最近のトラックバック

« It's About That Time | トップページ | マイルスの「ジャズ・ロック」 »

2011年4月 6日 (水曜日)

マイルスの「いつかは王子様が」

マイルスは、アコースティック・ジャズの範疇でも、素晴らしい成果を残してくれている。特に、スタンダード曲の解釈とアレンジは絶品で、如何にマイルスが 優れたミュージシャンだったのかが、良く判る。そんなアコースティック・マイルスの成果を一枚一枚、再確認していく作業はとても楽しい。

アコースティック・マイルスのアルバムはどれもが素晴らしい。捨て盤は無い。マイルスというミュージシャンの基準で評価すると、ちょっとこれは平凡やなあ、というアルバムはあるが、それは類い希なジャズ・ジャイアントである「マイルス」という基準で評価したら、ってことで、他のジャズメンの成果と比べたら、それはそれで「秀でた」ものになってしまうのだから、マイルスって恐ろしい。

アコースティック・マイルスのアルバムはどれもが素晴らしいが、そんな中でも、愛聴盤というものが幾枚かある。その筆頭が『Someday My Prince Will Come』(写真左)。1961年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp) Hank Mobley (ts) John Coltrane (ts) Wynton Kelly (p) Paul Chambers (b) Jimmy Cobb (ds) 。

マイルスが、その先進的な歩みをふと止めて、当時のジャズの演奏スタイルのど真ん中だった「ハード・バップ」で、マイルスは演奏した。しかし、それははっきりとマイルスのそれであり、通常の「ハード・バップ」のレベルでは無い、当時の「ハード・バップ」の演奏のレベルのバーを遙かに上げ去ってしまった。マイルス孤高のハード・バップがここに記録されている。

マイルスのトランペットは、オープンもミュートもどちらも絶好調。マイルスのトランペッターとしての力量が良く判る、素晴らしい演奏が繰り広げられている。マイルスのペットは決して優しくは無いし、繊細でも無い。マイルスのペットは、オープンもミュートも「ハード・ボイルド」である。映画「カサブランカ」のボビー・ハンフリーの様な、凄く格好良い「ハードボイルド」。

冒頭の「Someday My Prince Will Come」から「Old Folks」の冒頭ミュート・トランペット2連発が凄まじい。この2曲だけで、もうお腹一杯になりそうな、凄いテンション、凄いイマージネーション溢れるマイルスのミュート・トランペット。
 
My_prince_will_come
  
このハードボイルドなミュートに、僕は、ハンク・モブレーの柔らかで優しいテナーが良く合うと思っている。皆、コルトレーンを褒め称えるが、僕は、マイルスのハードボイルドなミュートに、コルトレーンの激しさは合わない。コルトレーンのシーツ・オブ・サウンドは合わない。少なくとも僕にとっては「トゥー・マッチ」。五月蠅すぎる。

そして、このアルバムで、このマイルスの「ハード・バップ」にピッタリと合ったピアニストが、ウィントン・ケリー。このアルバム・セッションでのピアニストが、ウィントン・ケリーで大正解。そこはかとなく翳りを宿したファンキーなハッピー・スウィンガー、ウィントン・ケリーが、そのハッピー・スウィンガーぶりを抑制しつつ、そこはかとなく翳りを宿しつつ、そこはかとなくファンキーなソロを奏でるところなんざぁ、あ〜幸せ〜ってな感じになりますね(笑)。

マイルスの自作曲もなかなかのもの。モーダルな「Teo」なんざぁ、もうひっくり返らんばかりの自由度です。これが1961年の演奏か。まだ、モード奏法って、マイルスが手に染めて2〜3年しか経っていないはず。それで、この自由度。バックがマイルスのレベルについていっていないので、ちょっと違和感が漂う演奏の響きになっているが、マイルスのモーダルなインプロビゼーションは孤高。至福の一時を感じることができる。このアルバムでのマイルスのモーダルな演奏も特筆すべきもの。

良いアルバムです。マイルスの代表的なアルバムとは言い難いかもしれませんが、マイルスが、その先進的な歩みをふと止めて、当時のジャズの演奏スタイルのど真ん中だった「ハード・バップ」で、マイルスは演奏した。そんなマイルスに、何かホンワカした暖かさを感じる事ができるアルバム『Someday My Prince Will Come』です。僕は、この『Someday My Prince Will Come』でのマイルスが大好きです。

ジャケットを見れば、当時のマイルスの嫁はんだった、フランシス・テイラーの顔の「どアップ」写真がドーンと迫ってくる。最初、学生の頃、このアルバムをレコード屋で買う時、勇気がいったなあ。嫁はんの写真に、アルバム・タイトルが『Someday My Prince Will Come』。邦題が「いつかは王子様が」。ということは、マイルスは「王子様」ってことか。いやはやご冗談。強面マイルスに「王子様」は似合いません(笑)。  

 

がんばろう日本、自分の出来ることから始めよう。震災についての状況や松和のマスターの周りの様子や気持ちなどは、毎日、出来る限り、Twitterにて、つぶやくようにしました。

ユーザー名は「v_matsuwa」、名称は「松和のマスター」でつぶやいていますので、よろしくお願いします。ユーザー名「v_matsuwa」で検索をかけたら出てきます。
 

Fight_3

★Twitterで、松和のマスターが呟く。検索で「松和のマスター」を検索してみて下さい。名称「松和のマスター」でつぶやいております。

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

« It's About That Time | トップページ | マイルスの「ジャズ・ロック」 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80793/39513166

この記事へのトラックバック一覧です: マイルスの「いつかは王子様が」:

« It's About That Time | トップページ | マイルスの「ジャズ・ロック」 »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ