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2010年7月11日 (日曜日)

R&B調を歌うように弾くギター

昨日、CDの棚卸しをして、CDの収納方法もちょっと変えて、フュージョン・ジャズのアルバムが取り出しやすくなった。加えて、棚卸しの結果、しばらく自分が所有していたことを忘れていたアルバムを発掘したりする(笑)。

そんな一枚が、Eric Gale(エリック・ゲイル)の『Forecast』(写真左)。そう言えば持っていたっけ、忘れてた(笑)。1973年1月の録音である。CTIの傍系であるKUDUからのリリース。もちろんプロデューサーはCreed Taylor(クリード・テイラー)。イージーリスニング系フュージョンである。ちなみにパーソネルは以下の通り。

Eric Gale (g); Elliot Rosoff, David Nadien, Gene Orloff, Irving Spice, Max Ellen, Harry Lookofsky, Joe Malin (vln); Alfred Brown , Emanuel Vardi (viola); Seymour Barab, George Ricci (cello); George Marge (fl); Hubert Laws (fl piccolo); Joe Farrell (fl, ts); Jerry Dodgion (as, ts); Pepper Adams (bs); Jon Faddis, Marvin Stamm, Randy Brecker, Victor Paz, John Frosk (tp, flh); Tony Studd (tb, bh); Garnett Brown, Alan Raph (tb); Bob James (p, el-p, org, syn, marimba); Gordon Edwards , Bill Salter (el-b); Idris Muhammad, Rick Marotta (ds); Artie Jenkins, Arthur Jenkins (cog, tamb); Ralph MacDonald (per) 。

いや〜、凄い数のメンバーですね〜。しかも、一人一人名前を確認していくと、なかなかの有名人が名を連ねています。これだけのメンバーを調達するって、かなりコストもかかったことでしょう。派手好きのクリード・テイラーらしい人のかけ方ですね。でも、フュージョンのアルバムの場合、意外と重要なのは、プロデューサーでは無く、ディレクター&アレンジャーの存在。このアルバムでは、若き日のボブ・ジェームスがその任に就いています。

冒頭の「Killing Me Softly With His Song(やさしく歌って)」の内容に騙されてはいけません。このロバータ・フラックの歌唱で有名なこの曲、ボブ・ジェームスとエリック・ゲイルが、実に俗っぽいアレンジに乗って、実に俗っぽく、歌の旋律を中心にギターを弾き進めていきます。目立ったアドリブも無い、アレンジされらストリングスのフレーズも陳腐。これが、当時、若手精鋭のボブ・ジェームスのディレクション&アレンジかと落胆しかけますが、このアルバムの真価は、2曲目のエリック・ゲイル作の『Cleopatra』から。

Eric_gale_forecast

2曲目の『Cleopatra』から、演奏の雰囲気がガラッと変わる。演奏の基本形は「R&B」に早変わり。バックのビートもイージーリスニングから、バリバリのR&Bに早変わり。格好良いゲイルのギター。ちょうど、ジャクソン5の「ABC」の様な、ポジティブで明るいR&Bなノリ。ボブ・ジェームスのキーボードも、完璧にR&Bモードに変更。1973年の録音なんだが、ボブ・ジェームスのキーボードの音は、後の「Mr.NY」と形容される、アーバンで洒脱な音が完全に確立されているのに、妙に感心する(笑)。

3曲目の「Dindi(ジンジ)」のアレンジが「ニクイ」。粋である。この曲はですね〜、確か、Antonio Carlos Jobim / Aloysio de Oliveira共作のボサノバの名曲中の名曲なんですが、これをボサノバ色を一切消し去って、スロー・バラード調に切々とギターで弾き上げていく。エリック・ゲイルの真骨頂。切々と歌うようにギターを弾き上げていくゲイルのギターのバックで、ボブ・ジェームスの実に趣味の良い、実に効果的な「そこはかとない」スパイスの様な弦のアレンジが、これまた「ニクイ」。そして、ボブ・ジェームスのキーボードが冴えに冴える。

4曲目の「White Moth」以降、「Tonsue Corte」「Forecast」と全て、エリック・ゲイル作のオリジナル曲が続くが、このゲイルのオリジナル曲の演奏が秀逸。4曲目の「White Moth」なんぞ、少しスペーシーなイントロから一転、アーバンなブラスの響きなんざあ、ボブ・ジェームス御大の音そのもの。そのボブ・ジェームスな音をバックに、エリック・ゲイルがR&B風のギターをバキバキパキと弾き上げていく。実に格好良い。このように、フュージョン初期の良い部分ばかりが、この後半の3曲に詰まっています。

アルバムに全体で35分に満たない、かなり「けちくさい」曲の収録が「玉に瑕」ですが、そんなことも全く気にならない位、このアルバムを埋め尽くす、フュージョン初期の良質の演奏が圧倒的です。エリック・ゲイルのR&B調を歌うように弾くギターが実に印象的で、何回も聴き直したくなる(出来れば1曲目除いて・笑)、そんな素晴らしい内容のアルバムです。 
 
 
 
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