ZEP孤高の大名盤『Presence』
ZEPのオリジナル・アルバムについては、このブログでの遡りを終えた。と思ったら、『Presence(プレゼンス)』(写真左)を忘れていた(汗)。ZEP孤高の大名盤である。
昨日も書いたが、ZEPは既に、サードアルバム以降、ハード・ロックのジャンルからスピンアウトしており、様々な要素の音楽、様々な国の音楽の要素を取り込み、それぞれの特色あるリズム&ビートをハード・ロックなビートに織り交ぜて、ZEP風プログレッシブ・ロックとでも表現したほうが良い様な、ZEP独自の音世界を確立している。
よって、サードアルバム以降のZEPを「ハード・ロック」の範疇として理解するのは、全く持って無理がある。この『Presence』だって同じ。このアルバムを通常の「ハード・ロック」として理解しようとすることは、全く持って無理がある。
『Presence』はZEP第7作目のアルバム。1976年3月31日発売。プロデューサーはジミー・ペイジ。徹頭徹尾、ソリッドで、限りなくシンプルな音作りをベースにした、ZEP特有のZEP風プログレが、一番ハードでタイトでシンプルな方向に振れた大傑作である。このアルバムのシンプル感は「癖になる」。
とにかく、音の全てが「硬質」。そして、その「硬質」な音に、ZEP独特の音の重量感が加わり、重くて硬い、独特の音質になっている。これはこれまでのZEPに無い音。というか、この『Presence』独特の音世界となっており、この独特の音世界については、ZEP者からすると、かなりの違和感を覚えるのではないか。
しかし、この硬質で重量感のある、それでいて疾走感というスピードが備わった音をベースに奏でられる音は、ZEP特有のZEP風プログレが、一番ハードでタイトでシンプルな方向に振れた状態で、ZEPに貼られていたレッテル「ハード・ロック」にケジメを付けた、とも解釈できる。
無駄な音を極限まで省き、ギターのリフとフレーズだけで勝負する。そこに、ジョンジー+ボンゾに超弩級の重量級リズムセクションが被り、ソリッドな音世界が出現する。ここで、ZEP独特のリズム&ビートが完成し、その上でプラントのボーカルが縦横無尽に駆け回る。
このZEP独特の「硬質で重量感のある、それでいて疾走感というスピードが備わった音」は、決して真似の出来ないもの。僕たちは、ただただ「聴くだけ」である。
これだけ、徹頭徹尾、ソリッドで、限りなくシンプルな音作りをベースにしたアルバムである。当然、当時の商業ロックの範疇からは完全に逸脱しており、結果的に『Presence』はZEPの全カタログ中、最も売れないアルバムとなっている。十分に理解できる事実で、通常のハード・ロックのファンであれば、キーボードやその他の楽器は一切使用されていない「ストイック」な音は、つまらなく感じるのだろう。
しかし、この『Presence』は、ZEPの音世界が一番ハードでタイトでシンプルな方向に振れた状態で、1970年代のハード・ロックを総括し、ハード・ロックからの訣別を宣言した「ZEP孤高の大名盤」だと僕は評価している。
このアルバム・ジャケットも「ヒプノシス」が担当している。白基調の見開きジャケットに、表裏あわせて4面に、計10枚の写真を配置。写真はいずれも、1950年代の米国を連想させる、日常的な情景を捉えた、意味ありげな写真。しかし、その写真のいずれにも、映画「2001年宇宙の旅」のモノリスを連想させるような「漆黒の奇妙な物体 (Obelisk)」 が写っている。
これが何とも不思議な緊張感を醸し出しており、実にヒプノシスらしい、実に秀逸なジャケットである。この「漆黒の奇妙な物体 (Obelisk)」が、アルバム・タイトルの「Presence(存在感)」を現している。
ZEPの音世界が一番ハードでタイトでシンプルな方向に振れた、ZEPの大名盤。ZEP独特の「音の骨格」を目の当たりにするような、凄く「硬派」なアルバムです。
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