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2011年1月18日 (火曜日)

たまにはこんな定盤中の定盤を

ジャズの世界にも「定盤」というものが多々ある。「定盤」は「定番」のもじり。「定番」を辞書で紐解くと「流行に左右されない基本的な商品」。つまり「定盤」とは、流行に左右されない基本的な盤。ジャズを聴く上で、基本的な盤、いわゆる名盤と呼ばれる類の盤である。
 
ジャズ者ベテランの方の中には、この「定盤」を忌み嫌う方もある。あまりにキャッチャーな内容で、あまりに判り易くて、あまりに有名過ぎる。そんな盤は、ジャズ者初心者に任せておけばいい、って感覚らしいです。が、やはり、この「定盤」というもの、たまには聴き直して見ると、意外と新鮮な感覚と発見があって、意外と奥が深い。
 
ということで、僕はこの「定盤」の類を聴くのは好きです。今日は久しぶりに、ディブ・ブルーベック(Dave Brubeck)の『Time Out』(写真左)を聴きました。変則拍子ジャズの定盤中の定盤です。ちなみにパーソネルは、Paul Desmond (as) Dave Brubeck (p) Gene Wright (b) Joe Morello (ds)。1959年6月の録音。
 
このアルバムの収録曲で一番有名な曲が3曲目の「Take Five」。5/4拍子の変拍子ジャズ。ジョー・モレロのドラミングの巧みさ。ビートを叩き出す、パーカッション的なタッチが特徴のブルーベックのピアノ。演奏の底をガッチリ支えるジーン・ライトのベース。そして、旋律を軽やかに円やかに奏でるポール・デスモンドのアルトサックス。前奏を聴くだけで、これは普通の拍子の曲ではないことが判る。そして、ちょっと固さは残ってはいるが、この変則拍子に乗ってスイングしまくる、このカルテットの凄まじき演奏。
 
Time_out
 
変則拍子の曲は「Take Five」だけでは無い。1曲目の「Blue Rondo A La Turk(トルコ風ブルーロンド)」は9分の8拍子。スイングしないピアノとして、一部で忌み嫌われるブルーベックのピアノが印象的な旋律を奏でる。2+2+2+3拍子という刻みなのだが、これでどうやってスイングしているんだ。
 
この流麗なブルーベックのピアノを聴いていると、彼のスイングは横揺れでは無いと感じる。彼のスイングは縦揺れだと感じる。スクエアに縦に揺れるブルーベックのピアノ。普通にスイングしないが、僕はブルーベックのピアノが意外と好きである。アルトのデスモンドも、この縦揺れスイングのブルーベックのピアノを得て、軽やかに円やかにスイングする。
 
ブルーベックと作曲とアレンジは東海岸のそれでは無い。西海岸ジャズの影響を強く受けている。つまり、ブルーベックの音からは熱気や汗は感じられず、ちょっとクールで洒脱な雰囲気が全面に押し出てくる。それが好ましい形で出た名盤がこの『Time Out』。「Take Five」や「Blue Rondo A La Turk」以外にも、収録された演奏はどれも「クールで洒脱」。
 
やっぱり「定盤」は良いですね〜。この『Time Out』は、普通のジャズとはちょっと違う。少しクラシックな要素や現代音楽的なアブストラクトな要素を隠し味に織り交ぜながら、西海岸ジャズよろしく、小粋なアレンジで、ちょっとクールで洒脱な雰囲気を全面に押し出ている。
 
純ジャズのど真ん中からはちょっと外れてはいますが、これもジャズ。縦揺れスイングのブルーベックのピアノとそれに呼応するデスモンドのアルト。ビートを支えるジョー・モレロのドラムとジーン・ライトのベース。誰一人欠けてもこの「定盤」は生まれなかったのではないか、そう思える一期一会な演奏内容です。
 
 
 
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