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2011年4月 5日 (火曜日)

It's About That Time

やっと、今日、エレクトリック・マイルスを再び聴き始めた。さすがに、大震災以降、聴く気が起きなかったのだが、やっと精神的に立ち直ってきたのだろう。あのハードボイルドな音が、どうしても大震災の後、色々と思う心に重荷だった。

しかし、今は違う。あのハードボイルドな音こそが、僕の復興の狼煙なのだ。大震災以降、首相官邸に対して腹の立つことばかり。イライラが募り、クソッと自らの無力を呪うばかり。そんな時、マイルスの音が、マイルスの言葉が僕の心の背中を押してくれた。よし、ポジティブに行こう。

復活の狼煙、エレクトリック・マイルス、今日の一枚は『Live at the Fillmore East, March 7, 1970: It's About that Time』(写真左)。タイトル通り、1970年3月7日、フィルモア・イーストのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ss,ts), : Chick Corea (key), Dave Holland (b), Jack DeJohnette (ds), Airto Moreira (per)。

凄まじいエレクトリック・ジャズである。暴風雨の様な演奏である。改めて、このライブ盤を聴くと、演奏の自由度に感心する。フリー直前、それぞれの楽器がフリーキーにインプロビゼーションを展開するんだが、ビートの根っこで一体感が保たれている。よほどの統率力とメンバーの力量が兼ね備わっていないと、これほど柔軟な展開は不可能だ。

最大の貢献者は、ベースのデイブ・ホランドとドラムのジャック・デ・ジョネットだろう。この2人の叩き出すビートが、この時期のエレクトリック・マイルスの生命線。ビートはドラムのジャックが、モードの基点はホランドのベースがきっちりと押さえている。この「ぶれない」2人のリズム・セクションがいるからこそ、他の楽器が好きなだけ自由に、好きなだけ自分の音を出し続けることが出来るのだ。

Miles_fillmore_east_1970

「俺には最高のロック・バンドを作ることだってできる」とマイルスは言ったが、確かにこのライブ盤を聴くと、それはハッタリでは無いことが良く判る。このライブの音圧、迫力、自由度、テクニック、イマージネーション、どれをとっても、当時のロックの遙か先を行っている。

当時の単純なロック・ファンはついていけなかっただろう。それは今でも同じかもしれない。普通のロック・ファンはこのエレクトリック・マイルスを理解することは、ちょっとしんどいかもしれない。

なんせ、ロックではあり得ない「超人的なポリリズム」、ロックではあり得ない「複雑で美的なコード進行」、ロックではあり得ない「自由なモード奏法」、ロックではあり得ない「人声の叫びのようなペットの響き」。どれもがロックではあり得ない、ジャズでしかあり得ない、一種暴力的なインプロビゼーションがこのライブ盤の中にギッシリと詰まっている。

個人的にスゲーと思うのは、チックの歪んだエレピ。これは凄い。当時のロックでのエレピ弾き(主にハモンドだけど)、ジョン・ロードやキース・エマーソンなど敵では無い。激烈である。イマージネーション溢れるフレーズ、ほとんどフリーなアドリブ。どうやったら、フェンダーローズでこんな音が出せるのか、と感じ入ってしまう、ジャジーにひしゃげた音。チックの鬼の才能全開。

6人という小編成でこれだけのパワーを持つグループは「凄まじい」の一言。このライブ盤でのマイルスは、とことん「ハードボイルド」。むっちゃ格好良いです。とにかくこれは持っていて損のないライブ盤。エレクトリック・マイルスを体験するのにイチ押しのライブ盤です。このライブ盤でのマイルスに耐えることができれば、他のエレクトリック・マイルスも十分「いけます」。

 
 

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