The Beatles『青盤』リマスター
ビートルズファンのみならず、音楽ファン、洋楽ファンの方々でしたら、ビートルズの解散後、1973年にリリースされた伝説のベスト盤『赤盤』と『青盤』が再リマスターして再発されたことは、既にご存じかと思います。
ちょっとだけ、今回再発の背景をお話ししますと、先月にリリースされたのは、今回改めて、再リマスターされた、ビートルズのベスト盤である『ザ・ビートルズ1962-1966 (赤盤)』と『ザ・ビートルズ1967-1970(青盤)』。再リマスターと言えば、昨年、ビートルズのオリジナル・アルバムの再リマスター及びステレ再発、そして、ステレオBox、モノBoxのリリースは記憶に新しいところです
『赤盤』と『青盤』のリマスターは、ビートルズのオリジナル・アルバムのリマスターも手掛けた、EMIアビイロード・スタジオの専任エンジニア・チームによって行われています。昨年、オリジナル・アルバムの再リマスター再発があったんですが、『赤盤』『青盤』は同時にはリリースされませんでした。『赤盤』『青盤』はどうした、と思っていたんですが、なかなか、この『赤盤』『青盤』の再リマスターは難物だったようです。
『赤盤』と『青盤』もベスト盤なんで、シングルやオリジナル・アルバムから曲を寄せ集めてくる訳ですが、当然、統一感のあるミックス&リマスターは施されていない。曲毎のオリジナル音源については、それぞれ雰囲気も違えば、音の響きも違う。ベスト盤としての統一感を出すために、ベスト盤としてのリマスターを施す必要がある。しかも、オリジナル音源の「音の基本」を損なうことなく・・・。難物です。
しかも、この『赤盤』『青盤』は、全世界で売れに売れたベスト盤で、このアルバムに特別な思い入れを持つファンも多く、このアルバムでビートルズに親しんだファンも多い。というか、全世界レベルでみると相当数がいる。そのファンの多くは、この『赤盤』『青盤』のアナログ盤、つまりLPを聴いていた訳で、LP時代の音を響きをCDに求めることになる。これがまた難物です。
確かに、この『赤盤』『青盤』の初CD化の時、即購入し即聴きましたが、その音の「スカスカ感」と「デジタル臭さ」にガッカリし、完全にお蔵入りしました。当時の機材からすると、今の耳で聴けば、最高のリマスターを施されていることが理解出来ますが、発売当時は、とにかくガッカリ。
以来、『赤盤』『青盤』はLPのお世話に。しかし、LPを大量に手放すことになり、この『赤盤』『青盤』のLPも泣く泣く手放しました(結構な値がつきましたが)。以来7年ほど、『赤盤』『青盤』の音とは御無沙汰でした。
そんなこんなの難儀な諸事情により、EMIアビイロード・スタジオの専任エンジニア・チームも、おいそれ、ベスト盤なんで、とりあえず適当に再リマスターしましたよ、という訳にいかず、オリジナルのアナログ録音に、より近い音を再現すべく、かなりの時間をかけて、再リマスター作業が行われたとのことです。
で、その内容ですが、まずは『青盤』ですが、これが素晴らしい音に仕上がっています。LP時代の音に最も忠実に再現されたサウンドに仕上がっていると思います。まず既発のCDで感じた「スカスカ感」が全く無い。楽器の音と音との間にも、楽器同士の音の干渉や響き、スタジオの響きなど、音が詰まっている、というか、音が敷き詰められているという感じで、この感じって、LP時代のアナログ音源の感じです。
そのLP時代のアナログ音源の感じ、音がしっかりと詰まっている、敷き詰められている中で、それぞれの楽器、ボーカルの分離が、自然な感じで分離されていて良い感じです。「デジタル臭さ」がほとんど払拭されているのには驚きました。最新の機材と優れた才能を持ってすれば、ここまでCDのリマスターが出来るんですね。感心しました。恐らく、CDのフォーマットではこれが最高でこれが最後では無いかと思います。
今回の再リマスター再発によって、やっとまずは『青盤』がCDで聴ける環境になりました。特に冒頭の、私の一番好きなビートルズの曲「Strawberry Fields Forever」のアナログ感は実に素晴らしい。弦のブルブルするような響き、リンゴのスネアの弾けて粘るような響き、ポールのベースラインも克明に聴こえます。この1曲だけでも、今回の『青盤』再リマスターは「買い」ですね。
『ザ・ビートルズ1967-1970(青盤)』は確かにベスト盤ではありますが、選曲の妙、そして、今回のリマスターと相まって、一つのオリジナル作品として評価出来る逸品です。今なおLPでお世話になっている方も、まだ『青盤』を全く聴いたことが無い方も、今回の『青盤』はお勧めです。
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