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2011年3月 5日 (土曜日)

ビル・エバンス『Live In Tokyo』

1970年前後のビル・エバンスのライブ盤は、いずれも素晴らしい出来のものばかりで、どのライブ盤も愛聴盤である。
 
1968年の『At The Montreux Jazz Festival』、1969年『Jazzhouse』、1970年『Montreux, II』、そして、1973年の『Live In Tokyo』。いずれも出来が素晴らしく、甲乙付け難いが、1973年録音の『Live In Tokyo』は、僕の中では別格である。
  
日本企画・制作のアルバムは、売らんが為の、受けたいが為の「短絡的な内容」から、あまり評価は高く無いものが大多数である。ごく一部に優れたものがあるが、それらは演奏するミュージシャン側の姿勢がかなりのウェイトを占めている。しかし、ライブ盤となると話が違う。「ライブ・イン・ジャパン」ものは、ロック界でもジャズ界でも、特にジャズ界には評価の高いものが多い。
 
これは日本人として胸を張っても良いことで、確かに、日本人は聴衆としてのマナーが良い。そして、ジャズについては、ジャズに対する造詣が深く、ジャズについてとても良く勉強している。そんなジャズに造詣が深いファンがコンサートに足を運んで、憧れのジャズ・ミュージシャンの演奏を生で聴くのだ。
 
それはそれは、ジャズ・ミュージシャンに対するリスペクトの念と、本やアルバムから得たジャズの知識を基に、その演奏を理解し、そして、その良し悪しを判断していくのだ。ジャズ・ミュージシャンにとっても、こんなに嬉しいことは無いし、こんなに励みになることは無いし、手を抜くことなどできる訳も無く、真剣勝負を挑むのみ。
 
そんな環境だから、「ライブ・イン・ジャパン」ものは、その内容が素晴らしいものになるのだ。いい話である。聴き手と演奏する側との相乗効果がその素晴らしい内容に直結しているなんて、実に美しい話である。ライブの良し悪しを決めるのは、聴衆とミュージシャンとの共同作業の良し悪しである。
 
Bill_evans_live_tokyo
 
このビル・エバンスの『Live In Tokyo』(写真左)も、そんな「ライブ・イン・ジャパン」ものの一枚。1973年1月20日、東京・五反田の郵便貯金ホールでの実況録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Eddie Gomez (b), Marty Morell (ds)。鉄壁のトリオである。
 
司会いソノてルヲ氏の「ミスター・ビル・エバンス」というアナウンスから始まる(日本語的発音が実に良い)。割れんばかりの万雷の拍手。この聴衆のマナーを聴くだけで、ビル・エバンスに対するリスペクトの念が強く感じられます。そして、1曲目の「Mornin' Glory」から、ビル・エバンス・トリオは、その聴衆のマナーとリスペクトの念に、熱のこもった内容の濃い演奏で応えます。
 
エバンスのピアノは一音たりとも疎かにせず、しっかりと個性的で静かな熱気あふれるアドリブ・フレーズを紡いでいきます。他のライブ盤と比べて、一音一音のタッチが、このライブ盤の方が「誠実」というか、しっかりと大切に弾いている、というか、良い意味での「丁寧さ」が感じ取れます。こんな「丁寧な」エバンスのピアノは、そうそう聴けるものでは無い。
  
エバンスの熱気溢れる「丁寧な」演奏に刺激されて、ゴメスのベースも何時に無く、熱気をはらんだピチカートを駆使した、躍動感溢れるウォーキング・ベースで応える。そして、モレルのドラミングが凄い。こんなにダイナミズム溢れるモレルのドラミングには目を見張るものがる。何かが取り憑いたように熱気溢れるソロ・パフォーマンスは、このライブ盤のハイライトである。
 
収録された全てのライブ・パフォーマンスが素晴らしい。このビル・エバンス『Live In Tokyo』は、とても良い内容です。聴いていて「うきうき」してきます。これぞ、ジャズ・ピアノ・トリオと言っても良い内容です。こんな優れた内容の実況録音が、1973年の東京から世界に向けて発信されたことは、日本人ジャズ者として誇りに感じます。
 
聞くところによると、実際のコンサートでは「Waltz For Debby」や「Emily」なども演奏されていたそうで、ライブ盤に収録されていないのは誠に残念である。コンプリート盤を出してくれないかなあ。絶対に手に入れるんだけどなあ(笑)。
 
 
 
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コメント

松和のマスターこんばんわ(^ー^)

私もビルエヴァンスの大ファンです。「エミリー」「エルザ」「See-saw」よく聴きます。この「東京コンサート」のビルは確かに違いますよね(^ー^)あと音が綺麗ですね。最近SONYからも同じタイトルのCDが出たみたいですが、内容は同じみたいですね。お〜!東京コンサートの「コンプリート」僕も出たら欲しいですね(^ー^)

マスターのコメント毎日楽しみにしてますよ(^ー^) 「特にビルエヴァンス」

どうも、こんばんは、「かずやん」さん。松和のマスターです。
 
私にとって、ジャズ・ピアノの中でも、ビル・エバンスは別格です。とにかく、
和音など音の重ね方が独特。そして、アドリブ・フレーズも他のピアニストには
無い、独特の展開と響きがたまらない。特に、この「東京コンサート」には、
ビル・エバンスのそんな個性がぎっしりと詰まっていて、実に良いライブ盤ですね。
 
でしょ〜、「東京コンサート」のコンプリート盤、欲しいですよね。Fantasyでも
Sonyでも良い。出してくれないかな〜。
 

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