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2011年2月13日 (日曜日)

パット・メセニーの「Warm Side」

パット・メセニー(Pat Metheny)の音楽性の特徴は、米国フォーキーな響き、自然の広さを感じるネイチャーな雰囲気。ギターの音色は、ジム・ホールをお手本とするシンプルで豊かな表情のシングルトーン。そして、逆に、オーネット・コールマンを敬愛する「アブストラクトでフリーな」音楽性を併せ持つ。

パットの初期、音の基本は「フュージョン」。そんな、パットの「フュージョン」の音世界の中で、米国フォーキーな響き、自然の広さを感じるネイチャーな雰囲気を堪能できるアルバムが『American Garage』(写真左)。1979年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Pat Metheny (g, 12strings-g, b), Lyle Mays (p, key, Org, Oberheim, Autoharp), Mark Egan (b), Dan Gottlieb (ds)。当時、鉄壁のメセニー・グループである。

このアルバムは、パットの特徴である、米国フォーキーな響き、自然の広さを感じるネイチャーな雰囲気と、ライル・メイズの透明感あふれるフォーキーなキーボードが相性バッチリ合って、パット・メセニー・グループの特徴である「ネイチャー・ジャズ」をアルバム全編に渡って展開している。

冒頭の「(Cross the) Heartland」の前奏を聴くだけで、その米国フォーキーな響き、自然の広さを感じるネイチャーな雰囲気を感じ取ることが出来る。そして、バンド一体となった、気持ちの良い「チェンジ・オブ・ペース」。ECMレーベル独特のエコーによる「音の響き」が実に心地良い。実に明るい、ポジティブな演奏。この1曲目の「(Cross the) Heartland」だけで、もう「参りました」という感じになる(笑)。
 

American_garage

 
そして、3曲目の「The Search」が秀逸。この曲も前奏を聴くだけで、既にその音世界は「ネイチャー・ジャズ」。パットの独特な響きのするアルペジオをバックに、ライル・メイズ独特のシンセの音。広大な音の拡がり。そして、ライル・メイズの透明感あふれるアコースティック・ピアノ。そこにファンファーレの様に高らかに響く、パットのオクターブ奏法。この「The Search」では、パットとメイズの相性の良さを、とても強く感じることが出来る。

その他の収録曲のいずれの演奏も、パット・メセニー・グループの躍動感溢れる、ポジティブな演奏が楽しめる。どの曲も、実に「Warm」で爽快感抜群。しかも、ECMレーベル独特のエコーによる「音の響き」の効果と相まって、実に広大な、奥行きのある音世界が拡がる。この拡がりと奥行きのある音世界が、パット・メセニー・グループのフュージョン・ジャズの特徴。そんじょそこらの「フュージョン・バンド」とは明らかに一線を画する、独特の個性がある。

聴けば判る。実に良いアルバムです。とにかく聴いてみて下さい。ジャズとかフュージョンとか言う前に、1970年代の音がギッシリ詰まった、素晴らしい「音楽」がこのアルバムに詰まっています。特に、若手ジャズ者初心者の方々にお勧め。これも「ジャズ」です。
 
 
 
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