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2010年11月 8日 (月曜日)

晩秋のヘビーローテーション

不思議とジャズは、四季折々、それぞれの季節にあったアルバムってものがある。それって僕だけかなあ。でも、ジャズを聴き始めてから30余年、振り返れば、それぞれの季節で、ヘビーローテーションになるアルバムが多々あるんですよね、これが・・・。
 
今日、ご紹介するアルバムも、ここ2〜3年、この晩秋から冬にかけて、ヘビーローテーションになるアルバムである。そのアルバムとは、西山瞳の『Cubium(キュービウム)』(写真左)。
 
ジャンル分けはあまり好きではないが、敢えて判り易く言うと、西山瞳は、ヨーロピアン・ジャズ・ピアノの範疇に位置づけられる若手ピアニストになる。彼女のピアノの響きは、ヨーロピアン・ジャズ・ピアノのそれ。決してファンキーではなく、決してブルージーでもない、クラシック・ピアノの様な豊かな響き。和声的処理に優れ、テクニックも確かながら、より「響き」を聴かせる、雰囲気型のジャズ・ピアノである。
 
自分の印象としては、ヨーロッパ系のジャズ・ピアニストよりも陰翳が淡いというか、ヨーロッパ系のジャズ・ピアニストの「響き」が油絵の印象画的な色合いの淡さ、パステル画的な色合いの淡さとすると、西山瞳のピアノの「響き」は、水彩画的な色合いの淡さ、というか、水墨画的な色合いの淡さだと感じている。これって、僕は実に日本人的な色合いの淡さだと感じているのだが、いかがだろうか。
 
この西山瞳の『Cubium(キュービウム)』でのピアノの音は、正に水墨画的な色合いの淡さが実に素敵である。決して力業に頼らず、アルバム全編に渡って、沈着冷静に、それでいてシッカリとしたテンションを張りながら、「響き」の良いジャズ・ピアノを聴かせてくれる。このアルバムの「響き」が実に良い。自分でもクラシック・ピアノを弾いていたので実感できるんだが、これだけ淡い陰翳豊かな「響き」はなかなか出せない。
 
自作曲もさることながら、スタンダードの2曲「All Of You」「All The Things You Are」が絶品である。スタンダードの解釈がそのアーティストの個性と力量を表すというが、この2曲の演奏には、西山瞳の個性と優れたアレンジの才が溢れている。心地良い、素晴らしい「響き」である。
 
Hnishiyama_cubium
 
一説にはタッチの弱さが弱点とされるが、僕はそうは思わない。この個性的な響きは大切にすべきだ。女性ピアニストならではの、繊細で豊かな「響き」である。当然、力業では男性ピアニストには敵わない。女性ピアニストには女性ならではの「利点」があると僕は思っている。この西山瞳の『Cubium(キュービウム)』を聴いていてそう思う。
 
逆に、タッチをむやみに強くして、「響き」の陰翳を濃くするとか、メリハリをつけるなんてことは考えないで欲しいと思う。このアルバムの水墨画的な色合いの淡さが実に素敵なのだ。この色合いの淡さはなかなか出せるものではない。この色合いの淡さを活かすべく、アレンジの才を発揮して欲しいと切に思う。まあ、最新作である『Parallax』では、その路線で進みつつあり、その出来も安心できるもので、まあ、あんまり心配は要らないとは思っていますが・・・。
 
この水墨画的な色合いの淡さが実に素敵な、西山瞳の『Cubium(キュービウム)』。このところの晩秋の季節にピッタリです。晴れた晩秋の昼下がり、人気の少ない部屋で、一人でひっそりと聴くのに「ピッタリ」。本でも読みながら、ゆったりとした晩秋の昼下がりを楽しむBGMとして「ピッタリ」。ほんのり暖かな日差しが射し込む、冬の昼下がりにも「ピッタリ」。晩秋から冬にかけてのヘビーローテーションになる、実に魅力的な「響き」を持ったアルバムです。
 
そう言えば、西山瞳さんのアルバムって、実はこのバーチャル音楽喫茶『松和』では良く採り上げているんですよね。
 
2008年4月21日のブログ : 『Many Seasons』
2009年5月6日のブログ : 『In Stockholm』
2010年8月9日のブログ : 『Parallax』
 
以上の日付のブログで、それぞれ西山瞳のアルバムをご紹介しています。日付をクリックして、よろしかったら、こちらもどうぞ。 
  
  
  
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