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2011年1月15日 (土曜日)

寒い日は暖かい音の管楽器を 『J.J. In Person』

寒いですね。とにかく今年は寒い。日本海側や北海道では豪雪ですし、西日本でも雪が降る。ここ関東地方では、カラカラの天気で、もう何日雨が降っていませんし、底冷えする毎日は朝の通勤が辛いですね。
 
せめて、部屋の中では、ということで、暖房を効かせて暖かくして、暖かなホンワカした音が楽しめる管楽器のジャズを聴こうということで、このところ、ジャズ・トロンボーンのジャズを聴く機会が多くなりました。
 
ジャズ・トロンボーンと言えば、このところ、Columbia時代のアルバムが、ダウンロードで入手できるようになったこともあって、やはり、第一人者の J.J.Johnson(以下J.J.と略す)のアルバムを良く聴きます。J.J.については、このColumbia時代のアルバムが良いんですよね。昔、ジャズ喫茶で聴かせて貰った思い出がありますが、やっと自らの環境でも聴くこと出来るようになったのは「嬉しい限り」。
 
1月6日のブログ(左をクリック)でもご紹介した『First Place』は、J.J.のワンホーン・カルテットのアルバムでした。

ワンホーンなので、心ゆくまで、J.J.のトロンボーンの妙技を愛でることができるのが最大の特徴ですが、フロント楽器がトロンボーンのワンホーンの場合、トロンボーンの音色のバリエーションが乏しいが故に、J.J.の途方もないテクニックをしても、アルバムの途中で単調になり、飽きが来てしまう雰囲気が漂うのが弱点と言えば弱点でした。

やはり、トロンボーンの音色のバリエーションの乏しさをフォローしてくれる、トランペット等の管楽器との2ホーンのセッションが聴いてみたいなあ、という気持ちになります。そんな思いを、ズバリ、満たしてくれるアルバムがあります。1958年録音の『J.J. In Person』(写真左)です。ちなみにパーソネルは、J.J.Johnson (tb), Nat Adderley (cor), Tommy Flanagan (p), Wilbur Little (b), Albert Heath (ds)。

1958年2月19日にオハイオ大学で収録されたカレッジ・コンサートとのことで、和気藹々として、リラックスしたライブ演奏を聴くことができます。曲紹介などで、リラックスした様子のJ.J.の生声も入っており、良い意味で明るい雰囲気のライブ盤です。収録曲は次の通り。
 

Jj_in_person

 
1. Tune Up (M. Davis)
2. Laura (D. Raksin, J. Mercer)
3. Walkin' (R. Carpenter)
4. What Is This Thing Called Love? (C. Porter)
5. Misterioso (T. Monk)
6. My Old Flame (A. Johnson, S. Coslow)
7. Now's the Time (Ch. Parker)  

カレッジ・コンサートでのライブ演奏ということからでしょうか、スタンダード曲のオンパレードですが、ちょっぴり玄人好みの選曲が小粋ですね。リーダーのJ.J. の選曲センスの良さが窺い知れます。Tommy Flanagan (p), Wilbur Little (b), Albert Heath (ds)のリズム・セクションは安定感抜群で、フロントのトロンボーンとトランペット2管のインプロビゼーションにじっくりと耳を傾ける事が出来ます。

久しぶりのこのライブ盤を聴いた時、パーソネルはとっくに失念していましたので、最初、このトランペットが誰か判りませんでした。ちょっとファンキーな音色をしていて、テクニックは端正、音はブリリアント、とくれば、リー・モーガンかと思いましたが、モーガン節とも言える、音の端々の「捻れ」や「捻り」が無い。う〜ん誰だろう、と思ってパーソネルを調べてみたら、当時、まだ駆け出しのナット・ナダレイでした。

やはり、トランペットの参加の好影響は大きいですね。音が分厚くなるというか、トロンボーンの音色のバリエーションの乏しさを打ち消して、逆に、トロンボーンの音色の特性を活かしたユニゾン&ハーモニーのふくよかさが全面に押し出てくる。トロンボーンとトランペットがフロント2管で組むことで、演奏全体の音の厚みが出て、音のニュアンスが実に豊かになる。楽器の組合せって面白い。 

ジャズ者初心者からベテランの方々まで、幅広くお勧めできる好盤だと思います。寒い日は暖かい音の管楽器を。トランペットをパートナーに得た、トロンボーンの音色の特性を活かしたユニゾン&ハーモニーのふくよかさと暖かく丸いトロンボーン単独の音色を存分にお楽しみ下さい。
 
 
 
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