変わらずの充実振りで、とっても嬉しいです^^
>マルのピアノを愛でるに相応しいアルバムを何枚かご紹介したいと思います。
楽しみにお待ちしておりますheart

おおぉ〜、yuriko*さん、大変、御無沙汰でした。松和のマスターです。
 
いやいや〜嬉しいですね〜。昔からの常連さんが顔を出して下さるのは。
 
マルの特集は暫しお待ちを。今、急遽、レイ・ブライアントの追悼週間に
入っています。今週始めはレイ・ブライアント中心になるかと。マルは
その後ですね。乞うご期待。
 

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