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2011年2月の記事

2011年2月28日 (月曜日)

Fride Prideの新作はええぞ〜

Fride Pride。フライド・プライドと読む。女性ボーカルのShihoとギターの横田明紀男とのデュオである。2001年にデビューしているので、今年で10年。今や中堅のコンテンポラリー・ジャズの個性的なユニットである。
 
Shihoのボーカルは個性の塊。疾走感抜群。ジャズを基調としつつ、ソウル、ロックなどジャンルやスタイルを超越し、シャウト、スキャット、ウィスパーとテクニック抜群。とにかく上手い。そして、魂がこもっていて、ガッツ溢れるボーカル。
  
横田明紀男(愛称:横ちゃん)のギターも凄い。もの凄いテクニック。横ちゃんのギターも疾走感抜群。ジャズを基調としつつ、ソウル、ロックなどジャンルやスタイルを超越し、ストローク、アルペジオ、スリーフィンガー等々なんでもござれ。とにかく上手い。そして、魂がこもっていて、ガッツ溢れるギター。
 
ボーカルのShihoとギターの横田明紀男は、実にピッタリの相性で、これほど、バッチリとシンクロするデュオは、なかなか無い。そんなフライド・プライドが、今年の2月2日、通算8枚目のアルバムをリリースした。そのタイトルは『For Your Smile』(写真左)。
 
久しぶりにジャズ・スタンダード中心に回帰した「硬派な」アルバムである。が、そんなジャズ・スタンダード曲の中に、マイケル・ジャクソンの「BAD」が入っているところなんざぁ、粋やねえ。
 
もともと、フライド・プライドは疾走感溢れる秀逸なアレンジが最大の「売り」と思っているが、この新作でも、その「売り」が遺憾なく発揮されていて気持ちが良い。特に、超有名スタンダード曲「You'd Be So Nice To Come Home To」や「A Night In Tunisia」は素晴らしい出来だ。今までの誰の演奏にも歌唱に無い、フライド・プライド独自のギター・アレンジと歌唱が素晴らしい。ちなみに全ての収録曲は以下の通り。
 
Fridepride_for_your_smile
 
1. Don't Let Me Be Lonely Tonight (James Taylor)
2. Girl Talk (Neal Hefti)
3. A Night In Tunisia (Dizzy Gillespie / Frank Paparelli)
4. Love Will Keep Us Together (Neil Sedaka)
5. Only You (Buck Ram / Ande Rand)
6. You'd Be So Nice To Come Home To (Cole Porter)
7. Someone To Watch Over Me (George Gershwin)
8. One Note Samba (Antonio Carlos Jobim)
9. So In Love (Cole Porter)
10. Tea For Two (Irving Caesar / Vincent Youmans)
11. BAD (Michael Jackson)
12. 恋愛 Puzzle (Original)
13. Razzmatazz (Rod Temparton)
14. Smile (Charles Chaplin) 
  
個人的には、ラストの「Smile」に感動の「涙・涙・涙」である。「喜劇王」の異名を持つ、チャーリー・チャップリン。そのチャップリンが作曲した楽曲のひとつが「スマイル(Smile)」。『モダン・タイムス』のラストシーンで印象的なイメージを残す素晴らしい楽曲。その歌の持つ魅力をしっかりと歌い上げるShihoの歌唱が素晴らしい。
 
フライド・プライドの新作『For Your Smile』は、なかなかの力作で内容充実。というか、最新作にして、彼らデュオ・ユニットの最高作と断言したい。良いアルバムです。バーチャル音楽喫茶『松和』では、結構、ヘビーローテーションな一枚になっています。
 
 
 
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2011年2月27日 (日曜日)

ジャズの小径・2011年2月号です

グラミー賞というのは、昔から気にしてはいるんだが、その選考基準については、僕にとっては理解しがたい、というか、理解出来ないところがある。何であんなアルバムが選ばれたんや、とか理解に苦しむ選考が多々ある。
 
しかし、日本人が選ばれるとなれば話は別である。去る2011年2月14日(現地時間13日)、第53回グラミー賞授賞式が行われ、日本のポップ・ロックの雄、B'z のギタリスト、松本孝弘と、アメリカのギタリスト、フュージョン&スムース・ジャズギタリストの雄、ラリー・カールトンによる共演作『TAKE YOUR PICK』がアメリカの音楽賞であるグラミー賞のベスト・ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞を受賞しました。
 
日本人のミュージシャンがポップ部門で同賞を受賞するのは初めての事です。グラミー最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバムを受賞。いや~目出度い。いや~ビックリしました。密かにヘビーローテーションな一枚として愛でていたアルバムが、グラミー賞を受賞するとは・・・。
 
Tak_larry_c
 
と言うことで、バーチャル音楽喫茶『松和』の「ジャズ・フュージョン館」(左をクリック)の月次更新のコーナー、「ジャズの小径」の2月号の更新です。2月って28日までしかなかったんだよな。今日は27日。月次更新の連続記録が途絶えるところでした(笑)。
 
今月の「ジャズの小径」は、ポップ部門で、このグラミー最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバムについては日本人初の受賞になる、Larry Carlton&Tak Matsumotoの『TAKE YOUR PICK』について、詳細に渡って語っています。
 
たねを明かせば、2月14日のブログの再掲ですが、少し加筆修正を加えてはいます。でも、 グラミー最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバムについて、日本人初の受賞です。聴けば判る名盤のLarry Carlton&Tak Matsumotoの『TAKE YOUR PICK』。あまり、文章で評論家然として、アルバム評をするのは好きじゃないですが、メモリアルとして、この「ジャズの小径」に再掲することとしました。
 
さあ、バーチャル音楽喫茶『松和』の「ジャズ・フュージョン館」(左をクリック)まで、遊びに来て下さい。ジャズ者初心者向けの、松和のマスターが考えるジャズ初心者向けアルバムを多々ご紹介しています。肩肘張らず、ただただ気楽にご訪問下さい m(_ _)m。
 
 
 
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2011年2月26日 (土曜日)

実は「The Who」は奥が深い

本業の方で、一昨日の夜から今日にかけて、久しぶりに関西方面に出張があった。もともと、大阪が僕の故郷でなので、関西地方の雰囲気、空気は身体に感性にフィットする。やっぱり関西はええ、やっぱり大阪はええ(笑)。
 
往き帰りの新幹線の移動時間は、貴重な音楽鑑賞の時間。結構まとまって時間が取れるので、いろいろ、アルバムを聴くことが出来る。折角の新幹線の移動である。日頃聴けないロックを中心に、いろいろ聴いた。
 
そんな中、帰りの新幹線の中で、The Whoの『Quadrophenia(四重人格)』(写真左)を聴いた。本当に、久しぶりなんだが、このアルバムは名盤である。発売当時、LP2枚組。それだけのボリュームなのに、とても充実した内容である。実は、僕はこのアルバムで、The Whoの凄さを認識し、The Whoが好きになった。
 
しかし、このアルバムは最初から、自発的に聴こうと思って聴いた訳では無い。実は、The Whoというバンド自体、全く気にかけていなかった。なぜなら、僕の高校時代、The Whoは何故か人気が無かった。周りの皆が認めないバンドである。まだロックを聴き始めて1年そこそこ。まずは周りに迎合することが一番だった。まあ、後で考えると情けない話ではあるが・・・(笑)。
 
そういうことを思い返しながら、このアルバムとの初めての出会いを思い出していた。それは高校時代に遡る。その頃、自分がこれと思ったアルバムを部員に自慢する習慣があった、そこで、である・・・。
 
僕が高校2年の頃。ある日、高校時代、部活で僕が所属していた映研の先輩Muさん。颯爽と部室にやって来て、得意げにこのアルバム、The Whoの『Quadrophenia(四重人格)』を高々と差し上げた。しかし、部員一同、ちょっと一瞥しただけで無視。部室の雰囲気は「なんや、The Whoか〜」って白けた雰囲気漂い、先輩Muさん、狼狽して「え〜、なんでなんで」。それだけ、The Whoって、当時、なぜか日本では人気が無かったんやなあ。
 
Quadrophenia
 
実は、この時の情景をしっかりと覚えていて、The Whoの『Quadrophenia(四重人格)』は、大学に入って、バイト代が稼げるようになって、購入に至った。なんせLP2枚組である。高校時代には決して手に入れる事は出来ない。The Whoより、欲しいアルバムは他に沢山あった。でも、なぜか、先ほどの映研の部室の風景、先輩Muさんの困惑した顔が脳裏をよぎる。やっぱり手に入れて自分の耳で聴かなければと、強く思っていた。
 
自分の耳で聴いて思った。このThe Whoの『Quadrophenia(四重人格)』は名盤です。The Whoのスタジオ録音のアルバムとしては第6作目に当たる。いわゆる、当時の雑誌が名付けた「ロック・オペラ」と呼ばれるコンセプト・アルバムである。でも、この「ロック・オペラ」という比喩が判らない。聴くと判るんだが、これって「プログレッシブ・ロック」じゃあないのか?
 
1人の少年の心の葛藤と精神的な成長がロック演奏によって、壮大な音絵巻のように展開される。演奏自体は実にハードボイルドで、「硬派なプログレッシブ・ロック」という音の出で立ちである。とにかく、The Whoの演奏自体、非常に優れたものである。これだけ、そのテクニックとその音の展開、その独特なリズム感。ビートは冴えまくり、シンセのアレンジ秀逸。The Whoは隅に置けない、非常に優れたロック・バンドだった。
 
良いアルバムです。「硬派なプログレッシブ・ロック」という音の出で立ちは、今でも古さを感じません。十分に聴き応えのあるコンセプト・アルバムです。僕はこのアルバムで、The Whoがなんとなく判るようになりました。やっぱり雑誌とかの評論を頭で信じての聴かず嫌いは良くない。この『Quadrophenia(四重人格)』は音楽を聴く上での、僕自身への「戒め」の一枚です。
 
いや〜、映研の先輩Muさんは間違っていなかった。先輩Muさんの耳は確かだった。スミマセン、あの時、無視して。あの時の先輩Muさんの困惑した顔は、今でも忘れる事が出来ません(笑)。
 
 
 
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2011年2月23日 (水曜日)

ジョー・サンプルの大傑作である

ジョー・サンプルは、フュージョンを代表するバンドのひとつ、クルセイダーズのメンバー。米国テキサス州・ヒューストン出身。1939年生まれなので、今年で72歳になる。
 
キーボーディストとしては、響きの良い小粋なエレピと、明朗でリリカルなアコピが特徴。そこはかとなくファンキーな雰囲気が漂うところが特徴。しかし、キーボーディストとしてよりも、コンポーザー&アレンジャーとしての才の方が抜きんでていると僕は思う。
 
ジョー・サンプルは、ボブ・ジェームスと並んで、フュージョン&スムース・ジャズ界を代表するコンポーザー&アレンジャーである。音の重ね方、好みのフレーズ、節回し等、一聴してそれと判る独特な個性がある。そして、自らのキーボードを個性的に響かせるのが上手い。惚れ惚れする。
 
そんなジョー・サンプルのコンポーザー&アレンジャーの才能が溢れんばかりに輝いたアルバムが、1978年に発表された『Rainbow Seeker』(写真左)。このアルバムがリリースされた当時、僕はまだ駆け出しのジャズ者初心者。判り易く入り易いフュージョン・ジャズがお気に入りで、このアルバムは「隠れ家の喫茶店」で良く聴かせて貰いました。売れましたよね〜、このアルバム。
 
まず、このアルバムについては、キーボーディストとしてのジョー・サンプルが実に魅力的。先に述べたように、響きの良い小粋なエレピと、明朗でリリカルなアコピが、そこはかとなくファンキーな香りを漂わせながら、キラキラ輝く様に乱舞している。健康的かつ明朗で、少しファンキーに振れるところが「小粋」。ころころ転がるようにキュートな手癖を見せつつ、唄うように印象的な旋律を紡いでいく。
 
Rainbow_seeker
 
4曲目の「Melodies Of Love」に、そのジョー・サンプルのキーボーティストの特徴が溢れている。決して、目を見張るようなテクニックでは無いのだが、ちょっとファンキーな香りが芳しい、明朗でリリカルなアコピが凄い。テクニックでは無く、音の響きと印象的な旋律で聴かせるとでもいおうか、いかにも、ジョー・サンプルらしい美意識が、バッチリと表現されている。
 
そして、コンポーザー&アレンジャーとしての魅力も満載。収録された曲はすべてオリジナル。収録された曲という曲はどれもが良い曲であり、良いアレンジが施されていて、印象的な、しかも判り易く親しみ旋律が満載。「良い曲やな〜」と思いながら聴き惚れていると、あっという間に収録曲全8曲が終わってしまう。
 
ジョー・サンプルのアレンジは、とにかくシンプルで判り易く、親しみ易いものばかり。かつ、音の重ね方が独特で、特に和音の響きは、ジョー・サンプル特有のもの。そこはかとなくファンキーさ漂う旋律は、ジョー・サンプル独特の「手癖」から生まれる。ジョー・サンプルは結構「金太郎飴」的なフレーズが何パターンかあって、そのフレーズは1フレーズ聴いただけで「ジョー・サンプルだ」と判る独特なもの。
 
ジョー・サンプルの大傑作だと思います。上品で小粋、そこはかと無くファンキーの香り漂う、明朗で印象的な旋律が満載で、とにかく聴き易く、とにかく美しい。良いアルバムです。 
 
 
 
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2011年2月22日 (火曜日)

唯一無二な、過激な個性

1960年代中盤〜後半にかけて、ジャズ界は、ジャズのスタイルは大きく複雑多岐に変革した。
  
ポップな要素を強く求める聴き手に迎合した「ファンキー・ジャズ」が隆盛を極め、そこから「ソウル・ジャズ」へと発展する。逆に、ジャズに芸術性を求め、あくまでハードバップからの伝統的な展開を求める向きには「モード・ジャズ」、ジャズにネイティブでエモーショナルな感情を求める向きには「フリー・ジャズ」。
 
僕は、ジャズのど真ん中を踏襲する「モード・ジャズ」が一番感覚に合う。マイルスのギリギリ伝統的なマナーに留まった、ほどんどフリー・ジャズと言って良い位の「モード・ジャズ」が一番好きである。そして、マイルスに同じく、ギリギリ伝統的なマナーに留まってはいるが、マイルスとは違って、ほとんどアブストラクトで個性的な演奏を展開するエリック・ドルフィーも大好きである。まあ、マイルスは、ドルフィーが大嫌いだったみたいだが・・・。
  
確かに、エリック・ドルフィーのアルトもフルートもアブストラクトの極致である。おおよそ、クラシックな協調和音的な音程からは大きく逸脱した、それでいて、きっちりと正調な旋律の展開は維持している、という実に捻くれた、実に変わった個性的な演奏スタイルである。 
 
どうやれば、これだけ正調な旋律を維持しながら、なにか法則でもあるかのように、きっちりと音程を外しながら演奏できるのか、理解に苦しむのであるが、ドルフィーはそれをいとも簡単に、当たり前の様に、アルトをフルートを吹き進めていく。
 
今日聴いたアルバムが、エリック・ドルフィーの『Berlin Concerts』(写真左)。1961年8月30日の録音。場所は当然ベルリンは"Club Jazz Salon"での録音。ちなみにパーソネルは、Benny Bailey (tp) Eric Dolphy (as, bcl) Pepsi Auer (p) Jamil Nasser (b) Buster Smith (ds)。
 
1961年のライブ演奏とは思えない位の、相当にアブストラクトな演奏である。これだけアブストラクトな演奏が出来るミュージシャンは、当時、ドルフィーの他にはいなかっただろう。
 
Berlin_concerts
 
ほとんどフリー・ジャズと言っても良い位なんだが、正調な旋律を維持しながら、なにか法則でもあるかのように、きっちりと音程を外しながらの演奏は、しっかりと「モード・ジャズ」を踏襲しており、しっかりとジャズの伝統的演奏スタイルを維持しているところが、これまたユニークなのだ。 
 
クラシックな協調和音的な音程からフラットに外れた音色は、ジャキー・マクリーンを彷彿とさせるが、マクリーンよりもドルフィーの方が外れ方が大きい。それでいて、正調な旋律を維持しているのだから、ドルフィーって、どういう音感をしていたんだろう。これだけ、フラットに音程を外しながら、さも当たり前の様に、高速に旋律を吹き上げて行く、ドルフィーの音感は凄い。これはもう天才のなせる技である。コルトレーンをもってして、歯が立たなかったことも容易に理解できる。
 
そして、ドルフィーのフルートも凄い。正調にフルートを吹く雰囲気は、実に正統なフルートを、実に野太く吹き上げて行く。ドルフィーほど、フルートを野太く吹き上げるミュージシャンを僕は知らない。そして、エモーショナルな展開については、その強烈に吹き上げる音は、ほとんど肉声に近い。というか、これはもう、フルートを通した肉声だろう。素晴らしくエモーショナルなドルフィーのフルート。これはもっともっと評価されても良い。
 
良いアルバムです。確か、LP時代は2枚組だった記憶があります。よって、結構盛りだくさんでボリューム一杯という内容ですが、決して、耳にもたれることもなく、決して、聴き飽きることもない。ドルフィーの個性が満載で、ドルフィーの入門盤としても最適な一枚だと思います。
 
ジャズ者初心者の方々には、このドルフィーのクラシックな協調和音的な音程から、フラットに外れた音色を受け入れられるかどうかが鍵だろう。フラットに外れ続けてはいるが、正調な旋律をしっかり維持しているところを感じ取れるかどうかがポイント。
 
意外とすんなり受け入れられるか、受け入れるのに結構時間がかかるか、のどちらかでしょう。あいまいに雰囲気だけで、その「好き嫌い」を適当に判別できるほど、ドルフィーは安くはありませんぞ(笑)。ドルフィーには、真剣に相対して下さい。
 
 
 
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2011年2月21日 (月曜日)

不思議な欧州ピアノ・トリオ

最近の日本ジャズ・ミュージシャンの活躍には目を見張るものがある。特に、日本女子ジャズ・ミュージシャンの活躍には目を見張るものがある。欧州でも米国でも、最近、活躍するジャズ・ミュージシャンは皆、日本人女子である。
 
今回、たまたま、iTunesを徘徊していて見つけた平林牧子もそんな一人。クラシック・ピアノやバイオリンに手を染めながらもジャズへ転向、バークリー音大に学び、1990年にデンマークへ移住。以来、コペンハーゲンを拠点に活動を続けている日本人女性ピアニストである。もう20年ぐらい、デンマークのコペンハーゲンに在住と聞くので、もはや日本人ミュージシャンというよりは、欧州ミュージシャンといって良いかもしれない。
 
初めて平林牧子を体験したアルバムが『MAKIKO / マキコ』(写真左)。名門enja(エンヤ)からリリースされたアルバムである。ジャケットから受ける印象は、柔らかで爽やか。しかも、欧州ジャズの名門enjaからのリリース。これは期待が持てるアルバムである。
  
これが、ですね。実に欧州ジャズしているというか、ちょっとジャズから外れているというか、なんか不思議な内容のピアノ・トリオ盤なんですね。ちなみにパーソネルは、Makiko Hirabayashi(p) ,Klavs Hovman(b), Marilyn Mazur(ds,per)。2005年10月コペンハーゲン録音になる。
 
平林のフレーズの響きはヨーロピアン。でもその旋律はアジアンテイストな、実にユニークなもの。ちょっとエキゾチックでフォーキーなフレーズは、今まで聴いたことのない欧州ジャズ・ピアノ・トリオである。こんなジャズ・ピアニストが欧州はコペンハーゲンで生息しているとは、しかもそのピアニストが日本人であるとは、なんともはやジャズとは懐の深い音楽である。 
 
Makiko
 
そのエキゾチックな雰囲気を増幅するのが、Marilyn Mazurのドラム&パーカッション。Marilyn Mazurのドラム&パーカッション単体でも聴く価値のある、現代音楽的でフリーな自由度の高いドラム&パーカッションの展開と響き。
 
これは、どう聴いてもジャジーでは無い。しかも響きは硬質でクリスタル。欧州ジャズの雰囲気を強く残しつつ、無国籍な純粋なドラム&パーカッションのみのインプロビゼーションは、実に個性的である。
 
平林のピアノも実に個性的。サード・ストリーム寄りの幾何学模様的な展開も、とても「不思議」。ユニークと言うよりは聴いていて「不思議」な気分にさせてくれる。彼女のフレーズの底に流れるのは、ジャジーなビート。ブルースを基調にしていることは明らか。
 
そういうところは明らかにジャズなんだが、インプロビゼーションの方法論は、実に現代音楽的であり、クラシック的である。加えて、実に「ストイック」な展開。これをなんと表現したら良いか。従来の応手ジャズでは無い。しかも誤解を恐れずに言うなら、これは実に「ジャズらしくない」ピアノ・トリオである。
  
実に「不思議」な欧州ピアノ・トリオである。瞑想的・抽象的でもあるし、幾何学的でもある。サード・ストリーム的とも言えるが、底に流れる雰囲気はジャジーであるブルージーでもある。これは実に面白い個性ではある。しかし、メインストリームなジャズでは無いことも確か。これからどういう展開を経ていくのか、ちょっと暫くは目を離せない、欧州の日本人ジャズ・ピアニストの一人である。
 
 
 
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2011年2月20日 (日曜日)

続・「The Beatles USB BOX」

昨日の夕方より、格闘中の「The Beatles USB BOX」。FLACファイルをAIFFファイルに変換、iTunesにライブラリに「アップルロスレス」の設定でインポートする手順で移行し、順調に再生にまでこぎ着けたのだが・・・。
 
どうも、低音の拡がりが気になる。曲によって、ポールのベースの音が、ブワーッと拡がるように聞こえるのだ。iTunes側のボリュームを下げて、プリメイン・アンプのボリュームを上げて調整すれば改善されるのだが、それはそれで、音が少し痩せるようで好みに合わない。
 
もともとは、我がMacBookから、無線でAirMac Expressに飛ばして、AirMac Expressから、Monster mini-RCA ステレオオーディオケーブルを介して、ピュア・オーディオのプリメイン・アンプのRCA-IN に接続しているのだが、どうもこのAirMac Express側のDACが好みに合わないというのか、性能が低いというのか、とにかく、AirMac Express側のDACが問題みたい。
 
で、即座にDACを買うわけにはいかないし、どっかに、DACが無かったかと考えていたら、あったあった。今や、DVDサラウンド熱も冷め切って、あまり使われていないサラウンド・アンプがあった。
 
現在、このサラウンド・アンプのプリ部だけを使用していて、パワー部は、ピュア・オーディオでのプリメイン・アンプのパワー部にダイレクト接続して使用している。そして、このサラウンド・アンプのプリ部にDACが装備されている。これを使わない手は無い。
 
AirMac Expressから、Monster mini-オプティカル デジタルリンク オーディオケーブルでのデジタル出力に変更し、光デジタルのままで、サラウンド・アンプのプリ部に接続。
 
Beatles_usb_2
 
その後は、現在のDVD視聴時のルートと同じ。もちろん、サラウンドはOFFにして、純粋なステレオ再生にセッティングを変え、余分な回路を通りそうなセッティングを出来る限りOFFにする。
 
そうして、「The Beatles USB BOX」のアルバムを流してみたら、あらビックリ。これまた劇的に音が変わった。さらに、現行ステレオ盤CDとは全く異なる、別次元の音へと変化した。
 
音のエッジに、とげとげしい雰囲気が更に無くなり、アナログLPを聴いているような錯覚を覚える「芯のある太い」音になった。音と音の間のスペースにも何やら音の響きの様なものが漂い、決して、ステレオ盤CDに少し漂う、音と音の間のスペースに付きまとう「スカスカ感」が無い。
 
音の定位も良く、楽器の分離も良い。ビートルズのアルバムの演奏が、音的に、こんなに賑やかだったのか、とビックリする。今まで、如何に平板な音を聴いて来たのか、と愕然となる位である。やっと、ビートルズの音が「ロックバンド」の音になった気がする。
 
サラウンド・アンプのプリ部に内蔵されているDACとの相性が良かったんでしょうね。とりあえず、この別次元の音でしばらくの間は満足出来ます。次なるチャレンジは、ネットワークオーディオプレーヤー等を導入し、ピュア・オーディオとしてのFLACファイルの再生にチャレンジですが、これにはまだまだ資金がかかるので、一旦はペンディング。
 
しかし、数年後にはこのネットワーク・オーディオプレーヤーが主流になるような予感をさせてくれる、「The Beatles USB BOX」の音でした。とにかく、音の次元が違う。さすが、「24bitフォーマット」の音世界は違う。ビートルズのステレオ盤は、この「The Beatles USB BOX」が決定打ですね。良い買い物をしたと思います(笑)。
 
 
 
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2011年2月19日 (土曜日)

「The Beatles USB BOX」をゲット

すっかり忘れていた。触れ込みが「世界限定30,000本」。予約時点で完売だった、はず。価格も価格だけに諦めた。その垂涎のアイテムとは『The Beatles USB BOX』(写真)。
 
その触れ込みの文章がふるっていた。その触れ込み文は以下の通り。
 
「ビートルズ初のUSBメモリ、限定コレクターズ・エディションで登場。コレクター仕様の「アップル・シェイプド」USBメモリ。グリーン・アップルをかたどった「リンゴ型」のユニークなデザインは、まさにビートルズならではのもの。世界限定30,000本、注目のオフィシャル・コレクターズ・アイテムです。ステレオ・ボックスの内容をそのまま完全収録」。
 
これだけでは「なんやステレオ・ボックスのCDをUSBに置き換えただけやろ」なんだが、更に触れ込み文を読み進めていくと、
 
「このUSBメモリ用に特別にデザインされたFlashインターフェースがインストールされており、オーディオ・コンテンツは、CDをしのぐFLAC 44.1Khz 24bitで収録され、加えてMP3 320Kbpsフォーマットでも収録されています。PC とMac 両方に対応」。
 
なに?「CDをしのぐFLAC 44.1Khz 24bitで収録」とな。これは事件である。「MP3 320Kbpsフォーマット」なんてどうでも良い。しかし、「このUSBメモリ用に特別にデザインされたFlashインターフェースがインストールされ・・・」とあり、素直に解釈すると「FLACで収録したけれど、専用ソフトでしか再生できない、ファイルを自由に扱えない」だ。う〜ん、FLACファイルであっても、最終的にピュア・オーディオ系のステレオ・セットで再生できんとなあ。
 
以上の様に迷いに迷って、結局「This item is currently not available.」となって、ちょっとだけ内心ホッとして、完売やし高いし、諦めよう、と相成った。
 
The_beatles_usb
 
しかし、このThe Beatles USB BOXがリリースされた後の、FLAC 44.1Khz 24bitの音の評判をネットで読むにつけ、やっぱ手に入れておいた方が良かったなあ、と後悔しきり、である。が、とある切っ掛けで、Amazonのビートルズ・コーナーを徘徊していたら、The Beatles USB BOXのUS仕様が「在庫あり」となっているではないか。思わず「ポチ」っとな、である(笑)。そうそう手を出せる価格ではないのだが、この場合、そんなことを言っている場合では無い。
 
そして、今日の夕方、我が家にやって来ました『The Beatles USB BOX』。早速、ネットでの情報通り、そそくさとITunesにデータ移行を開始する。僕はMacユーザーですから、、USBメモリ内のFLACファイルを直接触って、フリーソフトである「X Lossless Decoder」を使って、AIFFファイルに変換、iTunesにライブラリに「アップルロスレス」の設定でインポートする手順で移行しました。所要時間約1時間弱といったところでしょうか。
 
早速、何曲か聴いてみたんですが・・・、これがですね、やはり音が違いますね。モノラル盤CDは別格として、今回のリマスターのステレオCDもなかなかやな〜とは思いつつ、何かが足らないと思っていたんですが、この24bitフォーマットのステレオ盤を聴いて「これだ」と思いました。24bitフォーマットは、CDよりもきめ細やかな密度が高い音で、しかも、明らかに分離がよく定位も良好。ビートルズのステレオCDは、現時点では、この『The Beatles USB BOX』で決まりでしょう。
 
24bitフォーマットは解像度を追求する方向の代物なので、モノラル盤に対しては、あまり意味の無いものだと思うので、今回のビートルズのリマスターの結果として、『モノラル盤BOX』と『The Beatles USB BOX』があれば、相当に楽しめると思いました。
 
ただし、『The Beatles USB BOX』は、PCオーディオのマニアのレベルでは無いと、PC環境を介して、ピュア・オーディオでの再生など、結構、特殊な環境と知識が必要になるので、一般のユーザーの方は安易に手を出さない方が良いかと思います。USBのリンゴ型は可愛くて置物としても秀逸ですが、置物に2万円以上の投資は過剰過ぎるでしょう(笑)。
 
 
 
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2011年2月18日 (金曜日)

このデュオは本当に絶品である

ジャズを聴き始めた頃、これは凄い、と聴いた瞬間に感じ、それ以来、ずっと追いかけているデュオ・ユニットがある。Chick Corea(チック・コリア)&Gary Burton(ゲイリー・バートン)のデュオ。今や、ジャズ・ピアノの重鎮チックとヴァイヴの重鎮バートンとのデュオである。
 
これがまあ、言葉で表現するにあまりに拙いのであるが、クリスタルで硬質、硬軟自在、変幻自在、魅惑的なユニゾン&ハーモニー、モーダルで印象的なフレーズ、心地良く美しい響き、ハイテクで疾走感あふれるインプロビゼーション。もうジャズの即興演奏の良いところを全て備えた、ピアノ&ヴァイヴの異色の組合せ。
 
但し、決してファンキーでは無く、決してバップ的では無い。現代のジャズ界で十分通用するコンテンポラリーなジャズ。ポップと言うよりはモーダル。それでいて、実にキャッチャーなフレーズが満載。チック&バートンの演奏には歌心が満載。だから、聴いていて心地良いし、何回聴いても飽きない。
 
そんなチック&バートンの傑作ライブ盤が『In Concert Zurich Oct 28, 1979』(写真左)。発売当時の邦題は『クリスタル・サイレンス・ライブ』。今では「チック・コリア&ゲイリー・バートン・イン・コンサート」と呼ばれている。スイングジャーナル誌のゴールドディスク、そしてディスク大賞・金賞も受賞している名盤である。
 
冒頭1曲目の「Señor Mouse」から、もうメロメロである。疾走感。そして、ピアノとヴァイヴの魅力的な響き。そして、チック&バートンのハイテクニックではあるが、決して耳障りにならない、転がるように美しいユニゾン&ハーモニー。しかも、曲自体が持つフレーズがキャッチャー。この1曲だけでも、このデュエットの素晴らしさが良く判る。
 
続く「Bud Powell」も名演。転がるように愛らしい、明るくポジティブな響きのメイン・フレーズが実に良い。続くチック、そしてバートンのインプロビゼーションの素晴らしさ。特に、4本マレットのヴァイヴの魔術師ゲイリー・バートンのそのヴァイヴの響きたるや絶品である。
 
Chick_burton_in_concert
 
しかし、気を付けなければならないのは、このライブ盤、LP時代とCD時代と収録曲数が異なる。LP時代は2枚組で、C面の1曲目、2曲目にあった、バートンのソロ「I'm Your Pal / Hullo, Bolinas」と、チックのソロ「Love Castle」が、CDには収録されていない。
 
実はこのソロが、これまた絶品なのだ。しかも、チック、バートンそれぞれの個性がはっきりと判る。それぞれの個性を踏まえ、二人のデュエットを愛でる。そんな当たり前なことが、LP時代では可能であったのだが、CD時代になって、CD1枚に納めたいが故、オミットされた。なんてことをするんだ、マンフレッド・アイヒャー。
 
この二人のソロはオミットすべきではない。この二人のソロは、このライブ盤においては必須だろう。しかし、マニアの方には朗報。2009年で、突如、ECMからリリースされた4枚組ボックス盤『Crystal Silence, The ECM Recordings 1972-79』に、CDとして初めて収録されました。
 
LP時代の『In Concert Zurich Oct 28, 1979』と同じ収録曲で、CDフォーマットで愛でるには、このボックス盤が必要になりますが、マニアにとっては仕方が無い。僕はダウンロード・サイトから購入しました。
 
とにかく、このライブ盤は絶品です。チックの硬質なタッチの、歌心溢れるメロディアスなフレーズは本当に素晴らしいし、バートンのヴァイヴは、まさに「4本マレットの魔術師」で、それはそれは、目眩くヴァイヴ独特の長く響く音と転がるようなフレーズ。
  
ジャズという既成の枠を遙かに超えた、優れた演奏家2人による、ピアノとヴァイヴの2台の楽器の「純粋な音楽」「純粋な演奏」がそこにある。
 
今でも、冒頭の2曲「Señor Mouse」〜「Bud Powell」を聴くと、震えが来るほど心が揺さぶられ、感動する。その感動が、今でも「ポジティブな感動」なのが、僕はとても嬉しい。 
 
 
 
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2011年2月17日 (木曜日)

ジャズ・ボーカルを学び直す

昔々、1970年代ロックを聴いていて、歌詞は全て英語、何を歌っているのか判らない、ということで、歌詞はいらん、でもインストは大好き。それでは、ということでジャズに走った。
 
ジャズに走っても、ボーカルは避けて通った。とにかく、英語の歌詞である。何を歌っているのか判らない。だったら無い方が良い。ジャズについては、ボーカルを避けて、インストを追いまくった。そして、早30年以上の年が流れた。
 
本業の甲斐もあって、英語のヒヤリングがなんとなく出来るようなって来た。なんとなく英語の歌詞がヒヤリング出来る様になって来た。この調子でいくと、ジャズ・ボーカルもそろそろ良いんじゃないか、という想いが高まってきた。
 
で、2年前くらいから、ジャズ・ボーカルにチャレンジし始めた。といって、コテコテのジャズ・ボーカルはまだまだ重荷である。黒人の感情の全てをこめた、渾身のジャズ・ボーカルは、やはりちょっと重い。まだまだ、肉声という楽器を心一杯で受け止める力は、僕にはまだ無い。
 
最初は、ブラック・コンテンポラリー(Black Contemporary)的なライトでポップなジャズ・ボーカルを選んで聴き始めた。略称ブラコン、今では、もとに戻った「R&B」と呼ばれる、ライトでポップなジャズ・ボーカルを追い始めた。
 
なんだ、マスター、それは違うんじゃちゃうか、と言わないで下さい。はい、僕もちょっと軟弱だとは思います。でも、まだ、黒人の感情の全てをこめた、渾身のジャズ・ボーカル、例えば、ビリー・ホリデイのボーカルは、まだ受け止めることが出来ないんです。ジャズ・ボーカルの歴史に名を残す歌い手の感情がまだ受け止めれるほど、僕はまだ人生経験が足らない。
 
The_openended_fantasy
 
ということで、ライトでポップなジャズ・ボーカルで、ジャズ・ボーカルを学び直し始めています。今日は、Nina Vidal(ニーナ・ヴィダル)の『The Open-Ended Fantasy』(写真左)。ニーナ・ヴィダルのセカンド・アルバムである。
 
アレンジが秀逸である。実にポップでライトなジャズ・ボーカルである。これがジャズ・ボーカルか、と揶揄するベテラン・ジャズ者の方々もいるでしょうね。でも、このライトでポップなボーカルが、実に聴き易くて、実に安心してボーカルに没頭することが出来る。そんな雰囲気満載のニーナ・ヴィダルの『The Open-Ended Fantasy』である。
 
実にベタなんですが、6曲目のポール・マッカートニー&ウィングスの名曲のカヴァー「My Love」は、やっぱり良いですね。ニーナ・ヴィダルのボーカルの良さが、心にしみじみと、じんわりと伝わる名唱です。そして、ピアニストでもある彼女のセンスが活き活きと伝わる、9曲目の「The Open-Ended Fantasy」。ピアノの音色が実に素敵です。
 
そして、何より、ニーナ・ヴィダルのボーカルが良い。テクニック抜群、女性ならでは声の力強さが魅力的、そして、ポジティブな声色が良い。バックの明るいポップなアレンジとピッタリ合って、全編13曲を一気に聴き通してしまう。
 
良いアルバム、良いボーカルです。仕事の傍らや、何かの作業をしながらの「ながら」聴きにも最適です。聴き心地良く、それでいて、ポップに流れない、演奏やボーカルの底にあるジャジーな響きが心に「ガツン」とくる。そんな実に魅力的でカジュアルなライトでポップなジャズ・ボーカルです。次作が楽しみです。
 
 
 
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2011年2月16日 (水曜日)

成熟したフュージョン・バンド

1970年代、クロスオーバーからフュージョン・ジャズと変遷し、現在では、スムース・ジャズと呼ばれるジャズ・スタイルは、いまでも確固たる地位を維持している。そんなスムース・ジャズと呼ばれるジャンルの中で、1970年代からずっと活躍しているミュージシャンが意外と多い。
  
僕は、そんな、長年第一線で活躍しているベテラン・ミュージシャンのスムース・ジャズは、若手ミュージシャンの演奏するスムース・ジャズとは、ちょっと違うと感じている。ベテラン・ミュージシャンのスムース・ジャズは、アドリブ・パートに十分なスペースを割き、アドリブのテイストの底に「純ジャズ」を感じるのだ。そんなベテラン・ミュージシャンのスムース・ジャズは、敢えて、僕は「フュージョン・ジャズ」と呼んでいる。
 
フォープレイ(Fourplay)というフュージョン・ジャズ・バンドがある。もともとは、1990年に、ピアニストのボブ・ジェームス、ギタリストのリー・リトナー、ベーシスト兼ヴォーカルのネーザン・イースト、ドラマーのハービー・メイソンの4人により結成されたバンドである。ギタリストのみが、リー・リトナーから、ラリー・カールトン、そして、2010年2月に、チャック・ローブに替わってはいるが、リズム・セクションの3人は不動のメンバー。
 
その不動のメンバー、ピアニストのボブ・ジェームス、ベーシスト兼ヴォーカルのネーザン・イースト、ドラマーのハービー・メイソンは、1970年代からずっと、フュージョン・ジャズの第一線で活躍してきた大ベテランである。3人の奏でる音は、1970年代のフュージョン・ジャズそのもの。21世紀になって、より洗練された、より成熟したフュージョン・ジャズである。
 
そのフォープレイが、昨年の10月、3代目ギタリストにチャック・ローブを迎え、通算11枚目のオリジナル・アルバム『Let's Touch the Sky』(写真左)を発表した。これが、なかなかに絶品なフュージョン・アルバムなのだ。
 
アルバムに収録されたどの曲も、演奏も、洗練されテクニックは抜群、音の展開には十分な余裕があり、それでいて決して冗長にはならない、かつ、単調にもならない。1970年代からずっと、フュージョン・ジャズの第一線で活躍してきた大ベテラン達だけが紡ぎ出せる、成熟したフュージョン・ジャズが満載である。
 
Lets_touch_the_sky
 
新たに参加したギターのチャック・ローブも、勿論、1970年代からずっと、フュージョン・ジャズの第一線で活躍してきた大ベテランです。このアルバムでのチャック・ローブのギターは実に渋い役回りを演じていて、フュージョン・ジャズでは、ギターがバンドの中にいると、絶対に前面に出てくることが多いのですが、このアルバムでのチャック・ローブは一味違う。渋くバックにどっかりと座って、リズム・セクション3人の演奏を効果的にバッキングしているんですね。
 
逆に、このアルバムでは、ボブ・ジェームスのキーボードが前面に出ていて、まるでフュージョン・ピアノ・トリオみたいな内容です。とにかく、このアルバムでのボブ・ジェームスのキーボードの音は凄く美しい。アコースティックもエレクトリックも、どちらのキーボードも音の響きが素晴らしい。そこに、そこはかとなく、チャック・ローブが渋くバッキングする、って感じですかね。ちょっとチャック・ローブが目立ってないかなあ、という感じもしますが、次作に期待ということですね。
 
それから、ベースのネーザン・イーストを見直した。こんなに、しなやかで印象的なベースラインを弾く人だったっけ、とビックリした。加えて、ネーザン・イーストのボーカルが良い雰囲気。意外と、このフォープレイって、ネーザン・イーストにとって、実に良い音環境を提供しているのではないだろうか。
 
ハービー・メイソンのドラムも、もちろん良いですよ。決して派手にならず、それでいて、しっかりとしたビートを叩き出す。さすがに、周りが全て1970年代からずっと、フュージョン・ジャズの第一線で活躍してきた大ベテランばかり。ハービー・メイソンだけが大人げなく叩きまくる訳にはいかないですからね。抑制されたハービー・メイソンのドラムは絶品だ。
 
良いフュージョン・アルバムです。ずっと聴いていても、ちっとも飽きない。本当に良く出来たフュージョン・ジャズです。そして、フォープレイは、本当に素晴らしい、成熟したフュージョン・バンドです。暫く忘れていたフォープレイですが、ちょっと遡って、聴いてみたくなりました。
 
 
 
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2011年2月14日 (月曜日)

祝・グラミー賞受賞

2月14日(現地時間13日)、第53回グラミー賞授賞式が行われた。松本孝弘&ラリー・カールトン(Larry Carlton)の『TAKE YOUR PICK』(写真左)が、グラミー最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバムを受賞しました。いや〜目出度い。
 
いや〜ビックリしました。自分が密かにヘビーローテーションな一枚として愛でていたアルバムが、グラミー賞を受賞するとは・・・。

アルバム『TAKE YOUR PICK』は、4年前、カールトンと松本が共にギブソン社のギターを愛用していたことをきっかけに、ギブソン社を通じて、カールトンから松本に共演の打診をしたことが「馴れ初め」。松本がこれを快諾したことから始まり、2009年からレコーディングを進めていたとのこと。
 
ジャズ・フュージョンの重鎮ラリー・カールトンと日本ポップ・ロックの代表的バンドB'zの松本孝弘という、異種格闘技的なコラボである。まあ、絵に描いた様な「フュージョン(融合)・ミュージック」とも言えるし、このコラボは実に興味深い組合せではある。
 
冒頭の「JAZZY BULLETS」を聴くと、その異種格闘技的な雰囲気が良く判る。松本孝弘のギターはあくまで、日本のポップ・ロックとしての音色を貫く。フレーズも語法もロックそのもの。決して、ジャズ・フュージョンに迎合しない。
 
ジャズ・フュージョンをカールトンと演るからといって、自分のエレギのスタイルをジャズ・フュージョン寄りに変えていないところが、このアルバムを成功へと導いている。なんせ共演相手は、ジャズ・フュージョンの重鎮ラリー・カールトンである。普通は迎合するけどなあ(笑)。
 
Take_your_pick
 
ロック・ギターのイディオムを踏襲することで、ジャズ・フュージョンのカールトンとの融合の成果となった一曲が、7曲目の「hotalu」。これはジャズ・フュージョンでは無い。これはプログレッシブ・ロックだ。インスト・プログレの音であり、ロックのイディオムである。逆に、このインスト・プログレに、ジャズ・フュージョンの重鎮カールトンがきっちりと追従するどころか、カールトンの個性そのままに、松本のギターをシッカリとフォローしているところが凄い。
 
9曲目「Easy Mystery」なんか、これロックやん(笑)。ここでの松本のギターは、まるでジェフ・ベック(笑)。それでも、カールトン御大との共演である。実に慎重に神妙にジェフ・ベックしているところが実に可愛い(笑)。ここでも、驚くべきはカールトン。ここでも、カールトンの個性そのままに、松本のギターをシッカリとフォローしているところが凄い。
 
6曲目の「Tokyo Night」、12曲目「A girl from China」の様な、実にベタな、日本の旋律や中国の旋律を織り交ぜた、米国向けの、米国に迎合した曲もあって、ちょっと赤面するが、日本の旋律や中国の旋律を大々的に全面に押し出した、ベチャベチャな演奏ではないので、これはこれで「ご愛嬌」(笑)。アレンジの趣味の良さは十分に感じる。ここでも、やはり、カールトンの存在は大きい。
 
10曲目の「ao」では、松本とカールトンのギターの共演、ユニゾン&ハーモニーが実に美しい。全く違ったスタイルと音色のギタリストの共演であるが、これほどまでに、シンクロしコラボした例を僕は他に知らない。松本の誠実さとカールトンの懐の深さ所以の仕業だろう。素晴らしい異種格闘技である。
 
聴き込めば聴き込むほど、色々と新たな発見があって、とにかく聴き飽きない、とにかく聴いていて、音楽的に実に面白いアルバムです。基本はジャズ・フュージョンですが、松本の個性が前面に出る演奏は全く持ってロック(笑)。カールトン御大のギターによる、演奏全体をカバーする堅実なコントロールも聴き逃せない。良い意味で「フュージョン」なギター・アルバムです。聴くべし。
 
 
 
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2011年2月13日 (日曜日)

パット・メセニーの「Warm Side」

パット・メセニー(Pat Metheny)の音楽性の特徴は、米国フォーキーな響き、自然の広さを感じるネイチャーな雰囲気。ギターの音色は、ジム・ホールをお手本とするシンプルで豊かな表情のシングルトーン。そして、逆に、オーネット・コールマンを敬愛する「アブストラクトでフリーな」音楽性を併せ持つ。
 
パットの初期、音の基本は「フュージョン」。そんな、パットの「フュージョン」の音世界の中で、米国フォーキーな響き、自然の広さを感じるネイチャーな雰囲気を堪能できるアルバムが『American Garage』(写真左)。1979年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Pat Metheny (g, 12strings-g, b), Lyle Mays (p, key, Org, Oberheim, Autoharp), Mark Egan (b), Dan Gottlieb (ds)。当時、鉄壁のメセニー・グループである。
 
このアルバムは、パットの特徴である、米国フォーキーな響き、自然の広さを感じるネイチャーな雰囲気と、ライル・メイズの透明感あふれるフォーキーなキーボードが相性バッチリ合って、パット・メセニー・グループの特徴である「ネイチャー・ジャズ」をアルバム全編に渡って展開している。
 
冒頭の「(Cross the) Heartland」の前奏を聴くだけで、その米国フォーキーな響き、自然の広さを感じるネイチャーな雰囲気を感じ取ることが出来る。そして、バンド一体となった、気持ちの良い「チェンジ・オブ・ペース」。ECMレーベル独特のエコーによる「音の響き」が実に心地良い。実に明るい、ポジティブな演奏。この1曲目の「(Cross the) Heartland」だけで、もう「参りました」という感じになる(笑)。
 
American_garage
 
そして、3曲目の「The Search」が秀逸。この曲も前奏を聴くだけで、既にその音世界は「ネイチャー・ジャズ」。パットの独特な響きのするアルペジオをバックに、ライル・メイズ独特のシンセの音。広大な音の拡がり。そして、ライル・メイズの透明感あふれるアコースティック・ピアノ。そこにファンファーレの様に高らかに響く、パットのオクターブ奏法。この「The Search」では、パットとメイズの相性の良さを、とても強く感じることが出来る。
 
その他の収録曲のいずれの演奏も、パット・メセニー・グループの躍動感溢れる、ポジティブな演奏が楽しめる。どの曲も、実に「Warm」で爽快感抜群。しかも、ECMレーベル独特のエコーによる「音の響き」の効果と相まって、実に広大な、奥行きのある音世界が拡がる。この拡がりと奥行きのある音世界が、パット・メセニー・グループのフュージョン・ジャズの特徴。そんじょそこらの「フュージョン・バンド」とは明らかに一線を画する、独特の個性がある。
 
聴けば判る。実に良いアルバムです。とにかく聴いてみて下さい。ジャズとかフュージョンとか言う前に、1970年代の音がギッシリ詰まった、素晴らしい「音楽」がこのアルバムに詰まっています。特に、若手ジャズ者初心者の方々にお勧め。これも「ジャズ」です。
 
 
 
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2011年2月12日 (土曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・18

今年の冬、やっとまとまって雪が降った。屋根の上にはうっすら雪が残っている。畑の雪は溶け始めている。道には雪は無し。なんとか、雪の影響は少なかった我が千葉県北西部地方。
 
以前より、雪が降れば、必ず持ち出すピアノ・トリオ盤がある。Duke Jordan(デューク・ジョーダン)の『Flight To Denmark』(写真左)。なぜ雪が降れば必ず持ち出すのか。それはジャケットを見て頂ければ判ります。
 
デューク・ジョーダンはバップ・ピアニスト。ビ・バップの創始者の一人、伝説のアルト奏者チャーリー・パーカーとの共演でも知られる。1922年4月生まれ。2006年8月没。途中演奏活動を中断しているが、彼がジャズ・ピアニストとして活躍していた時のスタイルは、徹頭徹尾「バップ・ピアニスト」。人気に迎合したファンキーや、ジャズの先端スタイルであるモードとは全く無縁で、1960年代までは、全く人気が出ませんでした。
 
しかし、何が幸いするのか人生って判らんなあ、とつくづく思うのは、いきなり、1970年代に入って、欧州で、ハードバップがリバイバルします。なんと、ジョーダンは、その欧州のハードバップ回帰のブームに乗って、デンマークのSteepleChaseレーベルから、リーダー・アルバムを発表するるようになりました。これが「大当たり」。
 
そんな波に乗ってリリースされた、ピアノ・トリオの優秀盤がこの『Flight To Denmark』。1973年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p) Mads Vinding (b) Ed Thigpen (ds)。いや〜、北欧のジャズ・レーベルSteepleChaseらしい、実に優れた内容のピアノ・トリオ盤です。LP時代の初出の時の収録曲は以下の通り。
 
A面
1. No Problem (危険な関係のブルース)
2. Here's That Rainy Day
3. Everything Happens to Me
4. Glad I Met Pat
B面
1. How Deep Is the Ocean?
2. On Green Dolphin Street
3. If I Did - Would You?
4. Flight to Denmark
 
 
Flight_to_denmark
 
 
自作の「No Problem」や「Flight To Denmark」と、その他、なかなか渋い選曲のスタンダード曲を織り交ぜて、実に魅力的な収録曲のラインナップを形成しています。僕にとっては、スタンダード曲の中での大のお気に入り「On Green Dolphin Street」が入ったB面がヘビーローテーションでした。
 
デューク・ジョーダンのピアノは、バップ・ピアニストのマナーを基本にしつつ、端正でブルージー、タッチは硬質で派手目でありながら、ちょっと「くぐもった」音色が特徴的で、そこはかと無く漂うマイナー調の翳りが個性。一言で形容するのは、なかなか難しい個性だが、一聴するだけでなんとなく判る、不思議な個性のピアニストである。
 
この『Flight To Denmark』が、ピアノ・トリオの代表的名盤として挙げられる要素のひとつに、リズム・セクションの存在が挙げられる。マッツ・ヴィンディングのベースとエド・シグペンのドラミング。どちらも、淡々とした枯れた味わいの、それでいてメリハリのバッチリ効いたリズム&ビートが素晴らしい。北欧のハードバップを踏襲したリズム&ビートとでも形容したら良いだろうか。米国では絶対に表現出来ない、欧州独特のリズム&ビートが、このアルバムの根底にしっかりとある。
 
この欧州独特のリズム&ビートが、デューク・ジョーダンの、硬質で派手目でありながら端正でブルージーなタッチと相性抜群なのだ。このアルバムを聴いて思うのは、ピアノ・トリオって、ピアノとリズム・セクションとの相性が成否の鍵をかなりの面で握るんやなあ、ということ。ピアニストだけの実力で、優れたピアノ・トリオ盤は成立しない。

 

アルバム全体に漂うマイナー調な寂寞感が実に心に染みる、演奏テクニックやアレンジなど、演奏内容的にも優れたアルバムです。1970年代の欧州でのハードバップのリバイバル・ブームが良い方向に作用した、北欧の環境ならではのピアノ・トリオ盤です。当時の北欧でしか為し得なかった、独特の雰囲気のハードバップなピアノ・トリオ盤がここにあります。
 
ジャズ者初心者の方々からジャズ者ベテランの方々まで、幅広くお勧めすることができる「ピアノ・トリオの代表的名盤」の一枚です。
 
 
 
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2011年2月11日 (金曜日)

CTIレーベルらしいアルバム・2

CTIレーベルの特徴は、とにかく聴き易いアルバムが多いこと。そして、クロスオーバー(フュージョンの前身)のブームの立役者的な立ち位置だったので、さすがに「これぞクロスオーバー」というリズム&ビートをしている。
 
電気楽器の急激な発展の真っ只中で運営されていたジャズ・レーベルだけあって、その録音時期によって、電気楽器の選定、音、使い方が全く違う。逆に言うと、その時期、その時代の電気楽器の代表的な音を聴くことができる。電気楽器の音と使い方の歴史を見るようなレーベルである。
 
さて、1月27日のブログ(左をクリック)で「CTIレーベルらしいアルバム」のタイトルで、Kenny Burrellの『God Bless The Child』をご紹介した。今日は「CTIレーベルらしいアルバム・2」と題して、Joe Farrellの『Moon Germs』(写真左)をご紹介したい。
 
チック・コリアの初期の傑作『Return to forever』と『Light as a feather』におけるリード奏者として知られるJoe Farrellの、前年の1971年に発表された『Outback』(2010年11月10日ブログ参照・左をクリック)に続く、3枚目のリーダー作。1972年のリリースになる。ちなみにパーソネルは、Joe Farrell (fl, ss), Herbie Hancock (el-p), Stanley Clarke (b), Jack DeJohnette (ds)。
 
バックのリズム・セクションのリズム&ビートが実に特徴的。リリース時期は1972年。クロスオーバー・ジャズのブーム真っ只中である。当然、このアルバムのリズム・セクションのリズム&ビートは、実に「これぞクロスオーバー」という音になっていて、実に懐かしい。それでも、さほど古さは感じない。クロスオーバーの個性として定着しているリズム&ビートである。
 
そのクロスオーバー独特のリズム&ビートにのって、リーダーであるリード奏者ジョー・ファレルのソプラノ・サックスとフルートが乱舞する。ファレルの個性が露わになった、実に内容のある演奏がギッシリ詰まっている。
 
ファレルのソプラノ・サックスのマナーは、明らかなコルトレーン・スタイル。シーツ・オブ・サウンドを駆使して、早吹きの疾走感溢れる展開とフリーキーなアドリブは、コルトレーン・スタイルの何者でもない。しかし、その音色はコルトレーンの様に黒くも無く、重くもない。また、暗くもないし、激しくもない。
 
Moon_germs
  
ファレルのソプラノ・サックスの音色は、どこか爽快感があり、フレーズの展開は風の様に優しくて軽く、基本的に明るい。そんなコルトレーンとは正反対の音色をしているので、コルトレーン・スタイルを踏襲したソプラノ・サックスではあるが、その内容は決して「深刻」にはならない。
 
そして、ファレルのフルートが良い。テクニックは優秀、音色はソプラノ・サックス同様、どこか爽快感があり、フレーズの展開は風の様に優しくて軽く、基本的に明るい。コルトレーン・スタイルを前提とした、正統派フルートのジャズ界の中でありそうで無い。
 
このアルバムには、ファレルの個性がバッチリ詰まっていて、ファレルの個性が実に良く判る。CTIレーベルは、リーダーのミュージシャンの音の個性を最大限に表現する。総帥のクリード・テイラーのプロデュースが素晴らしい。
  
バック・ミュージシャンに目を転じると、それはそれは錚々たるメンバーが並んでいる。そして、それぞれが入魂のプレイを展開している。ハンコックのエレピは凄まじい疾走フレーズを弾きまくり、スタンリー・クラークはブンブンと太くて轟く様なベースを弾きまくり、デジョネットはファンキーなポリリズムを叩きまくる。
  
それでも、このバック・ミュージシャンを持ってしても、このアルバムを覆うリズム&ビートは「これぞクロスオーバー」という雰囲気バリバリで、音の響きやリズム&ビートの展開は、CTIの個性をシッカリと守っている。冒頭の「Great Gorge」のリズム&ビートがまさにそれ。このクロスオーバーど真ん中でファンキーなノリはCTIの個性である。
 
この『Moon Germs』は、リーダーのジョー・ファレルの個性がギッシリ詰まったファレルの代表作であり、CTIレーベルらしいアルバムの代表盤の一枚でもあります。ジャケット・デザインもCTIらしく、バーチャル音楽喫茶『松和』で、CTIレーベルらしいアルバムを聴かせてよ、というリクエストに対しては、このアルバムも選択対象ですね。良いアルバムです。
 
 
 
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2011年2月 9日 (水曜日)

晴れたらコンテンポラリーな盤を

今朝は雨。昨晩から降り始めた雨は、今年になって初めての「まとまった雨」。しかも、グッと冷え込んで、とにかく、それはそれは「冷たい雨」。これはかなわんなあ、と朝の通勤。冷え冷え、びしゃびしゃの千葉県北西部地方である。
  
しかし、昼前から急速に天気が回復。良い天気になった。こういう気分の良い午後は、洒脱なコンテンポラリー・ジャズが聴きたくなる。それも、爽快感があり、切れ味があり、聴き流すも良し、じっくり聴くも良し、キャッチャーな旋律を織り交ぜ、フレーズが親しみ易い、ポップなコンテンポラリー・ジャズが良い。
 
今をときめく、ファーストコールな人気ベーシスト、Christian Mcbride(クリスチャン・マクブライド)の4枚目のリーダーアルバム『Sci-Fi』(写真左)を聴く。2000年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Christian McBride (key, ac-b,el-b), Ron Blake (ss,ts), Shedrick Mitchell (p,Fender Rhodes), Rodney Green (ds)。ゲストに、Herbie Hancock (p), Toot Thielemans (hca), David Gilmore (g), Dianne Reeves (vo)。 
 
電気楽器を織り交ぜつつ、マクブライド自身、8割方がアコースティック・ベースと、純ジャズをフュージョンを取り混ぜ、今までのジャズの要素を要所要所に配して、21世紀のメインストリーム・ジャズを演出している。
 
収録曲を見渡すと、スティーリー・ダンの「Aja」に始まり、6曲目には、スティングの「Walking on the Moon」、7曲目は、ウェザー・リポートの「Havona」が、そして、10曲目には、ワーナー時代のハービー・ハンコックに捧げた「Via Mwandishi」まで収録されていて、この収録曲を見るだけでも、コンテンポラリー・ジャズの芳しき香りがプンプンする。選曲も実に「21世紀的」である。
 
Mcbride_scifi
 
特に、スティーリー・ダンの「Aja」は、その充実した内容に感服した。原曲「Aja」のセンスの良い、小粋な切れ味そのままに、今様の4ビートのコンテンポラリー・ジャズに仕立て上げた、そのアレンジ・センスとバンドの演奏力には凄まじいものがある。スティングの「Walking on the Moon」も然り。
 
そして、ウェザー・リポートの「Havona」が絶品。オリジナルである、ウェザー・リポートの演奏よりも洗練され、展開がダイナミック。音の切れ味が抜群。エレベの天才ジャコ・パストリアスの必殺曲「Havona」。このエレベの天才の名曲・名演を、マクブライドは、アレンジよろしく、高速ウッドベースで弾きまくっている。
 
1曲目「Aja」と6曲目の「Walking on the Moon」で、ゲスト・ギタリストのDavid Gilmore(Pink Floydのギタリストで有名)が、ロックっぽいジャジーなギターを披露し、3曲目「Xeres」で、ゲスト・ピアニストのHerbie Hancockが大活躍。4曲目の「Lullaby for a Ladybug」での、Dianne Reevesのボーカルも良い雰囲気。

全体的に重心が低く、しっかりとした安定感があり、アップテンポの曲でも破綻が無く、ハイテクニックを駆使しているにも拘わらず、それが少しも耳につかない。バンド全体のレベルは途方もなく高い。アルバムに収録された全ての曲について、実に趣味の良い、洒脱なコンテンポラリー・ジャズに仕上げられている。テイストは「21世紀のモダン・ジャズ」。
 
良いアルバムです。爽快感抜群で、実に洒脱なジャズ・アルバムです。リーダーのマクブライドのセンスの良さが光ります。21世紀のモダン・ジャズ。ジャズ者初心者からジャズ者ベテランの方々まで、幅広くお勧めできる優秀盤です。
 
 
 
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2011年2月 8日 (火曜日)

スワンプ・ブームの正体

デラニー&ボニー(Delaney & Bonnie)は、米国のデュオ歌手。デラニー・ブラムレットとボニー・ブラムレットの夫婦により結成された。サイケデリック・ロックをベースに、サイケなテイストを極力抑制しながら、米国のルーツ・ミュージックをコマーシャルに織り交ぜた独特の音楽性、当時は「スワンプ」と呼ばれるジャンルの音世界が特徴のデュオである。
 
1970年前後、デラニー&ボニーによって、英国の主だったロック・ミュージシャンは「スワンプ」にイチコロ。ブルース・ロックをかなぐり捨てて、米国ルーツ・ロックと信じた疑わなかった「スワンプ」にひた走った。
 
その最先鋒がエリック・クラプトン。なにが響いたかしらないが、クラプトンは、このデラニー&ボニーによって、スワンプに走った。最初は夫のデラニーがクラプトンを利用し、クラプトンを「スワンプ」漬けにし、クラプトンにボーカルを担わせて、そのプロデュースをかって出て、法外な報酬を得たらしいが、実はクラプトンの方が「したたか」だった。
 
1970年代のクラプトン。デレク&ドミノスは例外として、「461オーシャン・ブールヴァード」以降、1970年代クラプトンのベースは、デラニー&ボニーの音楽性にある。クラプトンは、デラニー&ボニーの音楽性をしっかりと「パクッて」いる。デラニー&ボニーからクレームが付かなかったのが不思議な位に、思いっきり「パクッて」いるのだ。
 
最近、十分に聴き終えたボックス盤がある。『Delaney & Bonnie & Friends with Eric Clapton』(写真右)のコンプリート・ボックス盤である。デラニー&ボニーがエリック・クラプトンら「フレンズ」と共に行なった1969年欧州ツアーを録音したライヴ盤が4枚組CD超デラックス・ヴァージョン。現在では、『Delaney & Bonnie & Friends On Tour with Eric Clapton – Rhino Handmade Deluxe Edition』(写真左)と呼ばれる(長ったらしいネーミングやなあ)。
 
Delaney_bonnie_clapton
 
ライヴ盤が4枚組の収録公演は下記の通り。
 
CD1 1969年12月1日 英ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホール
CD2 1969年12月2日 英ブリストル、コルストン・ホール
CD3 1969年12月7日 英クロイドン、フェアフィールド・ホール 1st show
CD4 1969年12月7日 英クロイドン、フェアフィールド・ホール 2ndst show
 
今までオフィシャルでリリースされていたものはCD3&4からの抜粋になります。しかも、このCD4枚組ボックス盤は、定評あるRhinoのリマスターですので、音質はかなり良いです。これも「買い」の評価ですね。オフィシャルでリリースされている『Delaney & Bonnie & Friends with Eric Clapton』は、その音質にちょっと課題が残る内容でしたので、このCD4枚組ボックス盤の音質は、マニアとしては嬉しい限り。
 
このCD4枚組ボックス盤を聴くと、クラプトン、デイヴ・メイソン、そして、ジョージ・ハリスンがこぞって、デラニー&ボニーに影響受けたの良く解りますが、特に、クラプトンは、思いっきり「パクッた」。
 
ボニー・ブラムレット=イボンヌ・エリマンとして、女性ボーカル、イボンヌ・エリマンを傍らに配して、デラニー&ボニーが宿していたサイケの雰囲気をすっかり消し去り、米国で受けの良い米国南部ブルースの雰囲気をしっかり導入して、スワンプの真髄である「レイドバック」したブルース・ロックに仕立て上げ、「クラプトン・オリジナル」として展開した。
 
このRhinoのCD4枚組ボックス盤を聴けばそれが良く判る。クラプトンは「したたか」だった。デイヴ・メイソンとジョージ・ハリスンは、デラニー&ボニーの「スワンプ」を体験して、それぞれオリジナルな「スワンプ・ロック」を表現したが、クラプトンは、デラニー&ボニーの忠実なフォロワーだった。フォロワーどころか、デラニー&ボニーの音楽性を当時のトレンドにしっかりと合わせて、「クラプトン・オリジナル」として焼き直した。
 
非常の様々な角度から楽しむことの出来る、含蓄のあるCD4枚組ボックス盤です。1970年前後の「スワンプ・ロック」のマニア御用達です。普通のファンの方々は、オフィシャルでリリースされている『Delaney & Bonnie & Friends with Eric Clapton』で、デラニー&ボニーの「スワンプ」を体験できれば良いかと思います。
 
 
 
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2011年2月 7日 (月曜日)

チックのファンタジー3部作・3

『The Leprechaun』(1975年)、『My Spanish Heart』(1976年)、『The Mad Hatter』(1978年)の、僕が勝手に「チックのファンタジー3部作」と名付けた、コンテンポラリーなジャズ組曲アルバム3枚。その3枚の中で、究極の「ファンタジー」なアルバムが『The Mad Hatter』(写真左)。
 
ジャケットのチックの出で立ちを見て欲しい。これって「どうよ」。う〜ん、よくやるなあ。まあ、この『The Mad Hatter』、L.キャロルの「不思議の国のアリス」をモチーフにしたコンテンポラリーなジャズ組曲なので、チックの出で立ちは、その「Mad Hatter」を模しているのかと(笑)。しかし、このジャケット・デザインは凄い。これでは絶対にチックのマニア以外は手に取らないと僕は思う(爆)。
 
しかし、このアルバムの内容は素晴らしい。このアルバムにおいても、チック・コリアのコンポーザー&アレンジャーとしての才能が最大限に発揮されている。ジャズの歴史から、様々なジャズの表現法をちりばめ、曲もアレンジも素晴らしく、弦楽四重奏の様な弦のアレンジも秀逸。ブラスの導入も煌びやかで、そのアレンジも秀逸。チックのコンポーザー&アレンジャーとしての最高傑作と言っても良い出来である。
  
ちなみにパーソネルは、Chick Corea(key), Charles Veal, Kenneth Yerke(vln), Denyse Buffum(vla), Stuart Blumberg(tp), John Rosenberg, John Thomas(tp), Ron Moss(tb), Joe Farrell(fl, ts), Dennis Karmazyn(cello), Jamie Faunt(b), Harvey Mason(ds), Gayle Moran(vo), Eddie Gomez(b), Steve Gadd(ds), Herbie Hancock(key) 。 チックが選んだ、チックの音ワールドを担う、チックのバンド・メンバーである。
 
しかし、このアルバムの構成力は素晴らしい。「不思議の国のアリス」をコンセプトに目眩く音世界が展開される。これはロックで言うと「プログレ」。この『The Mad Hatter』は、プログレッシブ・ロックならぬ「プログレッシブ・ジャズ」である。これだけ、ひとつのコンセプトに則った、構成力の素晴らしいジャズのアルバムは、そうそう無い。チックのコンポーザー&アレンジャーの頂点を成す一枚であろう。
 
Mad_hatter
 
収録曲の内容も全て良い。僕のお気に入りは、4曲目「Humpty Dumpty」。チックのアコースティック・ピアノが限りなく美しい。ジョー・ファレルのコルトレーン・ライクなテナーが豪快。コルトレーンなマナーを踏襲しつつ、チックの音世界をしっかりと織り交ぜ、ラテン・フレーバーなコルトレーン的なブロウが実に個性的。Eddie Gomez(b), Steve Gadd(ds)のリズム・セクションが舞うように展開する。
 
そして、ラストの「The Mad Hatter Rhapsody」が大のお気に入り。他の曲とは雰囲気が全く違う。テンション高く、演奏の雰囲気に鬼気迫るものがある。チックのコンテンポラリーなジャズとして最高峰をいくものと僕は思っている。

チックがキーボードを弾きまくり、ゲストのハービー・ハンコックが、フェンダー・ローズを弾きまくる。このチックとハービーの「キーボード・バトル」が素晴らしい。
 
もともと、チックはエレピの演奏についてはハービーを凌駕し、ここでもその真価を発揮している。「うへ〜、スゲ〜」って感じ。そして、エレピの演奏についてはチックに一歩譲るハービーも、ここでは、凄いインプロビゼーションを展開している。「やればできるやないか〜」って感じ。凄いぞ、ハービー。
 
良いアルバムです。ジャズも、ここまでコンセプト・アルバムを追求できるんだと、発売当時、このアルバムを入手して感動したことを、昨日のことの様に覚えています。しかも、それは誰にでも出来ることではない。コンポーザー&アレンジャーとしての才に長けたものだけが為し得る「目眩く音絵巻」。チックの究極の「ファンタジー」なアルバムを堪能して下さい。
 
 
 
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2011年2月 6日 (日曜日)

チックのファンタジー3部作・2

チック・コリアは1941年6月生まれ。今年で70歳になる。チックの父親はイタリア出身、母親はシシリー島の出身。祖父が地中海を放浪していたりで、地中海繋がりで、チックの家系には、スパニッシュの血が流れていたとのこと。
 
そんな環境に育った故か、チックの音の最大の特徴は、メロディラインにもリズム&ビートにもラテン色が強いこと。ラテン色の中でも、一番キャッチャーな特色は「スパニッシュ色」。チックの代表曲のひとつに、ズバリ「Spain」という名曲があるくらいだ。 
 
そんなチックの「スパニッシュ志向」を凝縮して、アルバムコンセプトとして、チックのコンポーザー&アレンジャーとしての才能を大いにふるった傑作アルバムが『My Spanish Heart』(写真左)。1976年の作品。僕が勝手に「チックのファンタジー3部作」と名付けた、1970年代中盤にリリースされた、コンテンポラリーなジャズ組曲アルバム群の2枚目。
 
LP時代は2枚組でリリースされたほどのボリュームある内容。ちなみにパーソネルは、Stuart Blumberg, John Rosenberg, John Thomas (tp) Ron Moss (tb) Connie Kunka, Barry Socher (vln) Carol Mukogawa (vla) David Speltz (vlc) Chick Corea (p, el-p, syn, org, vo) Jean-Luc Ponty (violin) Stanley Clarke (b) Steve Gadd (ds) Narada Michael Walden (handclapper) Don Alias (per) Gayle Moran (vo)。当時のフュージョン・ジャズのオールスターというよりは、しっかりとチックが人選した精鋭メンバーという感じ。
 
このアルバムは凄い内容である。チックの「スパニッシュ志向」全開。スパニッシュ&ラテン・フレーバー満載。「スパニッシュ志向」オンリーのアルバムコンセプトのみでありながら、LP2枚組のボリュームを決して飽きさせない。決して、緩んだ部分が無い。先ず第一に、どの曲もどの曲も曲自体の質が高い。加えて、そんな質の高い曲に対して、様々なアレンジと演奏の工夫が施されており、それぞれの曲の完成度は高い。そして、アコースティックな楽器とエレクトリックな楽器の織り交ぜ方が実に上手い。
 
My_spanish_heart
 
加えて、このアルバム全編に渡って、チックのキーボーディストのテクニックが素晴らしい。アコピは当然のことながら、特にシンセサイザーの使い方、音の出し方、音色の選び方が素晴らしい。これはもう天才的である。ジャズ界の中で、電気キーボードについての理解度合いについては、恐らくチックが第一人者だろう。電気キーボードの演奏に携わる方々はこのアルバムでのチックのキーボードを一度は耳にして欲しいと思う。
 
バックを支えるミュージシャンも、単なるオールスター的集まりでは無い。しっかりとチックが人選した精鋭メンバー達である。実に質の高い演奏でチックを支える。特に、Stanley Clarke (b) Steve Gadd (ds) Don Alias (per) のリズム・セクションが好調。

とりわけ、いつになく、ベーシストのスタンリー・クラークが好調。気持ち、気合いの入ったスタンリー・クラークのベースはやはり素晴らしい(逆に手を抜いたスタンのベースは聴けないけど)。ガッドのドラミングはチックにピッタリ。チックの流れるようなフレーズを決して邪魔しない、チックのインプロビゼーションの疾走感を煽り加速させる、実に相性の良いドラミングだ。
 
収録されたどの曲も素晴らしいが、冒頭の「Love Castle」のチックのアコピとエレピとシンセの乱舞は見事。組曲風の「El Bozo, Part I〜Part III」のシンセのフレーズには感動の一言。特に「El Bozo, Part III」のシンセのフレーズには、感動の想いに心が打ち震え、常に感動の想いが溢れてくる。この「El Bozo, Part III」のチックのシンセの響きが大好きで、この「El Bozo, Part III」だけとっても、今までに何百回聴き直したか。それほどまでに美しい響きがこのアルバムに満ちている。
 
僕にとって、決して飽きないアルバムですね。チック・コリア入門盤としては、ちょっと内容が濃すぎるかなあ。でも、チックのキーボーディストとしての実力を知るには、格好のアルバムです。LP時代は2枚組。CDでは1枚に収録されたので、お買い得でもあります。この『My Spanish Heart』は、チックの「スパニッシュ志向」の頂点に位置する傑作です。
 
 
 
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2011年2月 5日 (土曜日)

チックのファンタジー3部作・1

チックのコンポーザー&アレンジャーとしての才能には素晴らしいものがある。特に素晴らしいのが「構築力と構成力」。クラシックの交響曲や組曲の様に、アルバム全体のコンセプトを見渡しながら、それぞれの場面に適した曲を配し、一連の全体の流れとして、アルバム全体の音の流れを構築する。
 
クラシックでは当たり前な、コンポーザー&アレンジャーとしての「構築力と構成力」。ジャズを聴き始めた時、ジャズは即興の音楽故、クラシックで当たり前なことは、ジャズでは出来ないと思っていた。が、それは間違いだと気が付いたのは、エレクトリック・マイルスを体験した時。即興演奏を前提として、クラシックとまた違ったコンポーザー&アレンジャーとしての「構築力と構成力」を見せつけてくれた。
 
そして、クラシックの様に事前の譜面を前提として、そこにジャズの即興を織り交ぜ、クラシックの組曲の様な、一大絵巻の様なジャズ組曲を創り出し、クラシックと同様の「構築力と構成力」がジャズにも当たり前に存在することを教えてくれたのが、チック・コリアである。
 
そんなチック・コリア(Chick Corea)のコンポーザー&アレンジャーとしての才能が発揮された素晴らしい成果が1970年代中盤にある。『The Leprechaun』(1975年)、『My Spanish Heart』(1976年)、『The Mad Hatter』(1978年)の、僕が勝手に「チックのファンタジー3部作」と名付けた、コンテンポラリーなジャズ組曲アルバム3枚。この3枚のジャケット・デザインを眺めて貰えれば、なぜ「ファンタジー3部作」なのかがご理解いただけると思う(笑)。
 
さて、その「3部作」のトップ・バッター1975年作の『The Leprechaun』(写真左)である。邦題は「妖精」。このアルバムのジャケット・デザインを見て頂ければ、この『妖精』というアルバムが「チックのファンタジー3部作」のトップを飾ることについて、ご納得いただけるかと思う(笑)。しかし、このジャケット・デザインに引いている場合ではない、このジャケット・デザインに狼狽えている場合ではない。
 
Leprechaun
 
このアルバム、タイトル通り、「妖精」をテーマにした、チックのコンポーザー&アレンジャーとしての才能が全開の「ジャズ組曲」なのだ。
  
曲毎にバリエーションや展開に十分な工夫が施され、弦楽四重奏団やブラスを入れたり、ゲイル・モランの幻想的なボーカルを織り込んだり、作曲&アレンジに工夫されている様子が十分に窺える。アルバム全体を通して、チックならでは、というか、チックでしか為し得ない「音世界」がこのアルバムの中にギッシリ詰まっている。
 
加えて、このアルバム、チックのキーボード、特にシンセサイザーのテクニックとセンスの良さが全開なのだ。このアルバムを聴いて感じるのは、チックのシンセの使い方は、ジャズ界の中でも突出して優れているということ。シンセを歌うように響かせ、様々な音色を配し、とにかく上手い。シンセのエフェクトの使い方のセンスが素晴らしい。
 
参加メンバーは、ズラーっと並べると、Danny Cahn(p), John Gatchell(tp), Bob Millikan(tp), Wayne Andre(tb), Bill Watrous(tb), Joe Farrell(reeds), Annie Kavafian(vln), Ida Kavafian(vln), Louise Shulman(viola), Fred Sherry(cello), Eddie Gomez(b), Anthony Jackson(b), Steve Gadd(ds), Gayle Moran(vo)。リズム・セクションは、ドラムのスティーブ・ガッドが要。チックとガッドの相性が抜群に良いことがが良く判る。
 
「チックのファンタジー3部作」のトップバッター『The Leprechaun(妖精)』。素晴らしいジャズ組曲・音絵巻です。決して、ジャケットのデザインに「引かないで」下さい。また、コンテンポラリー・ジャズ系の最高峰のキーボード・センスを学び、感じるに素晴らしい、最高のサンプルでもあります。
 
 
 
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2011年2月 3日 (木曜日)

トラッド・ジャズも良いもんだ

ルイ・アームストロングを聴いている。ルイ・アームストロング(Louis Armstrong)は、トランペット奏者、歌手。サッチモ(Satchmo)という愛称で呼ばれる。ジャズ初期の頃、ジャズをポップス・ミュージックへ発展させた、偉大なジャズ・ミュージシャンである。
  
そのだみ声を活かしたボーカルは、独特の個性を発散する。どこから聴いても「サッチモ」のボーカルであることが判る。凄い個性だ。だみ声なので下手くそっぽく聴こえるが、良く聴き込むとそのボーカル・テクニックが確かなものであることが良く判る。
 
サッチモのトランペットは素晴らしい。音の大きさ、ブリリアントな響き、テクニック、どれをとっても素晴らしい。しかも、アドリブのフレーズが意外と洒落ていて粋である。後のハードバップ時代のアドリブ・フレーズと比較しても全く遜色が無い。ジャズの歴史の中で、最初の天才ジャズ・トランペッターだろう。
 
ただ、サッチモの活躍した時代は、1920年代〜60年代。特に若かりし頃、全盛を誇ったのは、1920年代〜50年代前半が中心。若かりし頃の録音は音質に難点があるのが残念。しかし、このアルバムは、1954年に吹き込まれたもので、その音質もまずまず。サッチモの天才的なボーカルとトランペットを生々しく伝えてくれる。そのアルバムは『Plays W.C. Handy』(写真左)。
 
Plays_wc_handy
 
冒頭の「セントルイス・ブルース」を聴くだけで、サッチモのボーカルとトランペットの個性を十分に感じ取る事が出来る。というか、「セントルイス・ブルース」を聴き終えるとドッと疲れがでる位、その個性とテンションがギッシリと詰まっている。
 
全編、W.C. Handy作の全曲ブルースナンバーという企画盤。豪快かつ哀愁を感じさせる独特なボーカルは、ジャズ・シンガーというよりは、ブルース・シンガーに近い。だみ声なので、最初は取っつき難いが、聴き馴れてくるに従い、その良さが心に染みてくる。そうなれば完璧に「やみつき」である(笑)。
 
ジャズを聴き始めた頃、ジャズ者初心者の頃は、このサッチモの良さが全く判らなかった。こんなだみ声のボーカルどこが良いんや、と思った。でも、トランペットは違った。音の大きさ、ブリリアントな響き、テクニック、これって凄いと思った。そして、時が経ち、年齢を重ねるにつれ、サッチモのボーカルの良さが徐々に判ってきた。この『Plays W.C. Handy』は、その良さを十分に伝えてくれる。
 
僕は、サッチモのジャズ・スタイルを敢えて「トラッド・ジャズ」と呼んでいる。サッチモのジャズの根底には、しっかりとニュー・オリンズ・ジャズや、ディキシーランド・ジャズが息づいている。そして、その「トラッド・ジャズ」をポップス・ミュージックとして、とても楽しく聴かせてくれる。「トラッド・ジャズ」も時には良いもんだ。  
 
 
 
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2011年2月 2日 (水曜日)

再々結成オールマンズの傑作

さて、今日は久しぶりに「懐かしの70年代館」の松和のマスターです。
 
1月12日のブログ(左をクリック)でお話しした、1990年10月、『Seven Turns』というアルバムを引っさげて、突如、再々結成された「The Allman Brothers Band(略称オールマンズ)」。この再々結成は、流石に最初は信用出来なかった。なんせ再結成の時、裏切られてるからなあ。
 
しかし、この『Seven Turns』は、オールマンズ初代黄金期を支えた名プロデューサー、トム・ダウトの力を借りて、往年のオールマンズのエネルギーというか、覇気を携えて、十分、オールマンズ復活の手応えを感じることができる出来だった。ただ、約10年ぶりの再々結成だけに、「こんなんでよかったんかいな」という感じの手探り状態の雰囲気がしっかりと漂っていた。
 
それから、スタジオ盤1枚、ライブ盤1枚を経て、再々結成後、第4作目『Where It All Begins』(写真左)で、これぞ「オールマンズ」というスタジオ盤を完成させた。当然、トム・ダウトがプロデューサー。再々結成時に漂っていた手探り状態も払拭され、自信たっぷりに往年のオールマンズの音を甦らせている。このスタジオ盤でもスタジオ・ライブ形式での1発録りだったという。確かにライブ感抜群である。
 
しかし、ロック・バンドの決め手は、やっぱりギタリストなのかなあ、と改めて感心する。Warren Haynesという天才ギタリストが加入しただけで、これだけ劇的にオールマンズが変化するとは思わなかった。巷で評価されているように、Warren Haynesは、初代オールマンズの総帥、天才ギタリストDuane Allmanの再来といっていいだろう。Duaneの音をスマートにした感じのDuane譲りのワイルドさは継承されているが、ギター自体の音は、Duaneと比べてクリア&スマート。Duaneの方が適度に濁っていて荒々しい。
 
Abb_where_it_all_begins
 
この『Where It All Begins』では、このWarren Haynesのスライド・ギターが大活躍。ボトルネック奏法も大々的にフューチャーされていて、これぞ「サザン・ロック」、これぞ「ブルース・ロック」と言える、往年のオールマンズの再来となっている。このWarren Haynesの充実ぶりに引きずられるように、初代オールマンズからの古参Dickey Bettsのギターも活き活きしている。WarrenとDickeyのギターバトルは、初代オールマンズ、DuaneとDickeyのギターバトルを彷彿とさせる。
 
メインのギターがこれだけ充実すると、ボーカルも充実する。Gregg Allmanのボーカルがいつになく、充実している。初代オールマンズ時代のワイルドなボーカルが帰ってきている。再結成時のGreggのボーカルを経験しているので、再々結成で、Greggがここまで復活するとは思わなかった。Greggは担当するボーカルもオルガンも「充実」の一言。
 
リズム・セクションのAllen Woody (b), Jaimoe (ds, per), Butch Trucks (ds)も良い感じ。サザン・ロックならではの、ラフでエネルギッシュで「うねるような」ビートを延々と供給し続ける。
  
収録された楽曲はどの曲も良い出来で充実している。特に、3曲目のタイトル曲「Back Where It All Begins」は、Dickeyのペンによるものだが素晴らしい出来だ。お得意のインスト・ナンバーと荒々しいボーカル・ナンバーを合わせた様な演奏内容は、歴代のオールマンズの名演に引けを取らない優れものだ。
 
良いアルバムです。サザン・ロック、ブルース・ロック好きの方々にお勧め。オールマンズのファンには絶対のお勧め。米国南部の香りが強烈に漂う傑作です。
 
 
 
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2011年2月 1日 (火曜日)

「ペト」の米国での到達点

ミシェル・ペトルチアーニ(Michel Petrucciani・略称ペト)。先天性疾患による障害を克服し、フランス最高のジャズ・ピアニストと評価される。1981年にカリフォルニアに旅立って以来、1985年にNYに移り、1994年、母国のフランスに戻るまで、米国でのペトの成果は、この『プレイグラウンド(Playground)』(写真左)に凝縮されている。
 
ミシェル・ペトルチアーニ(Michel Petrucciani)の『プレイグラウンド(Playground)』は、米国におけるペトの集大成。ペトのピアノは限り無く美しい。次作の「Live」と併せて、ペトのピアノを心ゆくまで、愛でることが出来る。「ピアノのミューズ」がここにいる。
 
それまで、ペトの打楽器的な『打鍵の強さ』が心なしか和らいで、ピアノの響きがとても美しい。マナーは「エバンス派」。タッチの確かさは「チック譲り」。このアルバムでのペトの演奏は、トラディショナルな純ジャズを踏襲しているのではなく、コンテンポラリー・ジャズ的な演奏がギッシリと詰まっている。
 
11曲中10曲がペトルチアーニ自身による作曲。ペトの作曲と編曲の才能が、はち切れんばかりに輝いている。美しい。とにかくピアノの響きが美しい。ちなみにパーソネルは、Michel Petrucciani (p,syn), Adam Holzman (syn), Omar Hakim (ds omit 5), Steve Thornton (perc), Anthony Jackson (b), AldoRomano (ds on 5)。1991年の作品。収録曲は以下の通り。
 
Petrucciani_playground

  
1. September Second
2. Home
3. P'tit Louis
4. Miles Davis' Licks
5. Rachid
6. Brazilian Suite #3
7. Play School
8. Contradictions
9. Laws of Physics
10. Piango, pay the man
11. Like that
 
オマ・ハキム(Omar Hakim)のドラミングが生み出すビートが「要」の一端を担っている。スティーブ・ソーントン(Steve Thornton)のパーカッションも、ペト独特のビートを生み出す一端を担っている。そして、ベースのアンソニー・ジャクソン(Anthony Jackson)。独特のベースラインが、これまた、ペト独特のビートの底を支える重要な役割を担っている。
 
聴けば判る。この『プレイグラウンド(Playground)』は、米国のペトの集大成。先天性疾患による障害で、いつ命が終わるのか判らない中、ペトは、通算13年の年月の中で、このペト独特の美しきジャズ・ピアノの響きを手に入れた。とてつもなく素晴らしい成果であった。
 
 
 
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  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2021年4月
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