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2011年3月10日 (木曜日)

熱気溢れるジャズの格好良さ

1976年6月29日、NYでの「ニューポート・ジャズ・フェスティヴァル」で執り行われた特別企画のステージ「Retrospective of the Music of Herbie Hancock」。ハービーの音楽経歴を回顧するというもの。このステージで、一夜限り結成との思いを込めたグループ名「V.S.O.P.=Very Special Onetime Performance」。
 
ところが、その演奏があまりに好評だった為、全米ツアーを行うことになる。そのライヴ演奏を収めたものが『The Quintet(Live In USA)』(写真左)。1977年7月16~18日のライブから、メンバーのそれぞれのオリジナルをピックアップした優れもの。
  
ちなみにパーソネルは、Freddie Hubbard (tp), Wayne Shorter (ss,ts), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。ペットのハバードをマイルスに置き換えたら、1960年代、黄金のクインテットのパーソネルである。
  
いやいや、今のジャズ耳で聴くと凄い内容ですね。基本的には、1960年代中盤の頃、マイルス・ディヴィスの下で終結した「黄金のクインテット」でやっていた、ほとんどフリーなモード・ジャズを踏襲しているんですが、これが全然古くない。
 
というか、今の耳で聴いても、結構尖っているんですよね。今の時代に、これだけ自由度の高い、フレシキブルなモード・ジャズを展開できるミュージシャンって、どれだけいるんでしょうか。相当かっ飛んでいます。かなり尖ったコンテンポラリーでメインストリームなジャズを展開していますが、演奏の重心は低く、ドッカリと落ち着いているところが、このクインテットの凄いところ。
 
まず、ドラムのトニー・ウィリアムスが凄い。バッシャバッシャ、シャンシャシャンと綺麗に響くシンバル、ハイハット、そして、ドドドド、ババババ、カーンと必殺タム&スネア。もの凄いテンション溢れるリズム&ビートを供給します。この「V.S.O.P.」の熱気と疾走感は、このトニーのドラミングに負うところ大。
 
Vsop_the_quintet
 
そのトニーにリズム&ビートに煽られ、フロントの二人が燃えるように、ペットとサックスを吹き上げる。特に、今回、このライブ盤を聴いていて感心したのが、ウェイン・ショーターのサックス。テナー、ソプラノ共に絶好調で、とにかく吹きまくる吹きまくる。こんなに吹きまくるショーターはなかなか、お耳にかかれない。むちゃくちゃモーダルな、ショーターにしか吹けない、不思議に捻れたフレーズを連発する。
 
ハイノートも絶好調のフレディ・ハバードのトランペットも凄い。5人のメンバーの中で、一番、ハードバップ寄りなオーソドックスなスタイルで吹くソロは、新味のあるソロではないんですが、ハバードは、このメンバーで演奏出来るのが嬉しくて仕方が無いってな感じで、バリバリに吹きまくっています。流麗で華のあるペットは流石です。
 
ベースのロンとピアノのハービーは、オーソドックスかつ堅実に演奏全体を引き締め、コントロールしています。やはりハービーはアコピが良いですね。ほとんどフリーでモーダルなソロと、実に理知的でモダンなバッキングは、ハービーならではのもの。トニーのドラミングとハービーのアコピの掛け合いは相乗効果を生んで、独特なリズム&ビートに昇華して、独特な「うねり」を生み出しています。
 
ここでのロンのベースはタイトで音色も豊か。ピッチも合っていて、モーダルなロンのベースが甦っています。流石に本気を出すと違う。このライブ盤でのロンのベースは凄い。これだけ自由度を持った、これだけ柔軟でカラフルなモダン・ベースは聴き応え抜群。マイルスが見染めたロンのベース。モーダル・ベースのロンの面目躍如。
 
聴き応えのある、コンテンポラリーでメインストリームなジャズが満載の好ライブ盤です。「V.S.O.P.」クインテットのライブ盤はどれも良い出来ですが、熱気溢れるジャズの格好良さという面では、この『The Quintet(Live In USA)』が一番でしょう。当時、モダンジャズの最前線をひた走っていた、メンバーそれぞれの矜持を感じる「V.S.O.P.」。素晴らしいユニットです。 
 
 
 
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