鼻歌でも歌うかのように『The Sound Of Sonny』
昨日は『Contemporary Readers』の悪口を書いた。まあ、本音なのだから仕方が無い。でも、それではこの時代のロリンズが浮かばれない。
Sonny Rollins『The Sound Of Sonny』(写真左)。『Contemporary Readers』から遡ること1年4ヶ月。リバーサイドからリリースされたこの盤は打って変わって、伸び伸びとしたロリンズのブロウが聴ける佳作である。1957年6月11日の録音。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), Sonny Clark (p), Paul Chambers, Percy Heath (b), Roy Haynes (ds)。
『Contemporary Readers』とどこがどう違うのか。『The Sound Of Sonny』も、1曲平均4分ちょっと。『Contemporary Readers』と変わらない。でも、ロリンズのブロウは明らかに雰囲気が違う。『The Sound Of Sonny』では、リラックスして、鼻歌でも歌うかのように、気持ちのままにテナーを吹き上げている、そんな雰囲気がダイレクトに伝わってくる。
地元のニューヨークでの録音ということもあるし、メンバーも気心しれたメンバーということもあるだろう。『Contemporary Readers』では、米国西海岸のスター達が一同に会したセッションだったので、皆、平等にソロのスペースが与えられ、皆、平等な長さのアドリブが割り当てられていた、そんな気がする。
ロリンズって律儀な性格で、他のメンバーに対して十分過ぎるほど気を使う、という面がある。特に、他のメンバーが優れたジャズメンであり、初対面に近ければ近いほど、その度合いは大きくなるようで、自分を引っ込めてでも、他の優れたメンバーを前面に押し出す、人の良さというか、律儀なところがある。恐らく、『Contemporary Readers』では、それが出たんだろう。
さて、この『The Sound Of Sonny』は、自由奔放、大らかで伸び伸びとしたロリンズのブロウが魅力な一枚である。バックのメンバーに遠慮することなく、自分の気持ちのおもむくままのブログを繰り広げる。バックのメンバーもそれを良しとして、ロリンズに対して効果的なバッキングを繰り広げる。全編を通して、いいセッションだと思います。
収録曲を眺めると、意外と有名スタンダードな曲は少ない。6.曲目の「Ev'ry Time We Say Goodbye」と、8曲目「It Could Happen To You」くらいかなあ。他の曲は、ちょっと地味かも。
解説を紐解くと、4曲目は「What Is There To Say」はナット・キング・コールの歌唱で、9曲目の「Mangoes」はローズマリー・クルーニーの歌唱で有名とのこと、どうもロリンズがそれらを意識して、この選曲となっているらしい。
ラジオから流れるポップス曲をチョイスして、ジャズで演奏する。そんな気楽で気安い雰囲気だったらしく、その気楽さ、気安さがロリンズのブロウに対して、良い影響を与えいているようだ。
とにかく、縦横無尽、自由奔放、大らかで明るく、ところどころで茶目っ気とユーモア溢れるブロウがとても楽しい。この『The Sound Of Sonny』は、ロリンズのそんな個性的なテナーを愛でることの出来る、なかなかの優れものだと僕は思う。
展開されるアドリブはシンプルで判り易く、ジャズ者初心者の方々にも十分に馴染むと思います。アルバム全体の収録時間も、43分半程度と適度な長さで、飽きも辛さも来ないと思います。ロリンズの個性的なテナーを感じるには、絶好の一枚としてお勧めです。我がバーチャル音楽喫茶『松和』でも、意外と良くかかりますよ(笑)。
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