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2010年12月 2日 (木曜日)

さすが、アカデミックなMJQ

MJQと言えば、ジャズ者ベテランは「Modern Jazz Quartet」。それよりちょっと若いジャズ者ベテランは「Manhattan Jazz Quartet」(笑)。紛らわしいが、やはりジャズ界の中で、MJQと言えば「Modern Jazz Quartet」と断言して良いだろう。
 
「Modern Jazz Quartet」。Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)の4人構成。スタート当時は、ドラムスが、Kenny Clarke だった。でも、MJQといえば、ドラムスは、Kenny Clarkeでは無く、Connie Kay でなければならない、と僕は思っている。

ルイスは、クラシックとジャズとの融合させること、ジャズで最先端のフリー・ジャズを正当に評価して自らの音として取り入れること、ブルースをクールに編曲し、ファンキー色を出来る限り押さえた、端正なブルースを特徴とした。このルイスの趣味に則って、ソロだと限りなくファンキーなヴァイヴのミルトが、襟元正したように、端正に格調高く追従する。

つまりは、MJQの音楽は、ファンキーな、大衆音楽としてのジャズというよりは、ジャズをアーティステックなものとして敬愛し、そのアーティステックなジャズの感覚をベースとして、最先端のジャズにチャレンジしつつ、ファンキー色を出来る限り押さえた、端正なブルースを特徴とした、純ジャズな演奏を得意とする、類い希なテクニックを持つカルテットでった。

その象徴的なアルバムが1962年にリリースされた『Lonely Woman(淋しい女)』(写真左)。表題曲は、リリース当時、フリー・ジャズの寵児と、もてはやされたオーネット・コールマンの代表曲である。当時、まだ賛否両論だったフリー・ジャズの寵児オーネット・コールマンの代表曲を採用するMJQは凄い。さすが、アカデミックなMJQ。

まあ、でも今の耳で聴くと、当時のオーネット・コールマンの演奏は「フリー・ジャズ」では無い。コード展開が既成概念に無く、ソロのフレーズがイレギュラーなだけで、決して。フリー・ジャズでは無い。どころか、これって普通の尖った純ジャズでしょう。当時、何がもてはやされたのかが判らない。

Mjq_lonelywoman

この『Lonely Woman(淋しい女)』での表題曲は、アルバムの冒頭に座っているんだけど、演奏の内容としては、MJQがフリー・ジャズをやっている訳では無く、オーネット・コールマンの既成概念に無いコード展開とイレギュラーなソロ・フレーズを拝借して、純ジャズなグループ・サウンドとして編曲した感じの演奏なので、決してフリーキーではありません。でも、音の響きは独特のものがあり、クールさとアカデミックさが際立ち、ファンキーなノリは全く無く、端正な、一種クラシカルな演奏に仕立て上げられています。
 
この冒頭の「淋しい女」は、確かに先進的な響きを宿した演奏なので、取っつき難い。でも、明らかに純ジャズな、ハードバップ的な演奏なので、フリー・ジャズの様に、人によってですが、拒絶されるような要素は全くありません。逆に、オーネット・コールマンの既成概念に無いコード展開とイレギュラーなソロ・フレーズを、よくまあこれだけ上手く取り入れて、純ジャズな演奏に編曲したものだなあ、と感心しています。
 
冒頭の演奏が先進的な「淋しい女」というプログレッシブなジャズ演奏なので、ちょっと引き気味になるかもしれませんが、2曲目以降の演奏は、それはそれは素晴らしい。室内楽的純ジャズを得意とするMJQらしい、小粋でシンプルなハードバップな演奏が目白押し。特に1曲目がプログレッシブな演奏なだけに、2曲目以降のシンプルなハードバップな演奏が自然と心に響く、という副次的な効果を生み出しているのが面白い。
 
もともとMJQという室内楽的純ジャズ・カルテットは、ミッドテンポからスローテンポな演奏に、その才能をより一層発揮するタイプなのですが、7曲目の「Lamb, Leopard」など、スローテンポのブルースなんでしが、そのシンプルさ、その端正さ、その先進性は特筆すべきものがあります。
 
特に、このアルバムでは、ドラムのコニー・ケイが好調。もともと端正なドラミングがモットーのコニー・ケイが、チンチン、シャカシャカ、チャカポコ、カンコーン、ドスンと上品かつ優雅に叩きまくっています。それにつられて、いつになく、ベースのパーシー・ヒースもブンブン、ビンビンやってます。これだけ熱く好調に走りまくる、MJQのリズムセクションも珍しい。
  
バックのリズム・セクションが好調な時にMJQは真価を発揮します。この『Lonely Woman(淋しい女)』は一聴の価値ありです。冒頭の表題曲で、MJQの先進性を感じ、2曲目以降の楽曲で、MJQの優秀性を感じる。意外とこのアルバムは「買い」だと思います。アルバム・ジャケットの女の写真には、昔から「ドン引き」ではありますが(笑)・・・。
 
 
 
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