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2010年7月16日 (金曜日)

なかなか真っ当なピアノ・トリオ

最近、日本ジャズの新譜も、なるべく聴くように心がけている。日本ジャズも欧米の影響から抜け出て、独自の雰囲気や演奏イメージを作りつつある。21世紀に入って、欧米ジャズのコピーをやっと抜け出て、独自のジャズ表現でアピールできる新人が多く出てくるようになった。

そんな若手日本ジャズの新譜の中で、今回、気に入って、ちょっとしたヘビーローテーションになっているピアノ・トリオ・アルバムがある。そのタイトルは『Just Another Mind』(写真左)。Soil&"Pimp"Sessionの丈青、秋田ゴールドマン、みどりんからなる「J.A.M」。その「J.A.M.」による2ndアルバムである。

「ジャズを核に、ヒップホップ、ラテン、ハウスなど様々なフレイヴァーを感じさせる独創的なサウンド」が特徴、なんてセールス・コピーを読んで、さあ〜僕が聴けるジャズかなあ、と思い悩みながら購入。僕等レコード会社からの試聴盤が無料で手に入るような身分では無いので、思い切って購入を決断したアルバムが「すべった」時には、ちょっとショックが後を引く(笑)。

でも、冒頭の「SPIRIT (Introduction)」から、2曲目「QUIET STORM」の流れと音の雰囲気で、意外と真っ当なメインストリーム・ジャズであることが理解できて、ホッと一息。改めて、耳を傾けてみると、「なかなか真っ当なピアノ・トリオ」である。

2曲目「QUIET STORM」を聴くと、この「J.A.M」の音の特徴が良く判る。シンプルな凛とした硬質な音の響きは、一聴すると欧州ジャズっぽいんだが、なんとなく、音のエッジが丸くなって、ピアノ・トリオでの一体のなった演奏が強固な「塊」となって迫ってくるところ、そして、なんとなく、欧州ジャズと比べて、ウェットな雰囲気が独特である。そして、若きジャズの特権である、疾走する爽快感とゴツゴツとした強力なビート。うんうん、なかなか真っ当なジャズじゃないか。嬉しくなる。

Just_another_mind

3曲目の「産業革命」もその疾走するような爽快感とゴツゴツとしたビートは変わらない。デジタルチックなピアノのテーマ旋律が実にユニーク。「産業革命」という不思議な曲タイトルが、この演奏を聴くと、納得できるような気がする。

ビートでスペースを埋め尽くすような演奏スタイル。しかし、コルトレーンのような、一つの楽器を高速で吹きまくる「シーツ・オブ・サウンド」では無い、ピアノ・トリオを構成する3人のメンバーそれぞれが自分の担当楽器の特性を活かして、スペースを埋めまくる。この渾然一体となった、それていて、疾走する爽快感をしっかりと維持しつつ、スペースを埋めることによって、ピアノ・トリオでの一体のなった演奏が強固な「塊」となって迫ってくるところが、実に面白い。これはもうこのバンドの個性でしょう。

「渾然一体となった、それていて、疾走する爽快感をしっかりと維持しつつ、スペースを埋めることによって、ピアノ・トリオでの一体のなった演奏が強固な「塊」となって迫ってくるところ」は、13曲目の「A NIGHT IN TUNISIA」(チュニジアの夜)も同様。この「J.A.M」というピアノ・トリオの個性・特性を、より如実に表現する為に選んだスタンダード曲が、この「チュニジアの夜」。う〜ん、センス良いなあ。この「チュニジアの夜」を聴くと、このバンドの個性が十二分に理解出来る。

この「J.A.M」は、従来のジャズ界でのピアノ・トリオではありません。21世紀の、新しいタイプのジャズ・ピアノ・トリオである、と言って良いと思います。「ジャズを核に、ヒップホップ、ラテン、ハウスなど様々なフレイヴァーを感じさせる独創的なサウンド」というセールス・コピーはちょっと違うなあ、と思いますが・・・。しかし、このバンドの音は面白い。欧州のありそうで無い、米国にはほぼ見当たらない。もしからしたら、ピアノ・トリオとして、日本ジャズにおける独特の個性になるのかもしれません。

コンテンポラリー・ジャズの範疇での、今までにない、新しい個性を持つピアノ・トリオであるということは言えます。テクニックもまずまず確かなもの。これからが楽しみなトリオです。暫く、追っかけてみようかなあ、思っています。 
 
 
 
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