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2010年10月23日 (土曜日)

一番聴いたチックのアルバム

Return to Forever『Returns』を聴いてから、チック・ブームである。もともと、チック・マニアなので、一旦ブーム再燃となると、しばらくそのブームは続く。それでは、チックのアルバムの中で、今まで一番多い回数を聴いたアルバムはどれか、となると、恐らく『Friends』(写真左)ではないかと思われる。

Chick Corea『Friends』。1978年の録音。ちなみにパーソネルは、Joe Farrell (reeds, fl), Chick Corea (p, key), Eddie Gomez (b), Steve Gadd (ds,per)。このパーソネルを見ると、この『Friends』というアルバム、バリバリのフュージョンだろうと想像する方々の方が多いんじゃないか。

しかし、このアルバムは、メインストリーム・ジャズ。純ジャズのアルバムである。純ジャズとは言え、フュージョンライクな「ライト感覚」がアルバム全体のトーンとなっており、1970年代後半、フュージョン全盛のピークを越えた辺り、アコースティック・ジャズ回帰、純ジャズ回帰の動きを、時季を読むに長けたチックがキャッチして作成したアルバムだと解釈している。

まず、リズム・セクション、ベースのゴメスとドラムスのガッドが素晴らしい。ゴメスのアタッチメントで増幅された生ベース音が実に心地良い。アタッチメントで電気的に増幅された生ベース音は、あんまり良い音の効果を生まない例が多いが、ここでのゴメスは違う。ゴメス特有のエッジの立った流れるようなベースラインが、タイトに締まった、電気的に増幅された音で「クッキリ」と浮かび出る。ゴメスのベースはピッチが合っていて、しっかりとタイトに締まったベースなので、聴いていてとても気持ちが良い。

このアルバムのガッドは、1970年代のガッドの最高のドラミングではないか、と思う。フュージョン・ジャズが生んだ、縦ノリのビート。ジャズ・ドラミングのイノベーターの一人、スティーブ・ガッドの最高のパフォーマンスがこのアルバムで聴ける。緩急自在、硬軟自在、変幻自在なドラミング。チックのピアノに絡みながら、機微に富んだビートの供給は凄まじいばかり。1970年代のガッドのベスト・パフォーマンスのひとつに挙げて良い、凄いドラミングにウットリする。

Ccorea_friends

そして、サックス&フルートのジョー・ファレルの出来がとても良い。ジョー・ファレルは、初代Return to Foreverの初代メンバーであり、Return to Foreverのデビュー作では素晴らしいサックス・プレイを聴かせてくれる。しかし、この『Friends』でのファレルのサックスは更に素晴らしい。Return to Forever時代よりも余裕を持った、幅の広いプレイを聴かせてくれる。そして、なによりフルートの出来が抜群。2曲目の「 Waltse For Dave」、5曲目の「Friends」のフルート・プレイは絶品である(ちなみに、ファレルは、遠く1986年に癌の為に鬼籍に入っている。既にこの世にはいない)。

そして、リーダーのチックのキーボード・プレイについては、全く申し分無い。エレピもアコピも、このアルバムでは全く申し分無い。チックの個性を存分に発揮して、「ライト感覚」な純ジャズを基本とした、非常に端正でアーティスティックなフレーズを連発する。出だし1曲目の「The One Step」のエレピのパフォーマンスは素晴らしいの一言。余裕のある、リラックスしたフレーズを繰り出しつつ、エレピの音を知り尽くした、素晴らしい音色のパフォーマンスは心地良い。4曲目の人気曲「Samba Song」でのチックのパフォーマンスは素晴らしいの一言。ベストプレイに近い、凄まじきアドリブ・フレーズの連発。

この『Friends』は、それぞれのプレイを尊重しながら、それぞれの個性を発揮したパフォーマンスを適度に発揮して、まずまずの出来に納める、という単なる一期一会セッション的なアルバムでは無い。確かに、演奏の切っ掛けは一期一会セッション風ではあるが、お互いにかなり相性が良かったのだろう、アルバム全体の演奏レベルは濃密で緻密、そして、レギュラー・グループと言って良い位の、効果的な相互連携を感じさせてくれる、それはそれは素晴らしいものだ。

ちなみに、アルバム・ジャケットは2種類ある。左は日本での初回発売時の日本独自仕様。右はオリジナル。この差異は、米国で発売時、オリジナルの「スマーフ君人形」の無断使用が起こしたトラブルである。ちなみに、僕は左の日本独自仕様に限りない馴染みがある。なんせLP時代、初回発売時のLPを聴きまくったクチである。
 
 
 
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