ペトのベスト盤的な「ライブ盤」
ジャズの中で、どの楽器が一番好きか、と問われたら、やっぱり「ピアノ」と応えるかな。昔、子供の頃、結構、真剣にクラシック・ピアノを習ったから、ちょっとだけピアノのことは判っているつもりでいる。そういう背景もあって、ジャズ・ピアノが一番好きだし、聴いていて、ちょっとだけ、ピアニストの気持ちが判る。
ジャズ・ピアニストの中で、好きなピアニストを挙げろと言われたら、先ずは、ビル・エバンス、次に、チック・コリア、そして3番目に、ミッシェル・ペトルチアーニ。この3人のピアニストは僕の中で「絶対」である。まあ、つまりは、エバンス派の流れの中で「チック系」がお気に入りということになる。
今日は久しぶりに、ミッシェル・ペトルチアーニ(Michel Petrucciani・以降略称「ペト」)の『Live』(写真左)を聴いた。ブルーノート時代のペトのライブ盤である。これが、ペトのベスト盤的な、格好の「ペト入門盤」的なライブ盤なのだ。1991年11月、仏の「The Arsenal in Metz」でのライブ録音。ちなみに、パーソネルは、Michel Petrucciani (p), Adam Holzman (key), Steve Logan (b), Victor Jones (ds), Abdou M'Boop (per)。
このライブ盤、ペトのピアニストとしての、そしてアレンジャーとしての「ペトの音」を実体験できる、素晴らしい内容のライブ盤です。ピアノのタッチは徹頭徹尾ペトのタッチ満載。そして、ビートを重視した「フュージョン的」アレンジはペト独特のもの。
冒頭の「Black Magic」を聴けば、一目瞭然というか「一聴瞭然」。2曲目の「Miles Davis Licks」で、その「ビートを重視した」アレンジは、エレクトリック・マイルスの影響ということが露わになる。うむむ、ペトはエレ・マイルスが好きだったんだな。いいぞ(笑)。「ジャン・ピエール」がモチーフになって展開するなんて、ペトってエレ・マイルスが良く判ってらっしゃる(笑)。
このライブ盤では、ペトの打楽器的な『打鍵の強さ』が心なしか和らいでいる。心なしか穏やかで優しいペトのピアノ・タッチ。NYでの修行を経て、30歳を目前にして、万感の想いを抱いての、母国(仏)での凱旋ライブということも背景にあるのかも知れない。いや、仏と言えば「欧州」。欧州ジャズの雰囲気に合わせた「マイナーチェンジ」かも知れない。
清々しい爽快感抜群の、おなじみ「Looking Up」もちゃんと収録されているところも嬉しい。ライブだけに、メリハリの効いたタッチが実に美しい。躍動感溢れる、はち切れんばかりの「Looking Up」は聴きもの。純ジャズとはちょっと違う、やや「フュージョン的」なアレンジが個性的。ピアノの響きを最大限に活かして、演奏全体がキラキラしている。
良いライブ盤です。最後の名曲『Estate』以外は全てオリジナルで固めており、ペトの気合いを感じます。ペトのベスト盤的な「ライブ盤」としてお勧めです。ペトの入門盤としても良いと思います。まだ、ペトを体験していないジャズ者の方々、このライブ盤でペトを体験して欲しいと思います。
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初めましてm(__)m
ペトの作品をクリスチャン・ジェイコブが
取り上げた「THE CHRISTIAN JACOB TRIO / Contradictions」と云う
アルバムをお聞きになった事は御座いますか?
監修もペトがやっているようです。
チックがお好きなら嵌ると思いますよ(^^ゞ
投稿: デュプレ | 2011年1月31日 (月曜日) 21時49分
デュプレさん、こんばんは。松和のマスターです。
「THE CHRISTIAN JACOB TRIO / Contradictions」ですか・・・。
はい、聴いたことがあります。確か、このブログでも・・・、
そうそう、2006年12月 2日のブログで語っています。ちなみに、
「しっかりと芯のある柔らかなタッチが生み出す、明るく輝かしい
音色。とにかく、ジェイコブのピアノが、シンプルで判りやすくて、
明るくて綺麗で申し分ない」なんて語っております(汗)。
この「Contradictions」、暫く御無沙汰でしたが、また聴き直したく
なりました。情報ありがとうございました m(_ _)m。
投稿: 松和のマスター | 2011年1月31日 (月曜日) 22時29分