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2011年2月 7日 (月曜日)

チックのファンタジー3部作・3

『The Leprechaun』(1975年)、『My Spanish Heart』(1976年)、『The Mad Hatter』(1978年)の、僕が勝手に「チックのファンタジー3部作」と名付けた、コンテンポラリーなジャズ組曲アルバム3枚。その3枚の中で、究極の「ファンタジー」なアルバムが『The Mad Hatter』(写真左)。
 
ジャケットのチックの出で立ちを見て欲しい。これって「どうよ」。う〜ん、よくやるなあ。まあ、この『The Mad Hatter』、L.キャロルの「不思議の国のアリス」をモチーフにしたコンテンポラリーなジャズ組曲なので、チックの出で立ちは、その「Mad Hatter」を模しているのかと(笑)。しかし、このジャケット・デザインは凄い。これでは絶対にチックのマニア以外は手に取らないと僕は思う(爆)。
 
しかし、このアルバムの内容は素晴らしい。このアルバムにおいても、チック・コリアのコンポーザー&アレンジャーとしての才能が最大限に発揮されている。ジャズの歴史から、様々なジャズの表現法をちりばめ、曲もアレンジも素晴らしく、弦楽四重奏の様な弦のアレンジも秀逸。ブラスの導入も煌びやかで、そのアレンジも秀逸。チックのコンポーザー&アレンジャーとしての最高傑作と言っても良い出来である。
  
ちなみにパーソネルは、Chick Corea(key), Charles Veal, Kenneth Yerke(vln), Denyse Buffum(vla), Stuart Blumberg(tp), John Rosenberg, John Thomas(tp), Ron Moss(tb), Joe Farrell(fl, ts), Dennis Karmazyn(cello), Jamie Faunt(b), Harvey Mason(ds), Gayle Moran(vo), Eddie Gomez(b), Steve Gadd(ds), Herbie Hancock(key) 。 チックが選んだ、チックの音ワールドを担う、チックのバンド・メンバーである。
 
しかし、このアルバムの構成力は素晴らしい。「不思議の国のアリス」をコンセプトに目眩く音世界が展開される。これはロックで言うと「プログレ」。この『The Mad Hatter』は、プログレッシブ・ロックならぬ「プログレッシブ・ジャズ」である。これだけ、ひとつのコンセプトに則った、構成力の素晴らしいジャズのアルバムは、そうそう無い。チックのコンポーザー&アレンジャーの頂点を成す一枚であろう。
 
Mad_hatter
 
収録曲の内容も全て良い。僕のお気に入りは、4曲目「Humpty Dumpty」。チックのアコースティック・ピアノが限りなく美しい。ジョー・ファレルのコルトレーン・ライクなテナーが豪快。コルトレーンなマナーを踏襲しつつ、チックの音世界をしっかりと織り交ぜ、ラテン・フレーバーなコルトレーン的なブロウが実に個性的。Eddie Gomez(b), Steve Gadd(ds)のリズム・セクションが舞うように展開する。
 
そして、ラストの「The Mad Hatter Rhapsody」が大のお気に入り。他の曲とは雰囲気が全く違う。テンション高く、演奏の雰囲気に鬼気迫るものがある。チックのコンテンポラリーなジャズとして最高峰をいくものと僕は思っている。

チックがキーボードを弾きまくり、ゲストのハービー・ハンコックが、フェンダー・ローズを弾きまくる。このチックとハービーの「キーボード・バトル」が素晴らしい。
 
もともと、チックはエレピの演奏についてはハービーを凌駕し、ここでもその真価を発揮している。「うへ〜、スゲ〜」って感じ。そして、エレピの演奏についてはチックに一歩譲るハービーも、ここでは、凄いインプロビゼーションを展開している。「やればできるやないか〜」って感じ。凄いぞ、ハービー。
 
良いアルバムです。ジャズも、ここまでコンセプト・アルバムを追求できるんだと、発売当時、このアルバムを入手して感動したことを、昨日のことの様に覚えています。しかも、それは誰にでも出来ることではない。コンポーザー&アレンジャーとしての才に長けたものだけが為し得る「目眩く音絵巻」。チックの究極の「ファンタジー」なアルバムを堪能して下さい。
 
 
 
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