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2011年4月13日 (水曜日)

ハービーの「ソフト&メロウ」

ハービー・ハンコックは、その時その時のトレンドを織り交ぜて、自分の音世界を創り出していく。それって、師匠のマイルスの薫陶を守ってのこと。流石に、チックと並んで、マイルス門下生の筆頭である。

1978年、米国ポップスのトレンドは「ソフト&メロウ」。当然、ハービーは、この「ソフト&メロウ」なトレンドを織り交ぜて、ジャズ界で誰よりも先に、正統派ジャズメンとしての、あるべき「ソフト&メロウ」なフュージョン・アルバムをリリースする。

そのアルバムとは『Sunlight』(写真左)。1977年8月から1979年5月までのセッションを収録した、それはそれは「ソフト&メロウ」なフュージョン・ジャズのアルバムである。が、そのトレンドである「ソフト&メロウ」なフュージョンは「冒頭の3曲」。LP時代ではA面の3曲である。

冒頭の「I Thought It Was You」の前奏のフェンダー・ローズの響きが既に「ソフト&メロウ」。しかも、自らが、ヴォコーダーで歌ってしまっている、という暴挙(笑)。これがまあ、雰囲気のあるボーカルになっていて、いやはや、素晴らしい出来です。

ヴォコーダーとは、「ヴォイス」(voice)と「コーダー」(coder)を合わせた言葉で、電子楽器やエフェクターの一種。音声の波形を直接送るのではなくパラメータ化して送り、受信側ではそれらのパラメータから元の音声を合成する。言葉や効果音を楽器音として使うことができる。「独特な機械的な声」や「楽器音として和音で喋っている声」のように使われる(Wikipediaより)。

このヴォコーダーの使い方が、ハービーの場合、秀逸である。本当に唄っているように聞こえる。それも、シンセサイズされた、独特な機械的な声の響きを上手く活かして、未来的な「ソフト&メロウ」な楽曲に仕上がっている。ハービーのセンスの良さが光る。2曲目「Come Running To Me」と3曲目「Sunlight」でも趣味の良いヴォコーダーを通しての「ボーカル」を聴かせてくれる。
 
2曲目「Come Running To Me」は、徹頭徹尾、「ソフト&メロウ」を地でいく名演。音の雰囲気、奏でる旋律、どれもが「ソフト&メロウ」。左右に揺れるフェンダー・ローズのソロが格好良い。ハービーは、電気鍵盤楽器を生ピアノの様に弾く。決して、電子楽器の特性を活かそうとしない。だからそれが個性になる。ハービーのソロ・フレーズの美しさが電気鍵盤楽器によって、より映える。
  
Sunlight
 
3曲目の「Sunlight」は、「ソフト&メロウ」なファンキー・フュージョン。ファンキーなフュージョンをやらせたら、ハービーの右に出る者はいない。素晴らしいファンキー・ビートに乗せて、ハービーがファンキーなソロを弾きまくる。これって、なかなかにクール。

しかし、「ソフト&メロウ」路線はこの3曲目でまで。4曲目「No Means Yes」から、演奏の雰囲気はガラッと変わる。出だしの前奏は、シンセサイザーを使った「ソフト&メロウ」路線の、ちょっとチャイナな雰囲気なんで、またまた、ハービー独特の「ソフト&メロウ」路線継続か、と思うんだが、演奏の途中から様相がガラッと変わる。

実にハードな演奏に早変わり。4曲目「No Means Yes」では、まだハードなフュージョン・ジャズって感じなのだが、中間辺りからの、フェンダー・ローズのソロが素晴らしい。もう弾きまくり、って感じ。鬼気迫るものがある。思わず、聴いていて、身を乗り出してしまいそうな、そんな熱いフェンダー・ローズのソロ。

そして、極めつけは5曲目の「Good Question」。凄まじい、ピアノ・トリオが展開される。1曲目の「I Thought It Was You」の「ソフト&メロウ」な雰囲気からすると、「え〜っ」という急転直下なハードなジャズへの展開なんだが、これが凄い。ハービーは、生ピアノだけを弾きまくる。

この「Good Question」のトリオ演奏が凄いのは、それはそのはずで、ドラムはトニー・ウィリアムス、エレクトリック・ベースは、ジャコ・パストリアス。伝説の二人である。その超弩級な伝説な二人をリズム・セクションに回して、ハービーが生ピアノを弾きまくる。そう、本当に「弾きまくる」のだ。

トニーはドラムを叩きまくる。もう撃ち合いのボクシングの様に、機関銃の機銃掃射の様に、ドドドドドッと叩きまくる。そして、ジャコは、ベースを弾くまくる。凄まじいスピードで、ギターの速弾きの様に、ボボボボボッと弾きまくる。そして、そんな二人を向こうに回して、ハービーがピアノをガンガンガンガンと弾きまくる。凄いテンション、凄い迫力。この「Good Question」は聴きものである。凄いです。1970年代ハービーの純ジャズ演奏の代表的名演です。

硬派な「ソフト&メロウ」なフュージョン・ジャズと、まともに正統な純ジャズなピアノ・トリオ演奏。1978年のハービーは、素晴らしく不思議な名作を残してくれました。しかし、最近のハービーは、ヴォコーダーで唄うことをしていません。なんか思うことがあったんでしょうか。たまには「唄えば」いいのに・・・。ヴォコーダーのセンスは抜群ですからね。でも、この一枚だけでも、素晴らしい成果が記録されているんだから、まっいいか(笑)。

 

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