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2010年9月22日 (水曜日)

フランク・シナトラ=ニューヨーク

故あって、まだまだニューヨークにまつわる、ニューヨークを彷彿とさせるジャズ・アルバムの特集は続きます。ニューヨーク、そしてジャズ、そして男性ボーカルとくれば、まず思い浮かぶのが、フランク・シナトラとメル・トーメ。

メル・トーメについては、今年2010年6月13日のブログ(左をクリック)にて、『Songs of New York』をご紹介している。一度、ご覧下さい。で、フランク・シナトラと言えば、数々の名盤、名唱があるので、一枚を選べと言われれば、ちょっと困るのだが、やはり、ジャズを聴き始めて、ジャズ初心者駆け出しの頃に出会った、フランク・シナトラのアルバムをご紹介することにしたい。

そのアルバムは『Trilogy : PAST, PRESENT AND FUTURE』(写真左)。1979年のリリース。僕が本格的にジャズを聴き始めたのが1978年なので、本当にジャズ者初心者駆け出しの頃に、この『Trilogy』というアルバムに出会った。が、このアルバムがなんと非常に重厚なアルバムで「LP3枚組」。とても当時の財力で購入できるものでは無い。そこで、大学時代の「秘密の喫茶店」のママさんのお世話になることになる(笑)。

この『Trilogy』は3部構成で,当時60歳を過ぎたシナトラの見果てぬ夢を歌で綴ったような、シナトラのキャリアの集大成の様なアルバムである。シナトラが最も信頼し、都度共演してきた3人のアレンジャー、Billy May (LP1枚目「The Past」を担当), Don Costa (LP2枚目「The Present」を担当), Gordon Jenkins (LP3枚目「The Future」を担当)とのコレボレーションにより、シナトラの「過去」「現在」「未来」という3つの「時を」表現するというコンセプト・アルバム。

全編を通じて、実にゴージャズなストリングスがバックに着く。もうそれはそれは豪華絢爛なストリングス。そして加えて、これまたゴージャズなコーラス隊も着く。贅の限りを尽くした、重厚で洒脱なストリングスのアレンジ、そしてコーラス。フランク・シナトラの後期〜晩年に相応しい内容である。

Sinatra_trilogy

巷の評では、やはりLP一枚の「The Past」に対する評価が高い。シナトラの若かりし頃〜中堅として一番脂の乗り切った頃の「十八番の曲」を、ここで改めて、ゴージャズなストリングス・アレンジにのって、シナトラは朗々と歌い上げていく。貫禄抜群。もうここでは、ジャズ・ボーカルの粋を超えて、ここでは、もう「シナトラ・ミュージック」と呼んで良いほど。従来のジャズ・ボーカルの域を超える、一般万民、老若男女問わず、感動を呼び込む「シナトラ・ミュージック」がここにある。

でも、「フランク・シナトラ=ニューヨーク」という図式を強く感じるのは、LP2枚目の「The Present」。新ジャズ・スタンダードへのチャレンジが爽快である。特に、ビリー・ジョエルの名曲「Just The Way You Are(素顔のままで)」そして、ジョージ・ハリソンの名曲「Something」の2曲が秀逸。ジャジーなビートに乗って、ダイナミックにスイングするシナトラの歌唱は素晴らしいの一言。「Love Me Tender」もええなあ。甘さに流れず、ダンディズム溢れる硬派なシナトラの歌唱には痺れっぱなしである。

LP3枚目の「The Future」は意欲作、異色作の類。一言で言うと「ジャズ・ボーカルがメインのミュージカル仕立て」といった面持ち。とにかく、全編に判って「ゴージャズ & ブリリアント」、そして一言「ミュージカル」(笑)。

豪華なストリングス・アレンジと重厚なコーラスのバッキングを背に、シナトラは、朗々とダイナミックに、時に繊細に、硬軟自在、縦横無尽に歌いあげていく。とにかく「ゴージャズでブリリアント」な内容で、とにかく圧倒的に「トゥー・マッチ」なゴージャスさ。故に、繰り返し聴くことは無い(ほんの時々しか聴かないなあ)LP3枚目ではあるが、その内容は思いのほか正統派で「濃い」。このLP3枚目は、若かりし頃から売れに売れた人だからこそ、ジャズ・ボーカルの巨人だからこそ許される「仕業」なんだろう。

僕は、LP2枚目の「The Present」にシナトラのジャズを感じます。60歳を過ぎたシナトラが、ビリー・ジョエルの名曲「Just The Way You Are」を、そして、ビートルズ&ジョージ・ハリソンの名曲「Something」をカバーするという、シナトラのボーカリストとしての懐の深さを圧倒的に感じます。そして、このLP2枚目の「The Present」に、僕は強くニューヨークを感じます。特にジャジーでスインギーな「Just The Way You Are」は絶品でしょう。これぞ、ニューヨーク。

ゴージャズなストリングス中心のデコレーションなアレンジは全編に渡り長々と続くので、LP3枚目に入ると、流石に、ちょっと「ご勘弁」をという感じですが、それを差し引いても、このシナトラの意欲作『Trilogy : PAST, PRESENT AND FUTURE』は、シナトラ入門盤として、はたまたベテラン・ジャズ者の「隠れた名盤」として、十二分に楽しめるジャズ・ボーカルな一枚です。 
 
 
 
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