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2010年9月21日 (火曜日)

大西順子の『バロック』

戻って来なくても良いのに、夏の暑さが戻ってきてしまった、我が千葉県北西部地方。しかし、体調が悪いと伏せってはおられん。今日から本業再開である。

ジャズも聴き心地の良いジャズばかり聴いてはおれぬ。新譜もチェックしないとね。今日の新譜チェックは、大西順子の『バロック(Baroque)』(写真左)。レコーディング復帰2作目で、今年2010年録音ホヤホヤの新譜。

レコーディング・バンドの編成は、とにかく重厚で、3管のホーンに加えて、曲によりダブル・ベース編成を起用。大西順子の作曲&編曲が堪能できるアルバムとなっている。

ちなみにパーソネルは、大西順子(p)がリーダーで、以下、Nicholas Payton(tp), James Carter(ts, as, b-cl, fl), Wycliffe Gordon(tb), Reginald Veal(b), Rodney Whitaker(b), Herlin Riley(ds), Roland Guerrero(perc)。いやはや、重厚なメンバー構成ですな。

これだけの「重量級」メンバーが集結しているのだ。そりゃーこのアルバム全編に渡って繰り広げられる演奏は、それはそれは「重厚かつハイテクニック」なもの。冒頭の「Tutti」から、メンバー全員、目一杯パワー全開の激しく高テンションな演奏が繰り広げられる。

2曲目辺りから、この雰囲気ってどっかで聴いたことがあるぞ、と思い始める。フロントと管がちょっとアブストラクトに捻れ始めると、確かにどっかで聴いたことがある、と確信を持ち始める。そして、3曲目「The Threepenny Opera」で、フリーキーにうねるフロントのインプロビゼーションを聴くと、これって「ミンガス・ジャズ」の雰囲気だ、と確信する。

純ジャズとして、ジャズの歴史的な見地からは、ミンガス・ジャズを踏襲し、コンテンポラリーなジャズとしては、ウィントン・マルサリスのジャズを踏襲している雰囲気がプンプンする。そして、隠し味的に、部分的にデューク・エリントンが見え隠れするのを感じるのは僕だけか?

Junkoohnishi_baroque

ミンガス、マルサリス、エリントン。ジャズの世界で、それはそれは重厚な音である。特に、1曲目から3曲目までの大西順子のオリジナル曲で、この「重厚かつハイテクニック」な世界が爆発するように展開している。とにかく、純ジャズとして、コンテンポラリーなジャズとして、現在進行形の最先端のジャズとして、この大西順子の新譜の内容は傾聴に値する。

が、とにかく、その演奏内容は「難しい」。モードとフリー、コンテンションとアブストラクト、ジャズの表現の中で一番扱い難い演奏パターンを、実に効果的に押し出している故、純粋にアーティスティックなジャズとして愛でるには不足は無い。しかし、これだけ「てんこ盛り」だと、曲が進むにつれて「トゥー・マッチ」な印象が募っていく。

長年ジャズを聴き続け、様々なジャズを聴き続けてきたジャズ者ベテランの方々にとって、傾聴に値する内容が、そこかしこに感じられるのですが、如何せん「キャッチャーな旋律、耳当たりの良いフレーズ」が不足してるので、親しみを持って何度も聴き返す、ヘビーローテーションな一枚になり難いのが難点。このアルバムは、ジャズの専門的な知識や経験を十二分に必要とします。ジャズ者初心者の方々には、ちょっとお勧めしかねる内容だと思います。

「玄人好み」の佳作という感じでしょうか。現在までのジャズの歴史を振り返り、正統派ジャズと呼ばれる世界を集めて一つにまとめた様な、純ジャズの集大成の様なアルバムです。しかも「重厚かつハイテクニック」な演奏に、ちょっと疲れる。少なくとも、何度も繰り返し聴き続けるような、ヘビーローテーションなアルバムでは無い。ジャズの芸術性を強く感じる内容ですが、ジャズをリラックスして楽しむ内容では無いところが、このアルバムの評価の「難しい」ところ。

正統派ジャズと呼ばれる世界を集めて、一つにまとめた様な、純ジャズの集大成の様な演奏が、「重厚かつハイテクニック」な演奏が全8曲で約70分超。「過ぎたるは及ばざるがごとし」という諺を大西順子の新譜を聴いていて思い出した、と、どなたかがブログに書いていましたが、私も同感。ちょっと詰め込み過ぎかなあ。アルバム全編を聴き終えて、ただただ、ドッと疲れました。
 


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