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2010年8月 9日 (月曜日)

う〜ん、画期的に良くなった・・・

ジャズにおける日本の「女子力」について最近良く考える。とにかく素晴らしい。日本人ならではのジャズを、この日本の「女子力」が推進しつつある。従来から、男子と比べて「ハンディ」と思われる部分を知恵でカバーして、日本人ならではのジャズを表現しつつある。

西山瞳もその「女子力」の一人。前作『Hitomi Nishiyama in Stockholm』に対する僕の評価は辛口。

「これから先が楽しみである。というか、次のアルバムが正念場だろう。まだ、このアルバム『Hitomi Nishiyama in Stockholm』では、西山瞳は突き抜けていない。彼女の代表盤にはなっていない。男性のプロデューサーでは、女性ミュージシャンの本当の気持ちは判らないだろう。次作では、西山瞳のセルフ・プロデュース能力に賭けたい」

で結んでいる(2009年5月6日のブログ参照)。ピアニスト単独としての西山瞳は、まだまだ発展途上。力では男性ピアニストには勝てない。女性特有の、西山瞳特有の個性をどう活かしていくのか。西山瞳のコンポーザー&アレンジャーとしての才能は注目に値する。このコンポーザー&アレンジャーとしての才能とピアニストとして才能とを、どう上手くミックスして相乗効果を上げていくのか、という期待も寄せている。

欧州ジャズを踏襲するのは良い。でも、コピーしても西山自身の個性には良い影響は与えない。コピーしつつ自分の個性、日本人の個性を積み上げないと、単なる「欧州ジャズの物真似」で終わってしまう。実は、前作『Hitomi Nishiyama in Stockholm』を聴いて、深刻な危機感を覚えたのは事実。

しかし、ここから僕も、西山瞳に詫びなければならないのは、新作である『パララックス』(写真左)が、2008年9月発売された時に、真っ先に聴かなかったこと。日本製作盤なので、CDとしてアルバムを購入するには、2680円も投資しなければならかったので、ちょっと躊躇した。ダウンロードサイトを利用すれば、もっと投資額を下げれたのだが、本当にうっかりしていた。

なぜ、そんなに「お詫び」したくなるのか。新作である『パララックス』が、前作までの課題をクリアして、画期的に内容が良くなっているからである。飛躍的に良くなっている。何があったんだ、と思ってしまうくらい、演奏の内容が良い方向に変化している。ビックリした。
 

Nhitomo_parallax_2

 
パーソネルを見渡すと、西山瞳 (p), 坂崎拓也 (b), 清水勇博 (ds), 馬場孝喜 (g)。前作までは、北欧のミュージシャンをリズム・セクションとしていたのだが、この新作である『パララックス』は日本人ジャズメンで固めている。ここが決定的に前作までと異なる部分。これが、まあ、劇的な音の変化を生んでいる。

日本人リズム・セクションが良いサポートを提供している。ベースの坂崎拓也が、しっかりと西山瞳のピアノの低音部分を肩代わりするように「支える」。そして、西山瞳のピアノの左手で供給するビートの部分を、ドラムの清水勇博が、重ねるように「支える」。

このベースとドラムが西山瞳のピアノの左手の部分をしっかりとサポートすることで、西山瞳の生命線である「右手の旋律」と「右手のアドリブ」の供給の自由度が飛躍的に増し、西山瞳のインプロビゼーションのスペースが飛躍的に拡がった。つまり、西山瞳のインプロビゼーションの幅が「横に拡がった」。グループサウンドの裾野が広がって、色彩豊かになった。

グループサウンドの裾野が広がって、色彩豊かになったら、音の個性が前面に出てきた、というか、個性を前面に出せるようになった。リズムセクションの音のサポートの仕方が、米国ジャズにも欧州ジャズにも見られない、日本人ジャズ独特の音の響きを供給しているようだ。

2曲目の「朝日のごとくさわやかに」を聴けば判る。実に個性的な響きである。コンポーザー&アレンジャーとしての才能とピアニストとして才能とを、どう上手くミックスして、相乗効果を上げていくのか、という僕の懸念に対する、西山瞳の明快な回答を聴くかのようだ。これは面白い。西山瞳の次なるアルバムは、純粋に「楽しみ」だ。この日本人ジャズ独特の音の響きを、これからどう活かしていくのか。本当に「楽しみ」だ。

ジャズにおける日本の「女子力」、侮り難し。西山瞳も一皮向けて、その「女子力」の前線に参戦。暫く、ジャズにおける日本の「女子力」から目が離せない。  
 
 
 
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