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2010年12月23日 (木曜日)

気軽に気楽に聴けるジャズ

ジャズの聴き方には色々ある。スピーカーに面と向かって対峙して、真剣に耳を傾ける聴き方もあるし、本などを読みながら、ちょっとした家事をこなしながらの「ながら聴き」もある。最近では、iPodを活用し、インナーイヤー型ヘッドホンを活用して、電車の中でのジャズ鑑賞も可能になった。

ジャズのアルバムにも色々ある。しっかりと真剣に耳を傾けないといけない盤もあれば、ひょいと気軽に気楽に聴ける盤もある。演奏形態とかミュージシャンによって分けられるとかいう単純なものではなさそうで、どうもそれぞれの盤が持つ演奏の雰囲気が決め手となるみたいだ。

若手気鋭のテナー奏者Joshua Redman(ジョシュア・レッドマン)の『Wish』(写真左)というアルバムがある。1993年のリリース。若手気鋭のテナー奏者ジョシュアのアルバムである。純ジャズを追求した、さぞかしストイックでハードな内容なんだろうと構えてしまう。

何せ1曲目が、フリー・ジャズの創始者オーネット・コールマン作の「Turnaround」から始まる。それだけでも「構える」。パーソネルを見渡すと、Joshua Redman (ts), Charlie Haden (b), Billy Higgins (ds), Pat Metheny (g)。そうそうたるメンバーでは無いか。ヘイデン、ヒギンス、メセニーのリズムセクションが凄い。しかも「ピアノレス」である。メンバー構成を見ても「構える」。

で、聴いてみてどうか、というと、これが「聴き易い」。冒頭の「Turnaround」なぞ、オーネットの作なので、なんでいきなり1曲目にフリー・ジャズなハードな演奏を持ってくるかなあ、と沈鬱な思いで、CDのスタートボタンを押すと「あらまあ」(笑)。ジョシュアのテナーとメセニーのギターのユニゾンが躍動感を持ってスピーカーから飛び出してきて、これが中々印象的なフレーズを奏でていて、とっても聴き易い、躍動感のある名演になっている。

この「聴き易く、躍動感のある」演奏がアルバム全体に散りばめられている。結構、ストレート・アヘッドなジャズ演奏を繰り広げているんですが、この独特の「緩さ」というか「ラフさ」というか「気軽さ」はどこから来るのか。
 
 
Joshua_redman_wish
 
 
これ、きっと、ドラムのヒギンスにあると思うんですよね。ヒギンスのドラミングって、どこか「緩い」というか、どこか「すこんすこん」している。これがヒギンスのドラミングの魅力なんですが、これが良い意味での「緩さ」をこのアルバムに与えているように思う。

その「緩さ」をしっかりとヒギンス自身が「ズドン」というリズムのアクセントでグッと締め、加えて、ヘイデンのベースが演奏全体のビートをビシッと決める。このヒギンスとヘイデンのリズム・セクションがあればこそ、ジョシュアとメセニーがフロントを張って、インプロビゼーションに専念出来るってものだ。

そうそう主役のジョシュアのテナーは良い音出してます。若手気鋭のテナー奏者って、猫も杓子もコルトレーン風に吹きまくる人が多いのですが、このアルバムでのジョシュアは違います。気持ち良く唄う様に、歩きながらの鼻歌の様に、本当に気持ち良い音で、適度にテンションを張り、適度にリラックスした、聴き心地の良いブロウを繰り広げています。

そして、やはりパット・メセニーのギターは素晴らしいですね。メセニーはバックに回っても素晴らしいギターを聴かせてくれます。これだけ個性の強い音を出すギタリストだと、フロント楽器のバッキングは、なかなか辛いのでは、と思うのですが、流石にメセニーは違う。自らの個性の強いギターの音を活かして、フロントの演奏、ジョシュアのテナーをグッと惹き立てる。確かにバックでメセニーが弾いていることは判るのだが、決してジョシュアのテナーの邪魔はしない。ジョシュアが一人で吹いている時よりも、ジョシュアのテナーが惹き立っている。

良いアルバムです。僕にとって、気軽に気楽に聴けるジャズ盤の一枚です。1〜8曲目まではスタジオ録音で、落ち着いた演奏になっていますが、9〜10曲目はライブ録音で、熱気溢れる臨場感のある演奏になっています。この対比もなかなかの聴きどころ。僕にとってのヘビーローテーションな一枚です。
 
 
 
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