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2010年7月31日 (土曜日)

Verve時代のエバンスはユニーク

なぜか、Verve時代のエバンスのアルバムはユニークなものが多い。この『Trio 64』(写真左)も、その一枚。

パーソネルを見て欲しい。Bill Evans (p) Gary Peacock (b) Paul Motian (ds)。ベースの哲人(僕が勝手に呼んでいる)、ゲイリー・ピーコックが唯一エバンスと組んだ、由緒あるトリオ・アルバムである。正式な録音日を見れば、1963年12月18日。そもそも『Trio 64』と呼ぶのは、ちょっと語弊がある。

で、どこがユニークなのか。選曲がユニークである。冒頭の「Little Lulu」。実に可愛い響きを伴った、実に愛らしいワルツ曲であるが、これが、TV漫画のキャラクターをテーマにしたもの。当時、このような選曲をしたジャズメンは他にあまり見当たらない。実にユニーク。でも、この「Little Lulu」、実に愛らしい、実に美しい響きを持った名演である。これは、「正」のユニークさ。

4曲目の「Santa Claus Is Coming To Town」の選曲も実にユニーク。邦題は「サンタが街にやって来る」。録音日が1963年12月18日なので、クリスマスも近く、セッションの合間に、遊び程度にやるのはいいが、特に、クリスマス特集のアルバムでもないのに、この曲を正式にアルバムに収録するだろうか。しかし、この「サンタが街にやって来る」の選曲は、エバンス自身のよるものらしく、収録を望んだのもエバンスだったとのこと。

エバンスは、耽美的とか叙情的とか、かなり知的なイメージをメディアから勝手につけられて、しかも、掲載される写真がほとんど、そのメディアが勝手につけたイメージを増幅されるものばかりなので、完全にエバンスの性格は誤解されているが、エバンスのバイオグラフィー本を紐解くと、プロ・ミュージシャンらしく、大衆に迎合するのも厭わない、意外とフランクで、意外と俗っぽく、意外と普通のおじさんだったらしい。
 

Billevans_trio64

 
このアルバム、ピーコックのベースとモチアンのドラムのバッキングが実に優れていて、冒頭の「Little Lulu」から、非常に心地良くリズミックなビートでエバンスを支える。所謂「縦ノリ」である。この二人のリズム・セクションは、エバンスのピアノにピッタリ。ピーコックはフリーなインプロビゼーションを繰り出す時も、エバンスをしっかりと立てている。そのリーダーを、フロントをバックから常に支える雰囲気が、このアルバムのセッションをリラックスしたものにしている。

このところ、再発されるCDは、ボーナストラックが多くて、LP時代、初出の時の正式な収録曲が判らなくなってきているので、改めて、正式な収録曲を挙げておくと、以下の通りになる。

1. Little Lulu
2. A Sleepin' Bee
3. Always
4. Santa Claus Is Coming To Town
5. I'll See You Again
6. For Heaven's Sake
7. Dancing In The Dark
8. Everything Happens To Me

このアルバムは、やはり4曲目の「Santa Claus Is Coming To Town」の存在についての解釈次第で、エバンスのVerve時代のトリオ名盤になるし、この4曲目の存在が「う〜ん」となる場合は、やはり、Verve時代のエバンスのリーダー作はユニークで、このアルバムもその「ユニーク」な一枚、というところに落ち着く。やはり、「Santa Claus Is Coming To Town」はボートラで収録されるのが相応しい一曲だと僕は思う。

エバンスも実に罪作りなことをするなあ(笑)。この4曲目の「Santa Claus Is Coming To Town」の代わりに、ボートラ収録CDの13曲目「My Heart Stood Still」辺りを収録していたら、この『Trio 64』は、誰も文句の付けようのない、エバンスのピアノ・トリオの代表盤の一枚になっていたと思う。 
 
 
 
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