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2011年5月18日 (水曜日)

コーネル・デュプリーの訃報

GW前、元キャンディーズの田中好子さんの訃報も、昨日の児玉清さんの訃報もショック。学生時代から親しんできた芸能人が鬼籍に入るのは辛い。
 
ジャズ界でも訃報が相次いでいて、5月8日に、元「Stuff」のギタリスト、コーネル・デュブリーが亡くなった。お気に入りだっただけに、これまた辛い。晩年は肺気腫を患い、チューブに繋がれながら演奏、肺移植手術の費用を集めるために仲間がチャリティーライブをしていたりしていたようです。
 
コーネル・デュプリー(Cornell Dupree)は、ジャズ・ギタリスト。フュージョン・ギタリストと言った方が座りが良いかも知れない。あの伝説のファンキー・フュージョン・バンド「Stuff」のギタリストでもあり、その後、Stuffのメンバー有志中心で結成された「The Gadd Gang」のギタリストでもある。
 
コーネル・デュプリーのギターはとにかくファンキー。しかも、テレキャスの硬質の音と相まって、バキバキのファンキー。そして、弾き方に特徴があって、ちょっと個性的な「タメ」があって、その後、一気にアドリブ・フレーズを弾き切るって感じの、聴けば、おおよそ、コーネル・デュプリーやなこれは、と判るほど、個性的な弾きっぷりである。
 
デビュー・アルバム『Teasin'』 を1974年にリリース。ゴードン・エドワーズによるセッション・バンド、「エンサイクロペディア・オブ・ソウル」にも参加。このバンドが縁で、あの伝説のファンキー・フュージョン・バンド「Stuff」にギタリストとして参加。そして、「Stuff」の自然消滅の後、Stuffのメンバー有志中心で結成された「The Gadd Gang」のギタリストとして活躍。うん、この辺りが、デュプリーの一番輝いていた時期かもしれない。
 
追悼の意味を込めて、1974年にリリースのデビュー・アルバム『Teasin'』(写真左)を聴く。このアルバムは、いつ聴いても良い。デュプリーの個性が、デュプリーの特性がぎっしりと詰まっている。デュプリーの本質を理解したければ、真っ先に、このデビュー・アルバム『Teasin'』を聴くことをお勧めする。
 

Teasin

 
「Stuff」は、ファンキー・フュージョン・バンドとして、「フロント管楽器」無しのリズム・セクションのみで構成された、実に硬派なバンドだった。フレーズに頼ることなく、リズム・セクションのリズム&ビート、ノリ&うねりで勝負するバンドだった。これが、また凄いんだが。そこに、小粋なギター・ソロのフレーズが被るんで、僕たちは喝采の声を上げるのだ。
 
デビュー・アルバム『Teasin'』を聴いていると、もともとデュプリーは、「Stuff」よりもよりポップな、より大衆的で聴きやすい、一般万民に受け入れられ易いファンキー・フュージョンを狙っていた節がある。4曲目「Feel All Right」や7曲目「Okie Dokie Stomp」のポップで大衆的なファンキーなノリには、今でも「ニヤリ」としてしまう。僕も意外と好きなんですよ、このポップで大衆的なファンキーなノリが・・・。
 
そして、ラストの「Plain Ol' Blues」のコテコテなスロー・ブルースなノリは、いや〜捨て難い(笑)。これ、凄いですよ。大学時代から、この「Plain Ol' Blues」を聴く度毎に「感じ入ってしまう」のだが、いやいや、とにかく、コーネル・デュプリーのテレキャスの硬質でシャープなエレギの音で奏でられるブルースって、もしかしたら、唯一無二かもしれない。
 
昔々、この1974年にリリースのデビュー・アルバム『Teasin'』を、大学時代、大阪梅田の大手レコード店で見つけて(外盤だったか?)、大枚叩いて手に入れた覚えがある。そして、この『Teasin'』は、大学近くの下宿で、しばらくの間、ヘビーローテーションな一枚となって鳴り響いていた。
 
鼻高々だったなあ。この1974年にリリースのデビュー・アルバム『Teasin'』を所有し、これを毎日、聴き愛でている奴って、そうそういない、と鼻高々だった。
 
が、しかし、この『Teasin'』というアルバムが、フュージョン・ジャズの世界で、実に小粋で、実にマニアックな存在だということを理解する友人はいなかった。当時は、AOR全盛時代。ファンキー・フュージョンなギター・アルバムは、あまりにマニアック過ぎて、その「粋」を理解してくれる取り巻きはいなかった(笑)。
 
コーネル・デュプリー追悼と言うには、ちょっとお粗末なエピソードかもしれないが、僕たちにとって、コーネル・デュプリーの存在って、そんな存在だったのだ。実に小粋で、実にマニアックな存在。そして、僕は今でも、コーネル・デュプリーのテレキャスの硬質でシャープなエレギの音が大好きだ。

Cornell Dupree(コーネル・デュプリー)2011年5月8日逝去。享年68歳。ご冥福をお祈りします。合掌。
 
 
 
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コメント

マスター、お久しぶりです!
いやはやデュプリーの訃報にはショックを受けました。
何しろ私のフェイバリット・ギタリストの一人でしたので。同じテレキャスを持っていますし、ライブを確か2回観に行きました。ハイスツールに腰掛け、長い指で軽快に弾いていた姿が今でも忘れられません!
私もこの「ティージン」がベストだと思いますし、次点が「スタッフ」です。
ご冥福をお祈りいたします。
ところで梅田のレコード店って何処ですか?

お久しぶりです、いらっしゃい、N1号さん。松和のマスターです。
 
う〜ん、テレキャス持っているんですか。しかもライブも2回観ていらっしゃる。
年季が、気合いが入っていますね〜(笑)。本当にデュプリーの逝去は残念でした。
 
そうそう、梅田のレコード店の件。なんせ昔の事で、うろ覚えなんですが、
三番街のかっぱ横丁の奥か、駅前第1ビルの中だったかと思います(^_^;)。
 

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