ビッグバンド・ジャズは楽し・9
本業で疲れた。疲れた頭を解きほぐすには、パンチの効いた、あっけらかんとした「ビッグバンド・ジャズ」が良い。当ブログでシリーズ化している「ビッグバンド・ジャズは楽し」のシリーズ。今年の5月の終わりから、ちょっと中断していたが、本日再開である。
パンチの効いた、あっけらかんとした「ビッグバンド・ジャズ」。それも、難しいことを考えたり、難しい聴き方をしなくても良い、全く捻りの効いていない、全くの正攻法の、教科書のような「ビッグバンド・ジャズ」が良い。
ということで選んだアルバムが、Manhattan Jazz Orchestraの『Moanin'』(写真左)。マンハッタン・ジャズ・クインテットの総帥デビッド・マシューズ率いるマンハッタン・ジャズ・オーケストラの記念すべき第1弾。1989年8月の録音。パーソネルは、ビッグバンドなので書ききれないので割愛。
記念すべき第1弾だからかどうか判らないが、ズラリと並んだ、超有名な「大ジャズ・スタンダード曲」ばかり。ジャズ者ベテランの方々が見たら眉をひそめそうな、超有名なスタンダード曲が「てんこ盛り」の7曲。
1.Caravan
2.Moanin'
3.My Funny Valentine
4.Summertime
5.The Sidewinder
6.Big Apple Jam
7.Autumn Leaves
どうです、凄いでしょ(笑)。でも、さすがはデビッド・マシューズ御大。曲の特徴を活かしつつ、オーソドックスでありながら、従来のアレンジとは一味違う、パンチの効いた、スピード感溢れる、しっかりとジャジーな雰囲気をキープしたアレンジは実に個性的。それでいて、実に効き易く、判り易い。そして何より「格好良い」。
マシューズのビッグバンド・ジャズのアレンジは「あまりに判りやすい」として評価されない向きもありますが、マシューズのアレンジほど、難しいことを考えたり、難しい聴き方をしなくても良い、全く捻りの効いていない、全くもって正攻法でオーソドックスな「判り易いアレンジ」はありません。僕は大好きです。
1曲目の「Caravan」の演奏を聴けば、そのマシューズのアレンジの特徴が良く判るかと思います。冒頭から超ハイテンポに飛ばしまくるビッグバンド。お馴染みのエリントン・ナンバーなんですが、実にモダンで、現代ジャズのトレンドをしっかりと織り込んで、時にハードバップ的に、時にコンテンポラリー的にビッグバンドをドライブしていくマシューズのアレンジが痛快です。
加えて、マシューズのビッグバンド・ジャズのアレンジの特徴は、ソロイストの演奏スペースがしっかりと用意されていること。クインテットでのアレンジをビッグバンドに拡げた様なアレンジで、ソロイストの演奏スペースが展開されます。どの曲でも、ソロイスト達が実に気持ちよさそうに、実にのびのびと自由にインプロビゼーションを展開していきます。
全編に渡って、ガッチリとパンチを効かせているのは、ルー・ソロフをはじめとするトランペットのアンサンブル。これが、このアルバムの演奏のそこかしこに、香辛料の様にピリリと効いています。高音の突き抜け感と迫力ある音圧は、マンハッタン・ジャズ・オーケストラならでは、です。
良いビッグバンド・ジャズです。ジャズ者初心者の方への、ビッグバンド・ジャズ入門盤としてもお勧め。ジャズ者ベテランの方々も、ズラリと並んだ、超有名な「大ジャズ・スタンダード曲」に怯まず、マシューズ御大の小粋なアレンジを楽しまれてはいかがでしょう。
ただ、アルバム・ジャケットのデザインは、ちょっとシンプル過ぎますね。惜しい(笑)。
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