和蘭の孤高のロックギタリスト
土日は70年代ロックの話題を。9月27日のブログで、Jan Akkerman(ヤン・アッカーマン)のソロライブ『Live In Concert at Hague 2007』をご紹介したが、それ以来、Jan Akkermanのソロアルバムが気になって仕方が無い。
ちなみに、Jan Akkermanは、1970年代、オランダのプログレバンド、フォーカス(Focus)というバンドのギタリスト。73年、英国の音楽雑誌「メロディーメーカー」による人気投票では、エリック・クラプトン、スティーブ・ハウらを押さえて、ギタリストNo.1に選ばれたほどの力量の持ち主だ。
ヤンのソロ・パフォーマンスの特徴は、凄まじいほどのハイテクニックで、インストゥルメンタル指向。ジャズのコンセプションも完全理解していて、フュージョン・ギタリストとした方が座りが良いが、パフォーマンスの根底にはロックのビートが横たわっており、米国のフュージョン・ギタリストとは、音とフレーズのビートが根本的に異なる。僕は「欧州のフュージョン・ビート」と呼んでいる。
目にも止まらぬ速弾きテクニックとともに、極めて繊細な表現力もあわせ持ち、ギターを弾き進めていく姿は求道的。あくまでおのれの道を究める姿勢。鬼気迫るものを感じると同時に、柔らかな優しさも感じる、豊かで切れ味の良いヤンのギターは、聴いていて、なんだかワクワクするものがある。70年代ロック黄金時代を感じるんでしょうかねえ。
さて、今回のヤンのライブ盤『Live at Alexanders』(写真左)。1999年英国ツアーのライブパフォーマンスの記録である。1999年7月、英国のチェスターとリバプールでのライブ録音。収録曲は以下の通り。
1. HOCUS POCUS / PIETONS
2. CRACKERS
3. MERCY MERCY MERCY
4. TOMMY
5. NO HANG UPS
6. POOL HOUSE BLUES
7. SYLVIA'S GRANDMOTHER
8. MY PLEASURE
1曲目の「HOCUS POCUS / PIETONS」や7曲目の「SYLVIA'S GRANDMOTHER」は、フォーカス時代の名曲をヤンのギター・ソロ・パフォーマンスで楽しませてくれる。7曲目の「SYLVIA」は名曲。元曲のフレーズをデフォルメしながら、実にスリリングで爽快感のある凄テクなソロ&リフを展開する。何時聴いても良い。
そして、先ほど「ジャズのコンセプションも完全理解している」と書いたが、このライブ盤でも、4曲目に「MERCY MERCY MERCY」が採り上げられている。ジョー・ザビヌル作のキャノンボール・アダレイ楽団の大ヒット曲である。ファンキー・ジャズの代表的名曲。
これを、しっかりと粘りのあるファンキーな4ビートに乗せて、ここでは、ハイテクよろしくアコギを、タメを効かせまくりながら弾きまくる。決して黒くはならない。欧州フュージョンならではの「乾いたファンキー・ジャズ」。これ、結構聴きものです。
いやいや、このライブ盤『Live at Alexanders』は、前に採り上げた『Live In Concert at Hague 2007』に勝るとも劣らない、素晴らしいライブ盤だと思います。音質的には『Live In Concert at Hague 2007』、熱気とライブ感は『Live at Alexanders』。どちらも、僕の大好きな「SYLVIA」も収録してくれていて、甲乙付けがたい内容です。フュージョン・ジャズ者マニアの方は一聴をお勧めしたいでうね。
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