都会な雰囲気のフュージョン
昨日、初夏のこのシーズン、あっけらかんとしたフュージョンが良い、と書いた。アレンジが良く、演奏テクニックがあって、歌心のあるヤツが良い。心がポジティブになって、口元が微かに緩むヤツ、それが良いと書いた。
初夏の雰囲気にピッタリ。特に雨に日にピッタリ。アルバム全編を通じて、これが実に僕の弱いところを突いてくれていて、実に心地良い。曲の全てが『アメリカ』を沸々と感じさせる、そんな、デビット・ベノワの『American Landscape』をご紹介した。
今日は、米国を感じされてはくれるが、ベノワのアルバムの様に、米国の自然や風景を感じさせてくれるのでは無く、米国のアーバンな、都会の雰囲気をビンビンに感じさせてくれるフュージョン・ジャズについて語らせて頂きたい。
ザ・クルセイダースというフュージョン・バンドがある。源は、1961年にデビューした、ウェイン・ヘンダーソン(tb), ウィルトン・フェルダー(ts), ジョー・サンプル(key), スティックス・フーパー(ds) の4人が結成したグループ「ジャズ・クルセイダーズ」を前身とする。僕は、その「ジャズ・クルセイダース」時代のファンキー・クロスオーバー・ジャズが気に入っている。
ここに『Old Socks New Shoes New Socks Old Shoes』(写真左)というアルバムがある。1970年、クロスオーバー・ジャズ全盛期、真っ只中でのリリースである。当然、このアルバムの全体的雰囲気は、徹頭徹尾、クロスオーバー・ジャズである。しかも、クルセイダーズ独特のファンキー感満載の、ファンキー・クロスオーバーである。これって、クロスオーバー全盛時代の中では珍しい存在。
冒頭の「Thank You Falettinme Be Mice Elf Again
」から、コテコテのファンキー・ジャズが展開される。ちょっと垢抜けて、ちょっとロックっぽく聴き易く、後のファンキー・フュージョンな「ザ・クルセイダース」を想起させてくれる、なかなか小粋なファンキー・クロスオーバーな演奏を聴かせてくれる。
まず、ジョー・サンプルのキーボードが洗練された音を出していて、とにかく小粋である。ここでのジョー・サンプルは、ソロ・アルバムの様に、生ピアノの音の響きを前面に押し出す様な個性の出し方では無く、バンドの音のコンセプトである「ファンキー・クロスオーバーな音」に合わせて、エレピ中心で、実にファンキーなキーボードの音を展開する。これが、まず耳に覚える「ジャズ・クルセイダース」独特の音世界である。
そこに、スティックス・フーパーの、これまた、コテコテファンキーなドラミングがバッキングする。このコテコテファンキーな、ジョー・サンプルのキーボードとスティックス・フーパーのドラミングが、「ジャズ・クルセイダース」時代のファンキーなグルーブ感の源泉。
当然、そんなコテコテファンキーなリズム・セクションに乗った、トロンボーンのウェイン・ヘンダーソンと、テナーのウィルトン・フェルダーが、やはり、コテコテファンキーな音に染まるのも無理は無い。コテコテファンキーとは言え、洗練された「コテコテファンキー」なので、耳にもたれない。どころか、爽快感漂う実に聴くに心地良いファンキー・クロスオーバーである。
アレンジも良好。まあ、ビートルズ・ナンバーの「Golden Slumbers」の首を傾げたくなるような凡庸なアレンジもあるにはあるが、アルバム全体としては良好。1970年のファンキー・クロスオーバーとしては良質の佳作である。初夏の雰囲気にピッタリ。初夏の昼下がりにお勧めです。
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