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2011年4月19日 (火曜日)

傑作は何回聴いても良い

ソニー・ロリンズはジャズの大御所。数少ない現役のジャズ巨人。1930年生まれだから、今年で81歳になる。まだ、バリバリの現役である。

ロリンズのテナーは豪快な、そして、包む込むように大らかなブロウが特徴。そして、湧き出る泉の如く、イマージネーション豊かなアドリブ・ライン。ロリンズほど、デビュー当時から、その基本スタイルが変わらないミュージシャンはいない。1950年代から今に至るまで、彼のテナーのスタイルは全く変わらない。

そんなロリンズには、当然のことながら、傑作と呼ばれるアルバムは多々ある。そんな中で、ロリンズのテナーの特徴がはっきりと出ている、これを聴けばロリンズの特徴がバッチリ判る、これぞ「ソニー・ロリンズ」という名刺代わりな一枚がある。

そのアルバム・タイトルは『Way Out West』(写真左)。1957年3月7日の録音。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), Ray Brown (b), Shelly Manne (ds)。ロリンズお得意のピアノレス・トリオの編成である。1957年、ロリンズはマックス・ローチのバンドに参加し、米国西海岸に遠征。その際、現地調達よろしく、ベースの職人レイ・ブラウンと、ドラムの職人シェリー・マンを加えて録音したアルバムが『Way Out West』。

カウボーイを真似たジャケット写真を見ても判るように(オリジナルは写真左・別バージョンとして写真右)、この米国西海岸の遠征は、ロリンズにとっても実に楽しい体験だったようだ。米国西海岸、つまり「米国西部」での録音ということで、「俺は老カウボーイ」「ワゴン・ホイール」といった西部劇映画の楽曲をカバーしているところも一興。なかなか、企画盤の様で面白い。

このアルバムでの、ロリンズは、天衣無縫、豪放磊落、変幻自在、縦横無尽にテナーを吹くまくっている。ピアノレスということで、ピアノのコードに縛られない、「基音はベース・ラインのみ」の上の広大な演奏スペースの中で、自由闊達なブロウが炸裂する。とにかく吹きまくる吹きまくる。ベースのブラウンも、ドラムのマンも「ほったらかし」にして、ロリンズは「我が道を行く」である。
 
Way_out_west
 
西部劇映画の楽曲をカバーしていたりして、なかなか楽しそうな雰囲気であり、時にユーモラスなフレーズも飛び出したりする、とかで、なんだか聴きやすい、ジャズ者初心者向けのアルバムかと思うんですが、実は、このアルバムは、かなり硬派なジャズ盤だと思います。確かに、初心者向けジャズ盤紹介には、この『Way Out West』は、かなりの頻度で登場するんですが、僕は、この盤はジャズ者初心者の方々には勧めません。

ピアノレス・トリオで、かつ、ロリンズのワンホーンなので、とにかくロリンズが吹きまくります。しかも、天衣無縫、豪放磊落、変幻自在、縦横無尽にテナーを吹くまくるという点で、自由闊達なブロウという点で、この『Way Out West』は、ロリンズのアルバムの中で最高位に位置づけられるものです。

凄い勢いでアドリブ・フレーズが疾走していきます。何が何だか判らない位のスピードと変化。コードは天衣無縫かつ複雑に変化し、しかも、ロリンズのブロウは気合い十分で、テナーの音が良い意味で尖っています。ゴツゴツとしたブロウ。実に硬派なジャズ・テナーのブロウが、これでもかと言わんばかりに、別テイク含めて、全編約70分程度続きます。はっきり言って「疲れます」(笑)。

この『Way Out West』でのロリンズのブロウは、特にアドリブ・フレーズの連続は、ジャズ者初心者の方々には、ちょっと重荷かと思います。他のロリンズの聴きやすいアルバムを4〜5枚聴いて、「ロリンズは凄い。ロリンズを少し聴き極めてみたい」と感じた向きには、この『Way Out West』をご紹介して、ロリンズの本当の凄さを体験して頂きたいとは思いますが・・・。

ロリンズ初体験に、この『Way Out West』は、ちょっと向かないかと思います。何を隠そう、僕も、ジャズ者超初心者の頃、この『Way Out West』を入手しましたが、最初の頃は、何が何だか判らないアルバムでした。ロリンズのブロウ、アドリブ・フレーズの凄さを理解出来る様になったのは、ジャズを聴き始めてから2〜3年経ってからでしょうか。つまりは、この『Way Out West』は、ジャズ者中級者としての入り口に位置するアルバムなのかもしれません。

しかし、傑作は何回聴いても良い。傑作は何時聴いても良い。今日は久しぶりに『Way Out West』を堪能しました。繰り返し2度通して聴いて、いや〜「ぐったりと疲れました」(笑)。しかし、聴き終えた後の爽快感は抜群なものがあります。

 

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