楽しくポップな「バグス」
絵が好きである。もともと図画は得意中の得意。工作は手先が不器用なので全く駄目だが、図画は得意。小学校から中学校まで、絵で表彰されること数知れず。高校時代は芸大進学を勧められた。
特に、近代〜現代絵画が好きで、キュービズムからシュールレアリズム、そして、アブストラクトな抽象芸術まで、どれをとっても大好き。学生時代、博物館実習では、万博跡地にあった国立国際美術館を選択した位だ。
現代絵画・現代美術といえば、ニューヨーク近代美術館(通称:MoMA)。1993年に一度だけ訪れたことがある。これが期待に違わぬ内容。丸一日、MoMAに入り浸りだった。あの美術館の独特の空間は忘れられない。現代絵画・現代美術好きであれば、至福の空間であることは間違い無い。そして、その至福の空間に、ポッと安らぎの「庭」があった。
「ニューヨーク近代美術館」というキーワードだけで、このアルバムを手にした。ヴァイブの巨匠ミルト・ジャクソン(ニックネームは「バグス」)が、お気に入りのメンバーを従えて、ニューヨークのMoMA・彫刻ガーデンで繰り広げた野外コンサートのライヴ。タイトルは『MILT JACKSON AT THE MUSEUM OF MODERN ART』(写真左)、邦題が『近代美術館のミルト・ジャクソン』。この邦題を見れば、MoMAに憧れる者ならば、絶対に手にするよな(笑)。
1965年8月12日の録音。ちなみにパーソネルは、James Moody (fl, vo) Milt Jackson (vib) Cedar Walton (p) Ron Carter (b) Otis "Candy" Finch (ds)。なかなか豪華なメンバーである。特に、リズム・セクションが良い。このリズム・セクションであれば、ミルトは、かなり自由に、好きなインプロビゼーションが展開出来たのではないか。
このライブ盤でのミルトのヴァイヴは、MJQのそれとは全く異なるテイストである。ポップでリズミカル、判り易いメロディーとリズミカルなフレーズ。ジェームス・ムーディーのポップなフルート&ボーカルと相まって、全編、とても楽しくポップな演奏が繰り広げられていて、実に聴き易いライブ盤に仕上がっている。
ミルトのヴァイヴと言えば、ファンキーでジャジー。特にブルージーな翳りを湛えたフレーズは、ジャズ者の心の吟線に大いに響き、ミルトのヴァイヴはジャズそのものである、とまで言われた(ほんまかいな)。でも、ミルトのヴァイヴって、それだけじゃ無かったんですね。
ミルトの音楽性は意外と裾野が広く、ポップでメジャーな演奏も結構いけるんですよね。1970年代、後に、クロスオーバー&フュージョンの代表的レーベルであるCTIの看板ミュージシャンの一人となった訳ですが、このライブ盤の演奏を聴くと、それも納得の「ポップでメジャーな楽しさ」が満ちあふれています。
まあ、途中、ミルト・ジャクソンのヴォーカルまで飛び出す位ですから、このライブって、きっと楽しさに満ちあふれていたんでしょうね。その場に居合わせたかったなあ。バックのメンバーの演奏もバッチリと決まっていて、とても楽しい演奏になっています。美術館でのライブというシチュエーションがそうさせたのかなあ。観客も拍手喝采。
ラテン調の曲が楽しい。リラックスした会場の雰囲気にリードされて、ミルトを始めとして、演奏メンバー全員、ポップでポジティブなインプロビゼーションを繰り広げる。録音状態がちょっと良くないのが「玉に瑕」だが、これだけ楽しくポップな演奏であれば、それも許せるってもんやね。良いライブ盤です。
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