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2011年4月28日 (木曜日)

ピアノ職人は優れたベースと組む

名盤請負人、ジャズ・ピアノの職人、トミー・フラナガンは、僕の大のお気に入り。愛称トミフラ。名盤あるところにトミフラあり、トミフラに駄盤無し、と良く言われるが、けだし「名言」。パーソネルにトミフラの名前を確認出来れば、その盤は期待を裏切らない。特に、ピアノ・トリオは絶対に大丈夫だ。

特に、トミフラの場合、良きベーシストと組むと、その「職人魂」は一層引き立つ。良くトミフラは「伴奏の名手」で、伴奏に回ってこそ、バックに回ってこそ、その実力を遺憾なく発揮する、などという、もっともらしく、酷い「誤解」的な評論があったりするが、とんでもない。1970年代半ばまで、トミフラのリーダー・アルバムが僅少だったことが主な理由なんだが、とんでもない評論をする人もいたもんだ。

また、トミフラは派手な、ポリリズムを駆使した超絶技巧な激情派ドラマーと組むと、ドラマーの音にあわせて、無理矢理マッチョな、バップ奏者の様な、激しく力強いタッチのピアノを弾かされてしまうので「好ましくない」などどいう、これまた、とんでもない誤解があったりするが、何を隠そう、トミフラは「ハード・バピッシュな」ピアニストである。彼のタッチは、バップ・ピアニストのそれであり、力強いフレーズは、これまた、トミフラの個性のひとつでもあるのだ。

力強いタッチ、流麗なフレーズ、小粋な指回し、絶妙の間合い、これらがひとつとなって、トミフラの個性を形成している。

そのトミフラの個性は、ポリリズムを駆使した超絶技巧な激情派ドラマーなどでは揺らがない。というか、トミフラのタッチと流麗なフレーズを考えれば、柔なドラマーだとトミフラのバックは勤まらない。ドラマーよりも、トミフラの個性を良い方向へ増幅させるッ鍵を握っているのは、僕は「ベーシスト」だと睨んでいる。

ここに、Tommy Flanagan Trioの『Jazz Poet』というアルバムがある。ピアノ・トリオの佳作。私、松和のマスターが長年、密かに愛聴してやまない優れもの。トミフラに駄盤無しと言うが、優れたベースとドラムが伴えば「無敵」という好例だと思う。
 

Jazz_poet

 
ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan (p), George Marz (b), Kenny Washington (ds)。1989年1月17日、19日の録音。録音場所は「Englewood Cliffs, New Jersey」とあるので、録音技師は、かの「ルディー・バン・ゲルダー」である。

ドラムのケニー・ワシントンは、ポリリズムを駆使した超絶技巧な激情派ドラマー。ポリリズムを駆使した超絶技巧な激情派ドラマーの総本山、エルビン・ジョーンズに非常に良く似たドラミングを披露する。うっかり聴いていると、エルビンとキッチリ間違えて聴き込んでしまう。

そして、秀逸なのが、ベーシストのジョージ・ムラーツ。ブンブンと心地良く響く胴鳴りに、ピッチの気持ち良くあった、タイトで太いベース音。テクニック優秀、いかなる場面でも、いかなる展開でも破綻の無い、堅実かつ豪放磊落なベースが実に素晴らしい。これだけ、太く安定したベーシストに恵まれると、ピアノは右手中心の旋律に集中できるのか、このアルバムのトミフラは、いつになく小粋で、いつになくホットなアドリブを随所で聴かせてくれる。

そうですね、どの曲も、どの演奏も良いですね。この『Jazz Poet』の中に収録された演奏は、どの演奏も優れたもので、3者共に、非常に優れた演奏を繰り広げていて、それはそれは、上質なピアノ・トリオ演奏を聴かせてくれます。

「ピアノ職人は優れたベースと組む」。ジャズ・ピアノの職人と呼ばれる範疇のジャズ・ピアニストは、ベーシストを選ぶのかもしれませんね。確かにそうかもな。ビル・エバンスにスコット・ラファロ。ハービー・ハンコックにロン・カーター、チック・コリアにスタンリー・クラーク。レッド・ガーランドにポール・チェンバース等々。優れたジャズ・ピアニストの傍らには、相棒と呼ばれる優れたベーシストが必ず横に寄り添っている。

『Jazz Post』、訳すと「ジャズ詩人」。このアルバムでのトミフラのピアノの語り口は確かに「詩的」。このアルバム・タイトルって、なかなかに「言い得て妙」である。

 

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