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2011年1月24日 (月曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・17

デューク・エリントン(Duke Ellington・写真右)。ジャズのピアノ奏者、オーケストラリーダー。彼の率いるビッグバンドは、ビックバンドの最高峰として位置付けられる。マイルス・デイヴィスをして「あらゆるミュージシャンは、エリントンに感謝を捧げる日をもつべきだ」と言わしめた、ジャズ界最大の巨匠である。
 
「私の楽器はオーケストラだ」。作編曲家、ビッグバンドのリーダーとして君臨したデューク・エリントン。そんなデューク・エリントンが、残したピアノ・トリオがある。そのタイトルは『Money Jungle』(写真左)。1962年9月17日スタジオ録音。ちなみにパーソネルは、Duke Ellington (p), Charlie Mingus (b), Max Roach (ds)。
  
これがまあ、凄い内容のピアノ・トリオなのだ。録音年の1962年と言えば、ハードバップ全盛期を過ぎて、ファンキー・ジャズやモード・ジャズなど、ジャズ多様化の時代。何故そんな時代に、ジャズ界最大の巨匠がピアノ・トリオを録音したのかは良く判らない。何が動機で、エリントンはピアノ・トリオを録音しようとしたんだろうか。
 
先ず冒頭の「Money Jungle」を聴いて度肝を抜かれる。エリントンはビッグバンドの総帥である。エリントンのピアノに、キャッチャーなメロディーラインを持った旋律を期待するのであるが、これがとんでもない。パーカッシブで不協和音を駆使した、アブストラクトなピアノ・タッチに唖然とする。ガーン、ゴーン、ギョワーン。どこかで聴いたアブストラクトなタッチ。
 
最初聴いた時は、セロニアス・モンクかと思った。が、和音のハーモニーがモンクみたいにずれまくっていない。和音のハーモニーは不協和音とはいえ、しっかりと整合性の取れた和音を形成している。ハービー/ニコルスほど外れまくってはいないし、セシル・テイラーまではアブストラクトにフリーに走ってはいない。パーカッシブで不協和音を駆使した、アブストラクトなピアノ・タッチとは言え、そのインプロビゼーションは端正で整合性がとれている。誰やこれ、と訳が判らんかった。
 
デューク・エリントンのピアノだと知った時には、暫く信じられなかった。あの黒くジャジーで情念のこもったビッグバンド・ジャズを統率するデューク・エリントンである。なんでこんなにパーカッシブでアブストラクトなのか。
  
Money_jungle
  
しかし、2曲目の「LeFleurs Africaines [African Flower]」を聴くと、その印象がガラッと変わる。ベースとのデュオなのだが、これが打って変わって美しい。黒くジャジーで情念のこもった、それでいて独特の響きを持った和音の重なり。アブストラクトに傾きながらも、ギリギリのところで維持する印象的な旋律の調べ。
 
この『Money Jungle』というアルバム、僕がジャズ者初心者の頃、初心者向けのアルバムとして紹介されていたので、結構早い時期に手に入れたのだが、聴けば聴くほど、良く判らない、難物なアルバムだったことを思い出す。何十回と聴けば判るだろうと思って「一日一針」を続けたのだが、さっぱり判らない。30回ほど聴いて、投げ出したのを思い出す。
 
そして、それから20年ほど経って、ジャズ者中級者程度の経験を積んで、再度、この『Money Jungle』にチャレンジして、なんとなく感じたのは、このエリントンのピアノは、彼のビッグバンド・ミュージックの骨格だけを骨組みだけを取り出して、ピアノに置き換えたものじゃないのかなあ、ということ。
 
エリントンは、オーケストラの演奏のイメージをピアノ一台で表現し、このピアノ一台の旋律を通して、エリントンのイメージするビッグバンドの音をイメージすることが出来るのではないかと。それには、ミンガスのベースもローチのドラムも必要不可欠で、このエリントンのピアノ・トリオが、エリントン・ミュージックの最低構成単位なんだ、となんとなく感じる。
 
エリントンのパーカッシブで不協和音を駆使した、アブストラクトなピアノ・タッチは、セロニアス・モンクも真っ青。セロニアス・モンクやセシル・テイラーなどにも影響を与えたというが至極納得。
 
異色のピアノ・トリオではありますが、かのジャズ界最大の巨匠デューク・エリントンの希少なピアノ・トリオ盤です。ジャズ者としては絶対にどこかで聴くべきアルバムではあると思います。ただ、ジャズ者初心者の方々にはちょっと重荷かと。セロニアス・モンクやセシル・テイラーを聴きこなすことができるようになってからでも遅くは無いと思います。ジャズ者中級者向けでしょうか。
 
 
 
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