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2011年4月 4日 (月曜日)

ジャズとイージーリスニングの境目

ジャズは境界線が曖昧。どこまでが「ジャズ」で、どこまでが「イージーリスニング」なのか。4ビートの後ろ打ちを採用したインストルメンタルは、全てジャズかと問われたら、答えは「No」。コードにブルーノートを採用していたらジャズなのか、と問われたら、答は「No」。

しかし、その演奏が「ジャズか否か」の議論 は、さほど重要ではない。聴いた人が、演奏する人が「ジャズだ」と思えば「ジャズ」。後は「良いジャズ」か「平凡なジャズ」かに分類されるだけ。

何故こんな話をするかと言えば、日本のジャズの世界特有の事象なのだが、時たま、ある日突然、全く無名のジャズ・ミュージシャンが、ぽっと出てきて、いきなり好セールスを記録したりする。日本のレコード会社の企画ものなんだが、これがまあ、実に巧妙に売出してくる。単純な売上狙いの仕掛けなんだが、これに日本人はスッポリはまる(笑)。 

昨年4月、ある日突然、ぽっと出てきて、日本でいきなり売れたジャズ・ピアニストがいる。その名は「ビージー・アデール (Beegie Adair)」。

1937年、アメリカ東部のケンタッキー州出身。ウェスタン・ケンタッキー大学でピアノを学ぶと共に音楽教育も専攻、卒業後は、ナッシュビルに移ってセッション・ミュージシャンとして活動。1982年、初リーダー作『エスケープ・トゥ・ニューヨーク』をリリースしてソロ・アーティストとしてデビュー。これまでに24枚のアルバムをリリース。ジャズのスタンダードやポピュラーの名曲をジャズ・ピアノ風にアレンジしてカバーする、いわゆるイージーリスニング寄りのジャズ・ピアノ、カクテル・ピアノ風の演奏が主流と聞く。

これがまあ、何故か昨年、日本でブレイクしちゃったんですよね。昨年4月にリリースした、ビージー・アデールのジャズ・ピアノ曲集『マイ・ピアノ・ロマンス』は、日本の2010年上半期JAZZチャート1位のCDとなった。加えて、来日公演までやってしまって、これがまた大盛況。これはちょっと聴かず嫌いでは通用せんなあ、ということで、昨年10月にリリースされた『マイ・ピアノ・ジャーニー』(写真左)を入手。ちょっと聴いてみた。
 
My_piano_journey
 

カバー曲のテーマは「秋」と「旅」。これはまあ、超有名なスタンダード曲がズラリと並ぶ。録音も良い。ドラムの音も生々しく、シンバルの音はシャーン、チーンと心地良く、スネアの音もスパントトトンと心地良く、ハイハットの音もスチャスチャと心地良い。ベースの音は胴鳴りもブルブル鳴って、太い弦の弾く音がブンブン唸る。ピアノの奏でる旋律は、歌えるような印象的でキャッチャーな旋律が延々と続く。あれっ、これって、ある高名なジャズ評論家の方が提唱する「ピアノ・トリオ名盤の条件」にピッタリではありませんか(笑)。

とにかく徹頭徹尾、聴き心地満点。CDショップの売り文句は「お洒落に優雅にお茶を飲みながら、くつろぎタイムに聴きたい感じですよ〜」。確かにその通り。上質なイージーリスニング寄りのジャズ・ピアノがてんこ盛り。好録音が上質なカクテル・ピアノを聴いている様な臨場感を提供してくれる。

うんうん、確かにこれは売れるでしょうね。でも、ジャズ・ファンに売れたかどうかは疑わしい。最近、ジャズはお洒落な音楽、大人の音楽として、チョイスされる傾向があって、ジャズ・ファンというよりは、音楽ファンが、聴き心地の良いイージーリスニング系のインストルメンタルなアルバムはないか、と探していたら、たまたま、このビージー・アデールが「売出し中」だった、という感じではないかと思っています。

ビージー・アデールのピアノは個性というものは見当たらず、とにかく聴き心地の良い、カルテル・ピアノ風のクリスタルな響きが美しく、アドリブ部も安全運転の展開。速すぎず遅すぎず、教科書的なアドリブ展開を聴いていると、これってアドリブ部も譜面に落としているのではないかしら、と思ってしまいます。それだけ、破綻無く端正で、ただただ美しいアドリブ部は、とにかく聴き心地が良い。

こういうジャズ・ピアノ・トリオのアルバムがあっても良いと思いますし、売上があがるのも、それはそれでニーズがある証拠で良いことだと思います。確かに、上質なイージーリスニング寄りのジャズ・ピアノとして、ながら聴きするには格好の一枚です。

で、じゃあ、松和のマスターとして、この 『マイ・ピアノ・ジャーニー』をジャズ者初心者の方々にお勧めするのか、と問われれば「いいえ」と答えます。ジャズの世界には、もっとジャズ者初心者の方々に格好のアルバムが多々あります。なにも、売上狙いの日本のレコード会社の企画ものを、わざわざチョイスして、ジャズ者初心者の方々にお勧めしなくてもいいかな、と思っています。

逆に、ジャズ者ベテランの方々にはお勧めするかも。たまには、上質なイージーリスニング寄りのジャズ・ピアノも悪くはありません。たまの昼下がりに、ウトウトしながら、ながら聴きするに格好の一枚かもしれません。
 

 

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