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2010年10月21日 (木曜日)

渡辺香津美の70年代総決算

渡辺香津美の『KYLYN』は凄いアルバムだった。異種格闘技と表現して良い、坂本龍一や高橋ユキヒロ、矢野顕子、村上ポンタ等々、当時の日本の音楽ジャンルで尖ったミュージシャンばかりを集めて作成されたアルバム。日本のフュージョンの世界での「奇跡的な」成果だった。
 
そのKYLYNバンドの成果を受けて、今度は名だたる米国のフュージョン野郎達を集めて作成された、1980年リリースの『TO CHI KA』(写真左)。これはその内容やるや凄まじいものがあり、渡辺香津美の1970年代フュージョン・ジャズの総決算と言って良い、それはそれは充実した内容のアルバムである。
 
冒頭の「LIQUID FINGERS」の前奏を聴くだけで、渡辺香津美と判る個性が強烈である。これぞ、異種格闘技、KYLYNバンドの経験を経て確立された、渡辺香津美の個性である。ジャズをはみ出し、フュージョンをはみ出し、ロックをはみ出して形作られた香津美の個性。そのギターのフレーズはどこを聴いても、渡辺香津美そのものである。
 
この個性って凄いもので、これだけちょっとギターのフレーズを聴いただけで、曲のアレンジを聴いただけで、渡辺香津美と判る。これって、日本人フュージョン・ミュージシャンとして、世界に誇れる成果ではないかと。
 
名だたる腕自慢の実績バリバリのフュージョン野郎達が集結している。テナーのマイケル・ブレッカーのスーパーソロ。香津美のギターを聴き立てて煽るピーター・アースキンのドラム。「あんた、どういうテクニックをもってんの」と呆れるくらいのベーシスト、トニー・レヴィン。ベースと言えば、マーカス・ミラーも参戦。そして、歌うように流れるようなマイク・マイニエリのヴィブラフォン。いやはや、当時の米国名うてのフュージョン野郎のショーケースの様な凄まじき演奏の数々。
 

Tochica
 
 
冒頭の「LIQUID FINGERS」から、CMのタイアップで有名になった「UNICORN」まで、渡辺香津美の個性満載の「緩んだところの無い」、心地良いテンションが爽快な演奏がズラリと並ぶ。そして、小粋な香津美流ファンキーなナンバー「DON'T BE SILLY」を挟んで、ラス前、音の広がりが凄い、香津美のフレーズが限りなく美しいフュージョン・バラードの「SAYONARA」から、ラストのロック・ビート満点の「MANHATTAN FLU DANCE」に切り替わる瞬間なぞ、至福の瞬間である。
 
米国の名だたる腕自慢の実績バリバリのフュージョン野郎達が集結したセッションである。当然、個性バリバリな、個性の塊の様なフュージョン野郎達である。その個性の強さで上手く音がまとまらないことが、往々にしてあるが、この渡辺香津美の『TO CHI KA』は違う。これだけ個性的なフュージョン野郎達を束ねて統率し、渡辺香津美の音で染め上げている。それだけ、香津美の個性が際立っているってこと。
 
加えて、ヴィブラフォン奏者のマイク・マイニエリがプロデューサーとして迎えたのが大正解。渡辺香津美の個性を正確に掴み、渡辺香津美の個性にリスペクトをもって、名だたる腕自慢の実績バリバリのフュージョン野郎達を完全に掌握、統率。渡辺香津美をサポートし、全面的に支援している。それだけ、香津美の音楽性、ギター・テクニックが魅力的だったんだろう。僕もそう思う。マイニエリの慧眼に敬意を表する。
 
リーダーであるプレイヤーとプロデューサーがガッチリ組んだアルバムに悪いものは無い。この『TO CHI KA』は、1970年代フュージョンの最高傑作の一枚である。1970年代のフュージョンに限りない愛着を持つフュージョン者の方々でしたら、KYLYNバンドの2枚と、この『TO CHI KA』はマスト・アイテムでしょう。良いアルバムです。 
 
 
 
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コメント

こんにちは、jamkenです。わたしは「トチカ」は当時普通に聞いていました。メンバーの凄さも知らずに。あまりの完成度にこれがフュージョンというものかと普通に受け止めていました。いまおもえば恐ろしいメンバーですね。そして私の永遠の名盤が「KYLYNLIVE」であります。CDが欲しいです。今でもフェバリットBEST10に確実に入りますよ。

こんばんは、jamkenさん。松和のマスターです。

「トチカ」はフュージョン最高レベルのアルバムだと改めて思います。
ちなみに、「KYLYN Live」はフュージョンの範疇を超えた、真の意味での
クロスオーバーな最高のアルバムです。このライブ盤は、そら空恐ろしい
演奏が詰まっています。そうそう、CDでリリースされていますよ。
特に現在、流通しているCDは良いリマスターもされていてお買い得だと
思います。

かなり遅いコメントで恐縮です。
渡辺香津美といえば、YMOの最初のワールドツアーでの演奏が今でも印象に残ってます。
楽器屋で観たAria-ProIIのプロモーションビデオ(だったと思います)が感動モノでした。
今ではYTでみれるのですね。
http://www.youtube.com/watch?v=gt3Rvf1bt6g

検索経由の通りすがりです。
Apple Musicで初めてこの二枚を聴いて、演奏の素晴らしさに驚いてたのですが、こんな豪華メンバーだったんですね!
ライナーノーツなどがないので、たすかりました!

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