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2011年2月11日 (金曜日)

CTIレーベルらしいアルバム・2

CTIレーベルの特徴は、とにかく聴き易いアルバムが多いこと。そして、クロスオーバー(フュージョンの前身)のブームの立役者的な立ち位置だったので、さすがに「これぞクロスオーバー」というリズム&ビートをしている。
 
電気楽器の急激な発展の真っ只中で運営されていたジャズ・レーベルだけあって、その録音時期によって、電気楽器の選定、音、使い方が全く違う。逆に言うと、その時期、その時代の電気楽器の代表的な音を聴くことができる。電気楽器の音と使い方の歴史を見るようなレーベルである。
 
さて、1月27日のブログ(左をクリック)で「CTIレーベルらしいアルバム」のタイトルで、Kenny Burrellの『God Bless The Child』をご紹介した。今日は「CTIレーベルらしいアルバム・2」と題して、Joe Farrellの『Moon Germs』(写真左)をご紹介したい。
 
チック・コリアの初期の傑作『Return to forever』と『Light as a feather』におけるリード奏者として知られるJoe Farrellの、前年の1971年に発表された『Outback』(2010年11月10日ブログ参照・左をクリック)に続く、3枚目のリーダー作。1972年のリリースになる。ちなみにパーソネルは、Joe Farrell (fl, ss), Herbie Hancock (el-p), Stanley Clarke (b), Jack DeJohnette (ds)。
 
バックのリズム・セクションのリズム&ビートが実に特徴的。リリース時期は1972年。クロスオーバー・ジャズのブーム真っ只中である。当然、このアルバムのリズム・セクションのリズム&ビートは、実に「これぞクロスオーバー」という音になっていて、実に懐かしい。それでも、さほど古さは感じない。クロスオーバーの個性として定着しているリズム&ビートである。
 
そのクロスオーバー独特のリズム&ビートにのって、リーダーであるリード奏者ジョー・ファレルのソプラノ・サックスとフルートが乱舞する。ファレルの個性が露わになった、実に内容のある演奏がギッシリ詰まっている。
 
ファレルのソプラノ・サックスのマナーは、明らかなコルトレーン・スタイル。シーツ・オブ・サウンドを駆使して、早吹きの疾走感溢れる展開とフリーキーなアドリブは、コルトレーン・スタイルの何者でもない。しかし、その音色はコルトレーンの様に黒くも無く、重くもない。また、暗くもないし、激しくもない。
 
Moon_germs
  
ファレルのソプラノ・サックスの音色は、どこか爽快感があり、フレーズの展開は風の様に優しくて軽く、基本的に明るい。そんなコルトレーンとは正反対の音色をしているので、コルトレーン・スタイルを踏襲したソプラノ・サックスではあるが、その内容は決して「深刻」にはならない。
 
そして、ファレルのフルートが良い。テクニックは優秀、音色はソプラノ・サックス同様、どこか爽快感があり、フレーズの展開は風の様に優しくて軽く、基本的に明るい。コルトレーン・スタイルを前提とした、正統派フルートのジャズ界の中でありそうで無い。
 
このアルバムには、ファレルの個性がバッチリ詰まっていて、ファレルの個性が実に良く判る。CTIレーベルは、リーダーのミュージシャンの音の個性を最大限に表現する。総帥のクリード・テイラーのプロデュースが素晴らしい。
  
バック・ミュージシャンに目を転じると、それはそれは錚々たるメンバーが並んでいる。そして、それぞれが入魂のプレイを展開している。ハンコックのエレピは凄まじい疾走フレーズを弾きまくり、スタンリー・クラークはブンブンと太くて轟く様なベースを弾きまくり、デジョネットはファンキーなポリリズムを叩きまくる。
  
それでも、このバック・ミュージシャンを持ってしても、このアルバムを覆うリズム&ビートは「これぞクロスオーバー」という雰囲気バリバリで、音の響きやリズム&ビートの展開は、CTIの個性をシッカリと守っている。冒頭の「Great Gorge」のリズム&ビートがまさにそれ。このクロスオーバーど真ん中でファンキーなノリはCTIの個性である。
 
この『Moon Germs』は、リーダーのジョー・ファレルの個性がギッシリ詰まったファレルの代表作であり、CTIレーベルらしいアルバムの代表盤の一枚でもあります。ジャケット・デザインもCTIらしく、バーチャル音楽喫茶『松和』で、CTIレーベルらしいアルバムを聴かせてよ、というリクエストに対しては、このアルバムも選択対象ですね。良いアルバムです。
 
 
 
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