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2010年9月16日 (木曜日)

続・不可解な「チャレンジ」

1963年の『Conversations with Myself(自己との対話)』は、ちょっと不可解な「チャレンジ」だった。ジャズでは「掟破りの多重録音」。それも、ビル・エバンスのピアノ・ソロが3重に重なる、躁的で賑やかで人工的な雰囲気が、どうも僕には理解出来ない。

しかし、偉大な芸術家は、おしなべて「頑固」である。自らが信じた方針は、容易に曲げることは無い。ビル・エバンスも例外ではない。このちょっと不可解な「チャレンジ」に再び挑戦する。1967年、『Further Conversations with Myself(続・自己との対話)』(写真)を録音するのだ。

コンセプトは前作『自己との対話』と同じ。ビル・エバンスのピアノ・ソロが3通りに、絡み合って重なって、とにかく「躁状態」の、とにかく賑やかなソロ・ピアノである。しかし、前作における課題の解決については、いろいろと工夫が見て取れる。

前作『自己との対話』は、オーバーダビング2回の「3重録音」が故に「躁状態の賑やかさ」になってしまったが、今回の『続・自己との対話』は、オーバーダビングを一回減らして「2重録音」になっている。その2重録音の解釈としては「本人が演奏したものに対して、本人が対話するという形式をとったとのこと。所謂「対話」形式に則って、2重録音に留めたということ。

Further_conv_withmyself

オーバーダビングが一回減った「2重録音」になってお陰で、前作にあった「躁状態の賑やかさ」は、少し改善されて、音の隙間が出来たというか、音の分離が良くなった。それでも、ピアノの最大の特徴である、旋律楽器と打楽器の2つの特性の「インタープレイ」が2通り、2重に重なっているのだから、まだまだ「賑やか」である。

躁状態は抜け出した感じだが、賑やかで、ピアノ・ソロの陰影、演奏の間、フレーズの切れ目・つなぎ目など、ピアノ・ソロ独特の「美点」が損なわれているのは「相変わらず」。

収録された曲は『Trio '64』にあった「Little Lulu」や「Santa Claus Is Coming To Town」、そして、ビル・エバンスの十八番だった「Emily」「Quiet Now」など、エバンス節を聴かせてくれる曲が満載。前作同様、ビル・エバンスのそれぞれのトラックのソロ・ピアノの内容は良い。なので、2重録音に留めるのなら、敢えて、重ねる必要は無かったと思うのだが・・・。出来れば、ソロで聴きたかったなあ。

クラシックの世界のピアノ連弾は、双方が対等な役割で「インタープレイ」を展開することは無い。双方、シッカリと役割分担して、お互いが「相手の特徴」を最大限に伸ばすサポートをする。ましてや、同一人物が「多重録音」を前提に、ピアノ連弾したケースは聞いたことが無い。

強い理由は良く判らないのだが、とにかく、当時、ビル・エバンスは「重ねたかった」のだろう。でも、ピアニストの本質は「ソロ・ピアノ」でこそ露わになる。同じアコースティック・ピアノで、同一人物が「多重録音」前提の「仮想インタープレイ」は、やはりアクロバティックで、僕にとっては「too much」ある。
 
 
 
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