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2010年10月 8日 (金曜日)

フュージョン・ジャズの大名盤

1970年代を席巻した「フュージョン」。単なる「流行」と見なされていたが、どうしてどうして、現代の「スムース・ジャズ」の源として、ジャズの歴史の中に、一つの演奏フォーマットのジャンルを形成した。

その「フュージョン・ジャズ」の中で、今では「名盤」と呼ばれるアルバムが多々ある。が、そんな数ある名盤の中でも、このアルバムは「大名盤」と言って良いだろう。Quincy Jones(クインシー・ジョーンズ)の『 Sounds...Stuff Like That』(写真左)。

これは「とてつもない大名盤」である。まず、参加ミュージシャンが凄い。主だったミュージシャンだけでも、Steve Gadd (ds), Anthony Jackson (b),  Eric Gale (g),  Richard Tee (key), Ralph Macdonald (per), David T Walker (g), Wah Wah Watson (g), Herbie Hancock (key),  Tom Scott (as), Nickolas Ashford (vo), Valerie Simpson (vo), Luther Vandross (vo), Patti Austin (vo), Chaka Khan (vo)。いやはや凄い。クインシーに対する信頼の高さの証明だろうが、ギャラの総額を考えると、いやはや凄い。当時のフュージョン・シーンの有名どころがズラリである。

これだけのメンバーを集めたからと言って、素晴らしい演奏が繰り広げられる訳では無い。アレンジ、プロデュースがしっかりしていないと、単なるオールスター・ジャムセッションとなって、メンバーは凄いが演奏は「?」って感じにもなりかねない。事実、そんな「凡百なオールスター・セッション」が、フュージョン時代には多々あったことも事実。それが、フュージョン・ジャズというジャンルの価値を貶めたことも事実。

しかし、クインシーである。クインシー・ジョーンズである。そんな懸念、心配は御無用である。このアルバムは、クインシーのアレンジ、プロデュースが「大爆発」。とにかく、アレンジが凄い。流石である。
 

Qjones_stuff

 
冒頭の表題曲「Stuff Like That」のイントロのフェンダー・ローズの響きを、そしてそれに続くボーカル・コーラスの「どファンキーさ」を感じたら、もうそれだけで「たまらない」。このアルバムは、1978年のリリース。僕はジャズ者駆け出しの初心者。それでも、このアルバムは1回聴いただけで、凄いアルバムだということが判った。それほど、判り易く凄いフュージョン演奏が満載。収録されたどの曲も素晴らしい。というか、素晴らしいという表現だけに留まらない、もう「凄い」と言った方が良い内容。

フュージョンのボーカル入りというのは、ややもすれば「俗っぽく」なり過ぎるものが多いが、このアルバムは違う。ボーカルすらも「楽器」と化している。ボーカルが楽器と化して、バックの演奏と渾然一体となって、うねるようなグルーヴを生み出している。

2曲目の「I'm Gonna Miss You In The Morning(朝わたしはひとり)」を聴いて欲しい。なんと素晴らしい、ファンキーで情緒的なボーカルなんだろう。この演奏、このボーカルが、フュージョンなのか、R&Bなのか、ソウルなのか、もうそんなことは関係無い。ただただ素晴らしい演奏とボーカルがここにある。聴く僕たちは、ただただその音に耳を傾けるだけ。

そして、僕の大のお気に入りは、ラストの「Takin' It To The Streets」。米国西海岸ロックの雄、ドゥービー・ブラザースの名曲であるが、この曲、ドゥービーの演奏も、泥臭くてファンキーで疾走感溢れる素晴らしいものだが、クインシーのアレンジは、その本家ドゥービーの上をいく。洗練されたファンキーさ、そしてR&Bらしい黒さ、ソウルミュージックの爽やかさを加え、コーラス部分のゴスペル調のドライブ感。演奏が迫り来る迫力、演奏の凄い分厚さ。聴き終えた後、一瞬至福の時を迎える。

フュージョン・ジャズの大名盤である。フュージョン好きの方はもとより、音楽が好きな方は、このアルバムは是非聴いて欲しい。ジャンルなど関係無い、素晴らしい音楽がこのアルバムに詰まっています。 
 
 
 
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