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2010年8月11日 (水曜日)

J.J.Johnsonの傑作である。

トロンボーンの音が好きだ。ボワンとして丸々としているけど、金管楽器独特の切れ味が潜んでいる。ブラシの響きが心地良く、力強く柔らかな独特の低音が実に魅力的だ。

中学の頃、ブラスバンド部に籍を置いていたこともあって、トロンボーンの演奏の難しさは体験的に理解している。とにかく、あのスライド部で音程を合わせるなんて、絶対音階と人一倍優れたリズム感を持っていること、そして、スライドする腕の微妙な動きに長けていること、そして、豊かな肺活量を持っていること。この3つの要素がしっかりと揃っていないといけない。

加えて、ジャズでこのトロンボーンを操るのは、ジャズ・ミュージシャンとしての人一倍長けた才能を持ち合わせていなければならず、と考えると、ジャズ・ミュージシャンの中で、トロンボーン奏者が、そんなに絶対数に恵まれない楽器だというのは、十分に理解出来る。

そんなジャズのトロンボーン奏者の第一人者が「J.J.Johnson(ジェイ・ジェイ・ジョンソン)」。1924年1月22日の生まれ、2001年2月4日逝去。ジャズのビ・バップ創成の時代から約60年間、ジャズ・トロンボーン奏者の第一人者として君臨した。カーティス・フラーの「ブルースエット」の様なキャッチャーな名盤には恵まれていないので、ちょっと損をしていますが、ジャズのトロンボーン奏者の第一人者は、圧倒的に「J.J.Johnson」です。

この『Blue Trombone』(写真左)を聴けば判る。1957年のリリース。ちなみにパーソネルは、J.J.Johnson (tb), Tommy Flanagan (p), Paul Chambers (b),  Max Roach (ds)。J.J.Johnsonのワン・ホーン・カルテットである。

これがまあ、素晴らしいジャズ・トロンボーンなのだ。冒頭の「Hello, Young Lovers」のトロンボーンの音色、テクニック、歌心。この「Hello, Young Lovers」の演奏だけでも、J.J.Johnsonをジャズ・トロンボーン奏者の第一人者として良いと僕は思う。それはそれは、アーティステックで粋な演奏なのだ。しかも、1957年の録音にしては、実にモダンな響きがする。
 

Blue_trombone

 
ドラムのマックス・ローチは、ハード・バップの前身、ビ・バップ時代のビ・バップ・ドラミングの第一人者。そのローチのドラミングが、実にハード・バピッシュな響きを宿しているのが、その「モダンな響き」の直接的原因。しかし、ビ・バップ・ドラミングの第一人者がどうして、ハード・バピッシュなドラミングが出来たのか。それは、ベースのポール・チェンバースの弾き出すビートが主原因。

さすが、マイルスの愛されたハード・バップ・ベーシストである。チェンバースの弾き出すビートは、その間といい、そのラインといい、そのタイム感覚といい、当時、最先端をいくハード・バップなベースである。そのベース・ラインとビートの触発されて、ローチのドラムが劇的に変化し、モダンな響きを宿している。そして、名手フラナガンが、リズム・セクションの一員として、これまた、実にモダンな伴奏ピアノを聴かせてくれる。伴奏の名手フラナガンの面目躍如。

そんなリズム・セクションに乗って、トロンボーンを吹きまくるジェイ・ジェイ。収録されている曲全てが、実にモダン。そして、テクニックは天才的。これがスライド・トロンボーンのアドリブか、と聴く度に感心することしきり。パーソネルを見ると、これが代表盤なのか、と思うのですが、このアルバムのセッションに限って言えば、奇跡的な「化学反応」が起こりまくっています。

このアルバム、LP時代から、なかなか正統な形で復刻されることが少なく、現在ではUS盤でしか入手できません。しかも、このUS盤、ボーナス・トラックがてんこ盛りで、どこまでが『Blue Trombone』で、本来の『Blue Trombone』なのか判らなくなっており、これは困ったもんです。『Blue Trombone』は、冒頭の以下の7曲が正式な収録曲で、残りはボートラですので、無視して良いかと思います(ちなみに演奏に内容はそれなりに優れていますが、『Blue Trombone』とは無関係)。

1. Hello, Young Lovers
2. Kev
3. What's New
4. Blue Trombone, Part 1
5. Blue Trombone, Part 2
6. Gone With The Wind
7. 100 Proof
 
これは、ジャズ・トロンボーンの名盤中の名盤です。今の時代でも、このアルバムのトロンボーン演奏は、ジャズ・トロンボーンの目標に足る、実に優れた実に内容のある演奏だと思います。心揺さぶられるジェイ・ジェイのトロンボーンを心ゆくまで堪能できます。   
 
 
 
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