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2010年9月20日 (月曜日)

歌伴のビル・エバンス

我が千葉県北西部地方、先週から寒暖の差が激しく、先週の木曜日などは長袖を着る位の肌寒さだったが、この3連休は日差しが強く、部屋の中では日中は30度を超える暑さ。先々週からすると約10度以上の気温の上がり下がりは、とても身体に堪える。身体はだるく、変に汗をかき、眠くて仕方が無い。

そんな不定愁訴な体調の時には、硬派なジャズは良くない。耳に優しく、落ち着いた響きのジャズが良い。そう体調不良の時には、なぜかロックは受け付けず、優しい響きのジャズが一番落ち着く。

そんなこんなで、今日はビル・エバンスの数少ない「歌伴」アルバムが大活躍。1964年8月、欧州をツアー中だったエヴァンスが、スウェーデンの歌姫モニカ・ゼタールンドの「歌伴」を務めたアルバム『Waltz For Debby』(写真左)である。欧州ツアー中のビル・エバンス・トリオは、Bill Evans (p) Chuck Israels (b) Larry Bunker (ds)のメンバー構成。そこに、Monica Zetterlund (vo)が加わる。スウェーデンはストックホルムの録音である。

ビル・エバンスは器用なピアニストで、伴奏に回ると、演奏相手によって、フロント楽器によって、その状況にピッタリと合ったピアノ伴奏を聴かせる。逆に言うと、エバンスのピアニストの個性を押さえて、演奏相手やフロント楽器に合わせるということになるんだが、エバンスはプロ中のプロ、自分の個性を押さえるなんてことは別に気にしていない風。テクニックが無いと出来ないことなんだが、演奏相手やフロント楽器の個性に合わせた、非常に趣味の良い伴奏を務める。僕は「伴奏の天才」だと思っている。

となれば、歌伴としてのピアノも多かろうと思うんだが、これが、エバンスの場合、そうでは無い。この北欧の歌姫モニカ・ゼタールンドと、男性ボーカリスト、トニー・ベネットの2人に留まる。不思議と言えば不思議。まあ、エバンスのバイオ本を読む限り、エバンスの生活習慣を思えば、当たり前と思えば当たり前かとも思う。

Monica_waltzfordebby

さて、このモニカ・ゼタールンドとの『Waltz For Debby』であるが、これが絶品。少しハスキーで囁く様なモニカの歌声はとても優しく、とても柔らかい。そして、伴奏のビル・エバンスのピアノは、タッチはクッキリ、実にリリカルで、実に耽美的。

ビル・エバンスは「リリカルで耽美的な」ピアニストとして誤解されている向きがある。が、このモニカの歌伴を務めるエバンスのピアノは、絵に描いた様に「リリカルで耽美的」。

このモニカの歌伴を務めるエバンスのピアノが例外的に、徹頭徹尾「リリカルで耽美的」だと言える訳で、このモニカの歌伴でのエバンスのピアノを基準に、他のリーダー作のエバンスのピアノを聴けば、エバンスは「リリカルで耽美的な」ピアニストとして誤解されている、という表現に納得していただけるのではないか。

ビル・エバンスが、モニカの歌声に、モニカの歌の表現に合わせて、歌伴ピアノとして選んだトーンが「リリカルで耽美的」。これが、まあピッタリなのだ。さすが「伴奏の天才」。そして、エバンスの「リリカルで耽美的」なピアノに、ベースのイスラエルも着実なベースラインを柔らかく豊かに決め、ドラムのバンカーはダイナミックに、かつ硬軟自在に、表情豊かなドラミングを決めていく。

北欧の歌姫モニカの歌声はそれだけで十分に魅力的ですし、加えて、エバンス・トリオの歌伴は、そのモニカの歌声をガッチリとサポートして、モニカの歌声を更に魅力的にしています。スウェーデンはストックホルムで生まれた「一期一会」なボーカルアルバムです。僕は個人的に「北欧の奇跡」と呼んでいます(笑)。「リリカルで耽美的」なエバンスを体験するのにも格好の一枚ですね。

ボーカル・アルバムを聴き始めてみたいなあ、と思っているジャズ者初心者の方々に対しても、このアルバムは大のお勧め盤だと思います。このアルバムは、優しく柔らかい雰囲気は、ジャズ・ボーカル入門盤としても、ジャズ者ベテランの方々への「癒しの名盤」としても、お勧めの一枚です。 
 
 
 
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