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2010年11月16日 (火曜日)

これは絶対に「名盤」である。

このアルバムは初めて聴いた時から、絶対に「名盤」だと思っている。ジャズ者初心者、まだジャズを聴き始めて3ヶ月くらいで、このアルバムを手に入れた。ソニー・ロリンズの『Saxophone Colossus』(写真左)。片仮名表記で「サキソフォン・コロッサス」、略称「サキコロ」である。
 
ジャズ者初心者駆け出しの頃、ジャズ・テナー奏者で真っ先に覚えたミュージシャンの名前が、ソニー・ロリンズだった。そして、ジャズ・アルバム紹介本では、この「サキコロ」が絶対的名盤と書かれていた。このアルバム・ジャケットのデザインにも惹かれた。廉価盤ではない、正式盤を購入した。LPの盤が廉価盤に比べて分厚く、良い音がした。
 
このアルバムはプレスティッジ・レーベルからのリリース。このアルバムのセッションも、プレスティッジお得意の、ほとんどリハーサル無しのジャム・セッション風録音の一発勝負。それが良く判るのが、冒頭のロリンズオリジナル、カリプソの名曲「St. Thomas(セント・トーマス)」。
 
印象的なカリプソチックなテーマの後、ロリンズが一番手としてソロを取るが、アドリブのフレーズを絞り出すように、アドリブのフレーズを吹き出すタイミングを計るように、ブホブホブホとテナーを続け様に鳴らす。
 
何時出るのか、何時出るのか、と待っていたら、いきなりブワーッとロリンズのアドリブが堰を切ったように流れ出てくる。これって、リハーサルを積んでいたら、もっとスムーズに出るはず。リハーサル無しの一発勝負ならではの緊張感を強く感じる。
 
このロリンズのアドリブソロのフレーズを絞り出すような感じは、このアルバムに収録された全ての演奏について言える。グッとこらえて、ジッとイマジネーションが高まるのを待ち、閃いた瞬間にブワーッと吹きまくる。そして、このアルバムでのロリンズのアドリブソロは、どれもが素晴らしいものばかり。まず、このアルバムを「名盤」たらしめているのは、ロリンズのアドリブソロの素晴らしさである。

Sonny_saxcolo
 
そして、このアルバムでも、ロリンズは共演のサイドメンのアドリブソロにまとまった時間を与えている。本当にロリンズって律儀である。特に、先輩格のドラムのマックス・ローチには、かなりふんだんにソロのパートを与えている。そして、ローチは、お得意の「ビ・バップ」なドラミングをふんだんに披露するのだが、これが実にモダンなドラミングなのだ。
 
単純なビートを叩き出すだけの「ビ・バップ」なドラミングではない。「ビ・バップ」なドラミングの語法をベースにしながら、様々なテクニックで変化をつけていく。ローチって、こんなにモダンなドラムを叩いたっけ。そして、フロントのロリンズのテナーとのタイミングもバッチリ。第2に、このアルバムを「名盤」たらしめているのは、ローチのドラミングの素晴らしさである。
 
さらに、ピアノのトミー・フラナガンが絶妙な「伴奏の妙」を聴かせる。バップ的なソロもさることながら、スローなバラードでの、まさに歌伴のような洒脱なフラナガンのピアノは絶妙である。歌うように吹き上げるロリンズのテナー、そのバックで、時に目立たないようにキーを供給し、ソロ・パートでは洒脱なバップ・ピアノを聴かせてくれる。第3に、このアルバムを「名盤」たらしめているのは、フラナガンの洒脱で機微を心得たピアノの素晴らしさである。
 
そして、忘れてはいけない、ベースのダグ・ワトキンス。とにかく太くて粘りがあり、それでいて柔軟なワトキンスのベース。そのワトキンスのベースの名演はラストの「Blue 7」でふんだんに聴くことができる。揺らぎのない、確信に満ちた、野太いビート。このワトキンスのベースがあればこそ、他のメンバーは心おきなくアドリブソロを繰り広げることが出来る。最後に、このアルバムを「名盤」たらしめているのは、ワトキンスのベースの素晴らしさである。
 
この『サキコロ』については、ほとんどリハーサル無しの一発勝負でありながら、ロリンズのテナーの素晴らしさのみならず、共演してメンバーそれぞれが、それぞれの最高レベルのアドリブソロを繰り広げているところに、ジャズ界の永遠の「名盤」と呼ばれる所以がある。このアルバムには、ジャズの醍醐味がぎっしりと詰まっている。
 
最後にこのアルバムのパーソネルを挙げておく。Sonny Rollins (ts) Tommy Flanagan (p) Doug Watkins (b) Max Roach (ds)。ちなみに、この録音は、HackensackのRudy Van Gelder Studioでの収録。今から54年前。1956年6月22日の出来事である。 
 
 
 
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