Return to Forever『Returns』
ギターのアル・ディ・メオラは1954年生まれ、今年56歳。ドラムのレニー・ホワイトは1949年生まれ、今年61歳。ベースのスタンリー・クラークは1951年生まれ、今年59歳。そして、キーボード&リーダーのチック・コリア(Chick Corea)は1941年生まれ、今年69歳。
伝説のフュージョン・ジャズ・グループ「リターン・トゥ・フォーエバー(Return to Forever)」の第3期のメンバーである。フュージョン・グループとしての「RTF」としては、この第3期メンバーがベスト。当時、RTF加入当時弱冠二十歳だった、若手天才ギタリストとして名を馳せたアル・ディ・メオラをして、今年56歳。他のメンバーは、ほぼ60歳を越える。まあ、チックが今年69歳なんで、今年で平均年齢61.25歳。
この第3期RTFが、2008年、30余年ぶりに奇跡の再結成を果たした。何度も確認するが、今年で平均年齢61.25歳。2008年当時で、平均年齢59.25歳。これはもう日本で言うと、完璧な「還暦バンド」である(笑)。「還暦バンド」なんだから、演奏の内容はあまり期待できない、懐メロ同窓会的な再結成をイメージしてしまうのだが・・・。
Return to Foreverの『Returns』(写真左)を聴いて、単純に「たまげた」。凄まじいハイ・テクニック、歌心溢れるインプロ、めくるめくインタープレイ。単なる懐メロ同窓会ではない。平均年齢が「ほぼ還暦」とは思えない迫力。参りました。とにかく凄い。4人の演奏で、この分厚いアンサンブル&ハーモニーは「なんなんだ」。超重力級のフュージョン・ジャズ。これだけの重量級のパフォーマンスを発揮できるバンドが現代にどれだけあるんだろうか。
オープニングの後の「第7銀河の讃歌」だけで、個人的には「参りました」(笑)。オリジナルはギターがビル・コナーズだったから、ちょっと「もどかしかった」んだが、ディ・メオラの超絶技巧、神懸かりなギターでの「第7銀河の讃歌」は凄い迫力。この迫力は尋常では無い。
超弩級の迫力。クラークのエレベもブンブン唸り、レニーのドラムは歌うように叩きまくり。そして、その超弩級のディ・メオラのギターに絡むチックのキーボード。特にチックのシンセの扱いが素晴らしい。ディ・メオラ、心置きなく「弾きまくり」。以降、この分厚い演奏がCD2枚分、てんこ盛りである。
この奇跡の再結成Return to Foreverの『Returns』はCD2枚組であるが、オリジナルReturn to Foreverの名曲、人気曲がガンガンにリメイクされていて、その内容たるや素晴らしい限り。ただ、プロデュース的に理解に苦しむのだが、メンバーそれぞれの「ソロ」のパートが結構長い時間で収録されているところが、ハッキリ言って「冗長」。それぞれの「ソロ」のパートの演奏内容は申し分無いのですが、このアルバムはRTF名義のアルバムですからね〜。惜しい。
ラス前とラストの「500マイルス・ハイ」と再度登場する別収録の「浪漫の騎士」はボーナス・トラックで、特に再登場・別収録の「浪漫の騎士」は内容イマイチ。このアルバムのボートラはハッキリいって「蛇足」。これもちょっと減点対象やなあ。惜しい。
せっかくの第3期RTFの奇跡の再結成なのに、もっと徹底的に、RTFとしてのグループサウンズを聴かせて欲しかったなあ。このメンバーそれぞれの冗長な「ソロ」が減点対象かな。それほど、RTFとしての演奏は抜群である。往年のファンである僕としては満足な一枚である。RTFを知らない若手のジャズ者の皆さんにもお勧めです。硬派なフュージョン・ジャズが如何に凄まじいものであるか、十二分に体験できること請け合いです。
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