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2011年5月21日 (土曜日)

ZEP最後のオリジナル・アルバム

途中、ZEPのコンサート映画『The Song Remains the Same』のサウンドトラック盤があるが、前作『Presence』から3年以上の間を空けて、作成されたアルバム『In Through the Out Door』(写真左)。オリジナル・アルバムとしては、この後、ボンゾが急逝したため、最後のオリジナル・アルバムとなった。

1979年8月のリリースになる。ロック界は、英国ではパンクの嵐が吹き荒れ、米国は大ディスコ音楽ブーム。1970年代を代表する著名なロックバンドは、次々と陶太され、次々と「店じまい」していった時期。もはや、ZEPとて過去のバンド、と言われた時期だが、その評価に反して、このアルバムは、ビルボードのチャートで1位となり、7週間その地位を守った。つまりは、当時のパンクとディスコは「流行」であり、時代の「あだ花」だったような気がする。

しかし、この頃、ギターのジミー・ペイジは絶不調で、ジョンジー(ジョン・ポール・ジョーンズ)の回想によれば、ペイジは全くやる気を見せず、時としてスタジオにはプラントとジョーンズとだけが放置されるような状態であったという。

確かに、このアルバムでは、ペイジのギターはあまり活躍しない。代わりに、ジョンジーのキーボード、特に、シンセサイザーが大活躍。当時は、ハード・ロックのバンドが、キーボード中心の音作りをすると、特に、シンセを導入すると途端に評価が下がる、という、とんでもない風潮があり、日本でもこのアルバムに対する雑誌の評論は芳しくないものばかりだった。でも、聴けば判るんだが、これ良いアルバムですよね。なにもギター・バンドの体だけが、ハード・ロックでは無い。

というか、ZEPは既に、サードアルバム以降、ハード・ロックのジャンルからスピンアウトしており、様々な要素の音楽、様々な国の音楽の要素を取り込み、それぞれの特色あるリズム&ビートをハード・ロックなビートに織り交ぜて、ZEP風プログレッシブ・ロックとでも表現したほうが良い様な、ZEP独自の音世界を確立している。

そういう観点に立ってみると、この『In Through the Out Door』は、そのZEP独自の音世界を、改めて再認識し、1980年代に向けたバンドの音世界の方向性を様々な角度で表現した「ショーケースの様なアルバム」と僕は評価している。このアルバムに収録された曲を見渡して見ると、1曲として、同じリズム&ビートの曲は無い。そう言う意味で、このアルバムは、実にZEPらしいアルバムと言える。当時の「レッド・ツェッペリンらしさに欠ける」という評価は当たらない。

In_through_the_outdoor

特に、前半の3曲は良い出来だと思う。個人的には、3曲目の「フール・イン・ザ・レイン(Fool in the Rain)」が大好きで、この曲は当時から何度聴いたか知れない。シャッフル・ビートが実にクールな前奏が良い。ダンス音楽風なんだが、ZEP独特の重量感があって秀逸。そして、テンポ変わってハイテンポのサンバ調の中間部が、これまた秀逸。

4曲目以降が、このアルバムの「真のハイライト部分」であろう。4曲目の「ホット・ドッグ」は、ZEP風カントリー&ウエスタン。5曲目「ケラウズランブラ」は、思わず苦笑してしまう、ZEPしか表現出来ない重量級のテクノ風ダンス・ナンバー。しかし、ボーカルのプラントは実に楽しそうに歌っている。良く聴けば、なかなか仕掛けに富んでいる奥深いナンバー。洗練度が低いので損をしているが、これを練り込んでいけば、1980年代のダンス・ミュージックに直結する、時代を先取りした演奏。

6曲目「オール・マイ・ラヴ」は、米国中心にディスコ・ミュージックの陰で、静かに流行っていたAOR風のラブ・バラード調のZEPらしからぬ曲。ZEPは音楽的な柔軟度が高いことをこの演奏は示している。でも、ジョン・ボーナム(ボンゾ)の重量級のドラミングがAOR独特の甘さを消し去って、やはり徹頭徹尾、ZEPらしいナンバーに仕上がっている。シンセのアレンジが巧み。ジョンジーのテクニックには目を見張る。そして、ラストの7曲目「アイム・ゴナ・クロール」はZEPお得意のリズム・アンド・ブルース。シンセの前奏が実にクール。このラストのR&Bがなかなか「イケる」。

全体を通して、この『In Through the Out Door』は、ZEPとして良い出来だと思う。ちなみに、ジョンジーは、アルバム全7曲中の6曲でリード・コンポーザーとしてクレジットされている。また、シンセ中心のアレンジにその才を遺憾なく発揮しており、クレジットとは全く異なりに、このアルバムはジョンジーのアルバムと言って良いだろう。ジョンジー中心の次作が楽しみな出来であった。

しかし、このアルバム『In Through the Out Door』のリリース直後、ボンゾが急逝し、いきなり、ZEPはその歴史を閉じることとなった。1980年12月4日、ZEPは解散を表明する。実に唐突で実に残念な出来事だった。(そして、1980年12月8日には、ジョン・レノンが凶弾に倒れることになる。この嵐のような1980年12月。僕はリアルタイムで体験し、僕はしばらく落ち込んだ)。

この『In Through the Out Door』を聴いて、やはり強く思うのは「ZEPらしさとは、ボンゾのドラミングにあり」。1曲として、同じリズム&ビートの曲は無いのだが、アルバム全体を通じて、その統一感を現出しているのは、唯一、ボンゾの超重量級のドラミングである。改めて、ボンゾのドラミングは唯一無二、ZEPに必須のアイテムだったと思う。

なお、ジャケットデザインはヒプノシス。セピア調のシングル・ジャケットは、なんと6種類のデザインが用意された。しかも、この6種類のジャケットはクラフト紙の外袋(写真右)に入れて密封、購入して袋を取り除くまで、どのジャケットを購入したか分らないようになっていた(当時、これには閉口した)。さらに、内袋にはモノクロの特殊印刷がなされ、水で濡らすと発色するようになっていた。当時として、ちょっと懲りすぎのジャケットであった。

 

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