最近のトラックバック

« 僕はこのマイルスも大好きだ | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・27 »

2011年6月16日 (木曜日)

「聴かせる」ジャズ・ピアノ

先週は、レイ・ブライアントの追悼週間だった。レイ・ブライアントのピアノは、演奏を如何に聴かせるかという「鑑賞」の世界への適用に重点が置かれている。そこが、当時の流行だった、技を徹底的に追求する「パウエル派」とは全く違う点である。
 
ブライアントのピアノは、オフビートを強調した、アーシーでゴスペルタッチなピアノが特徴で、その強調はタッチの強い、テンションの強い右手と、低音の響きを活かしたハンマー打法の様な左手の使い方が実に印象的。このブライアントを聴くと、僕は決まって、「エロール・ガーナー」と「ミシェル・ペトルシアーニ」を思い出す。
 
今日はその「エロール・ガーナー」について語りますね。エロール・ガーナーとは、1921年生まれ。1977年1月没。左手のベースラインをメインに、メロディを弾く右手は自由自在にタイム感を後ろにずらす「ビハインド・ザ・ビート」が特徴。左手のベースラインがメイン、というところが、もう既に「バド・パウエル」とは異なるアプローチ。
 
1940年代後半〜1950年代前半、ビ・バップの時代は、ジャズ・ピアノは「バド・パウエル」が全てとされる。しかし、同時代に活躍したエロール・ガーナーは、この「バド・パウエル」の影響を全く受けない、唯一無二な個性を展開した。
 
まあ、日本のジャズ・シーンでは、「バド・パウエル」がジャズ・ピアノの祖としてもてはやされており、「バド・パウエル」の影響を全く受けないエロール・ガーナーは「異端」とされた。技を主体とする「バド・パウエル」は正統であり、「聴かせる」エンタテインメントの「エロール・ガーナー」は異端とされた。
 
Contrasts
 
でも、僕は、このエロール・ガーナーが好きなんですよね。やっぱり、音楽は「技」よりも「エンタテインメント」でしょう。「バド・パウエル」だって、僕は「エンタテインメント」だと思っている。
 
そんなエロール・ガーナー、なかなかまとまったアルバムを残していなくて、どれが入門盤なのか、選択肢が狭くて困るのだが、世の中のジャズ本を紐解くと、決まって「コンサート・バイ・ザ・シー」というライブ盤を挙げているが、僕はこのライブ盤、音があまり良くない。良くないと、ガーナーの「ビハインド・ザ・ビート」が良く聞き取れ無い。 
 
そんなエロール・ガーナーを愛でるには、僕はこのアルバムを真っ先にかける。そのアルバム名は『Contrasts』(写真左)。エロール・ガーナーのスタジオ録音盤なんだが、音も良好、エロール・ガーナーの「ビハインド・ザ・ビート」が心ゆくまで感じる事ができる。
 
1954年7月、ジャズ界はビ・バップ時代後半の録音。ちなみにパーソネルは、Erroll Garner(p), Wyatt Ruther(b), Eugene "Fats" Heard(ds)。ベースとドラムは、僕にとって全くの無名。リズム・キープは堅実だが、ここでのリズム・セクションはそこまで。このアルバムは、徹頭徹尾、エロール・ガーナーのピアノを愛でることのみに存在する。

エロール・ガーナーは、生涯楽譜が全く読めなかったとのことだが、ジャズも場合、それは全く関係無い。ジャズとは「感性」の音楽である。二度と同じフレーズが無い、究極の即興演奏がこのスタジオ盤に詰まっている。
 
硬質なタッチ。左手のベースラインをメインに、メロディを弾く右手は自由自在にタイム感を後ろにずらす「ビハインド・ザ・ビート」。聴かせるジャズ・ピアノ。エンタテインメント性バリバリのジャズ・ピアノ。一度填れば、暫く「病みつき」になる。そんな妖しい魅力を持った、打楽器的ピアノ・エンタテインメント。
 
ちゃんと「Misty」も入っています。パキパキのタッチでありながら、溢れ流れるようなバラード演奏。これ、本当に名演です。ついつい聴き惚れてしまいます。「聴かせる」ジャズ・ピアノの面目躍如です。
 
 
 

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」、「v_matsuwa」で検索して下さい。

Fight_3
 
がんばろう日本、がんばろう東北。自分の出来ることから復興に協力しよう。

« 僕はこのマイルスも大好きだ | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・27 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80793/40423570

この記事へのトラックバック一覧です: 「聴かせる」ジャズ・ピアノ:

« 僕はこのマイルスも大好きだ | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・27 »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ