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2010年11月11日 (木曜日)

CTIのフレディー・ハバード

昨日、CTIレーベルのお話しをしたが、CTIレーベルと言えば、フュージョン時代の雄。フュージョン・ジャズの総本山みたいなレーベルなんだが、お抱えのミュージシャンには、古くハードバップ時代から活躍した純ジャズ系のミュージシャンが沢山いた。
 
そんなハードバップの洗礼を受けた、当時ベテラン純ジャズ・ミュージシャンが、8ビートに乗った、電気楽器中心のデジタルチックなフュージョン・ジャズを演奏するはずがない(笑)。フュージョン・ジャズの総本山、CTIレーベルのアルバムの中には、意外とストレート・アヘッドな純ジャズ系の魅力的なアルバムが多々ある。
 
CTIレーベルのストレート・アヘッドな純ジャズ系のアルバムと言われて、なぜか真っ先に浮かぶのが、Freddie Hubbard(フレディー・ハバード)の『Red Clay』(写真左)。1970年1月の録音。当時はまだフュージョンというジャンル言葉は無く、クロスオーバー・ジャズなんてジャンル言葉が出だした頃。
 
ちなみにパーソネルは、 Freddie Hubbard (tp) Joe Henderson (ts) Herbie Hancock (el-p,org) Ron Carter (b,el-b) Lenny White (ds) 。なんだなんだ、ドラムのレニー・ホワイト以外は、バリバリのハード・バッパーからモーダルな新主流派の面々ではないか。このメンバーで、ロック・ビートを踏襲した、当時最先端の「クロスオーバー・ジャズ」を演るはずがない(笑)。
 
1曲目のタイトル曲「Red Clay」を聴けば、その見通しが正しいことが判る。この演奏は決して、クロスオーバー・ジャズでは無い。完璧なまでのハードバップ・ジャズである。ハービー・ハンコックのエレピが入っているので、クロスオーバー・ジャズじゃないの、と思うんだが、バックのリズム&ビートが、完璧にハードバップである。
 
でも、さすがは、ひと癖もふた癖もあるメンバーが揃っての演奏である。そのバックのリズム&ビートが、確かにハードバップではあるんだが、響きがとても新しい。エレクトリック・マイルスのポリリズムを模してるようにも聴こえるが、この「Red Clay」に圧倒的に漂うファンキーさが、下世話ではあるんだが、この演奏メンバーの底には、シッカリとハードバップが息づいていることを教えてくれる。

Red_clay
 
1970年当時、響きは新しいが、基本的にはファンキー&ハードバップなジャズである。フロントのペットのハバードとテナーのジョーヘンは生き生きとして演奏している。とにかく、この2人は、このアルバム全編に渡って、ハバードはペットを。ジョーヘンはテナーをブルブルと震わすように、心ゆくまで楽器を唄わせている。ハバードもジョーヘンも全編に渡って絶好調である。
 
逆に、1970年当時のハービーはエレピに苦戦中。この頃のハービーは、エレピをアコピに様に弾くことは出来ても、エレピ独特の奏法と音の響きを獲得するには至っていない。とにかく苦戦しながら、なんとか形になるように、なんとか個性が出るように、一生懸命、インプロしている。しかし、聴き方を変えると、ハードバップなアコピをエレピに置き換えて弾いているだけである。そう考え直して聴き直せば、その演奏ラインは天下一品、ハービーの個性満載である。
 
ベースのロンに至っては、マイルスの下でエレベが弾きたくない、というのが理由で退団に至ったということなんだが、このアルバムの3曲目「Suite Sioux」ではエレベを弾いている。苦戦していることは、この曲のロンのベースラインを聴けば良く判る。ちなみに、アコースティック・ベースのベースラインも、エレベの苦戦に引きずられて、ちょっと混迷している。それでも、しっかりとビートの底を支えているのは、このアルバムの演奏の基本が、自家薬籠中にあるハードバップにあるからだと僕は思う。
 
ドラムのレニー・ホワイトだけが、着々とハードバップでは無い、新しいビートを叩きだしている。簡単に言うと、レニー・ホワイトのドラムだけが浮いている。でも、その浮いたレニーのドラミングが、全体的にハードバップな雰囲気の演奏の中に、ポッカリと浮かび出ていて、それが、このアルバムの「新しい響き」に繋がっているのだ。
 
今の耳で聴くと、このハバードの『Red Clay』は、1970年代のハードバップな演奏のスタンダードとして、時代を先取りしている。こんなアルバムがころがっているので、CTIレーベルは面白い。総帥のクリード・テイラーも、何もイージーリスニング・ジャズだけをプロデュースしていた訳ではない。しっかりと、1970年代のハードバップをもプロデュースしていたのである。僕たちは、もっともっと、このCTIレーベルを再評価すべきである。このハバードの『Red Clay』を聴いていて、強く思いました。
 
 
 
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