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2010年9月18日 (土曜日)

キング・クリムゾン『太陽と戦慄』

一昨日、顔を真っ青に塗った「ブルーマン」達が、ビートの効いた音楽にのって、様々なパフォーマンスを展開。クリエイティヴ集団ブルーマン・グループの公演に行ってきた。バックのビートにのった、パルシブなロックな演奏、なかなかの演奏だった。そして、ふとキング・クリムゾンを思い出した。

さて、今日は土曜日。70年代ロックを題材にしたブログの日である。今日は、パルシブで、ビートに乗った、パーカッシブなロックな演奏。として、キング・クリムゾンの『太陽と戦慄(原題:Larks' Tongues in Aspic)』(写真左)について語ってみたい。

キング・クリムゾンの諸アルバムについては、書籍でネットで語られ尽くされているので、ここでは細かくは述べない。詳細はネットの様々な評論を参照されたい。今回、ここでは、松和のマスターの主観だけを述べるに留める。このキング・クリムゾンの『太陽と戦慄』は、僕にとって、キング・クリムゾンのあまたある数々の名盤の中で、一番好きなアルバムである。

このアルバムは、1973年に発表されたキング・クリムゾンのアルバム。原題の直訳は「アスピックの中の雲雀の舌」、または「大蛇に呑まれた雲雀のさえずり」。どういう解釈で「太陽と戦慄」になったかは判らない。恐らく、日本のレコード会社のことだ。アルバム・ジャケットの太陽のイラスト・イメージから安易に邦題を捻り出したに違いない。実にセンスの無い邦題で、今見ても「がっかりする」。

さて、この『Larks' Tongues in Aspic』、パーソネルは、ロバート・フリップ (g), ジョン・ウェットン (vo,b), ビル・ブラッフォード (ds), デヴィッド・クロス (vin), ジェイミー・ミューア (per)。1972年アイランド・ツアー終了の4月、キング・クリムゾンの解散を宣言。しかし、キング・クリムゾンの総帥、ロバート・フィリップは、イエスのドラマーだったビル・ブラッフォードの演奏をライブで見て感銘を受け、イエスから彼を引き抜く。ベースのジョン・ウェットンらの新メンバーを集めてキング・クリムゾンを再結成し、1973年に本作を発表した。

Larks_tongues_in_aspic

しかし、ここで、この当時、新生キング・クリムゾンの『太陽と戦慄』を名盤たらしめているのは、パーカッションのジェイミー・ミューアの存在に他ならない。このジェイミー・ミューアのパーカッションは素晴らしいという一言で片づけられない、即興演奏としてのパーカッション、ここに極まれりという感じの、究極の「即興パーカッション」を披露している。このアルバムでのミューアのパーカッションのパフォーマンスは、ジャズの世界での、どのパーカッション奏者のパフォーマンスをも凌駕する、非常に優れたもの。

このミューアのパーカッションのパフォーマンスが、このアルバムに「きめ細やかで、複雑な味わいの、陰影濃淡、そして強弱など、様々なダイナミックなニュアンス」の要素を詰め込み、ロックのジャンルのみならず、他のジャンル、とりわけ即興演奏を旨とするジャズというジャンルの「パーカッシブな即興演奏」を遙かに凌駕する圧倒的なパフォーマンスを展開していることが、驚愕に値する。

このアルバムは、ロックというジャンルの演奏が、他の音楽ジャンルの演奏、とりわけ「クラシック」若しくは「ジャズ」という楽理を成立させた2大音楽ジャンルの演奏レベルをも凌駕する、素晴らしい即興演奏の塊である。

とにかく、ジェイミー・ミューアのパーカッションの存在が、「きめ細やかで、複雑な味わいの、陰影濃淡、そして強弱など、様々なダイナミックなニュアンス」の要素の全てを担い、その繊細な要素が、このアルバムをポジティブで繊細、性別で例えると「女性的な」太陽のような明るさを湛えた、ダイナミズム溢れるロックな名演として成立させている。そして、そのニュアンスを更に補填するのが、デヴィッド・クロスのバイオリンの音色。パーカッションとバイオリンの大活躍。プログレッシブ・ロックの面目躍如。

ジャズ&フュージョンという見地に立っても、このキング・クリムゾンの『太陽と戦慄(原題:Larks' Tongues in Aspic)』は凄いアルバムです。ジャズから近いところでは、ビートを重んじるという部分で、エレクトリック・マイルス的な音的要素を持っているロックアルバムだと感じています。意外とかなりの面で、当時のコンテンポラリー・ジャズやエレクトリック・マイルスのトレンドが、このアルバムに影響を与えているのでは無いか、と推察しています。

しかし、さすがは英国プログレ。懐が深いし、「売れる」ことを最優先としていない。英国ロックの持つ「矜持」がこのアルバムを成立させているとも言えます。 
 
 
 
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