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2010年10月26日 (火曜日)

バドの真価はソロでこそ・・・

これだけ天候が不順だと気分が滅入る。「秋晴れ」という言葉は、今年の秋には無縁なもの。これだけ天気の悪い秋も記憶にないくらい久しぶり。気分が滅入ると、なんだか心がシャキッとしなくなる。心の滞りは万病の元(誰がそんなこと言ったんか・笑)。心をシャキッさせる必要がある。心がシャキッとする刺激。ジャズに無いか?
 
あるある(笑)。そんな時は、バド・パウエル(Bud Powell)である。鬼気迫る、ストイックに叩きつけるような、激しいピアノ・タッチ。有無も言わせず、テクニックを追求し、他が追従できない唯一無二なフレーズを叩き付ける。心をシャキッとさせたい時は、バドのピアノに限る。そして、心をシャキッとさせるついでに、ビ・バップの真髄を感じて、ジャズの基本を再確認したりするのだ。
 
今日、選んだバドのアルバムは『Genius of Bud Powell』(写真左)。パウエルのキャリアの初期(1950-51年)に行なわれた2回のセッションを1枚にまとめたもの。Verve時代のバドのアルバムは、どういう編集方針なんだか良く判らない、有り体に言うと、プロデューサーの見識を疑いたくなるアルバムが多い。しかし、それだからこそ、バドの天才を心ゆくまで感じることが出来る「棚からぼた餅」的なアルバムも多々あるのが、Verve時代のバドのアルバムの特徴。
 
その最右翼が『Genius of Bud Powell』。オープニング・セッション「Tea For Two」3連発、そして「Hallelujah」では、ベースのレイ・ブラウンとドラムのバディ・リッチが大奮闘しているが、ほとんど聴こえてこない。バドの鬼気迫る、没頭して弾き込むバドのピアノが凄まじい。そして、残りの曲は伴奏無し。バドのソロである。最初のトリオ演奏も、ベースとドラムがほとんど聴こえないので、このアルバムは、バドのソロ・パフォーマンスと解釈しても良いかと思う。

The_genius_bud
 
で、5曲目「Parisian Thoroughfare」以降のこのソロが曲者である。バドの真価はソロでこそ発揮される。限りなく暴力的なタッチ。思わず仰け反るような音圧。その凄まじい迫力に圧倒される。弾き倒す。叩き倒す。人に聴かせようとする甘さなど微塵もない。自らとだけの戦いの様に、絞り出すような天才的なフレーズはストイックこの上無し。
 
自らが自らの才能の限界にチャレンジし、何度も何度もチャレンジし、何度チャレンジしても納得しない、納得出来ない。自ら課した限界が、実は神の領域に入っていることも知らずに、永遠にチャレンジし続ける様な、バドのソロ。凄いテンション。鬼気迫る、ストイックに叩きつけるような、激しいピアノ・タッチ。
 
しかし、これだけピアノを叩くことの出来る、これだけピアノをハイテンションに歌わせることの出来るジャズ・ピアニストは、後にも先にもバド・パウエルだけである。 
 
絶頂期のバドの演奏が聴ける名盤である。人に聴かせるエンタテインメントとしてのジャズの対極にある、テクニック追求型のストイックで芸人的なジャズがここにある。現代ジャズの源である「ビ・バップ」がここにある。

このテクニック追求型の「ビ・バップ」を経験せずして、ジャズの楽しみは半減する。テクニックがあってこそ、人に聴かせるエンタテインメント型のジャズがある。ジャズ者である限り、バドは決して避けて通れない。 
 
 
 
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